カテゴリから探す

自分の

自分の"偏愛"がコンテンツになる! 入社3年目のプロデューサーが番組づくりを通して築いたスタンス

制作局制作部 稲生紗也

7月18日(木)より放送がスタートする、WOWOW初となる猫番組『ねこが笑えば』。先日ご紹介した『つるさんかめさん~ニッポン算額探訪~』と同様、社内の“オリジナル企画募集”をきっかけに実現した番組だ。
企画したのは入社3年目の稲生紗也プロデューサー。映画の演出を勉強し、入社して制作部でバレエ番組を担当してきた彼女は「大好きな猫に関する番組を、いつか絶対に作りたい」という思いが強かった。WOWOWと猫。つながりそうもなかったこのふたつが、彼女の偏愛でつながり『ねこが笑えば』ができたとき、稲生は自身のスタンスを見い出せたという──。

"たまたま"がきっかけで担当になり、勉強を重ねた

──稲生さんは2017年入社ということですが、WOWOWに入社した経緯についてお話いただけますか?

高校生の頃から「将来は、自由に好きなことをして暮らせたらいいな」なんて思っていました(笑)。色々なことが重なり、2011年の震災後から2016年の春頃まで上海に留学して、現地の大学で映画演出の勉強をしていました。ちょうどその時期に中国の映画産業がものすごい勢いで成長して......年々スクリーンの数が数万単位で増加したり、興業収入が600億円を超える中国国産映画が生まれたりと・・・。映画業界に限らずですが、ビジネスで成功していく人たちを見て「自分もお金を生む仕事をしたい」と思うようになりました。

好きなことをやりつつ、お金を生む仕事に就くにはちゃんと就職しないといけないと思って、運よくWOWOWに入ることができたという経緯です。

──エンタメを扱う会社を中心に就活していたのでしょうか?

ちょうど大学が卒業テストや卒論のシーズンで、上海にいなければならなかったので、受けられる企業数に限りがあり、かなり吟味して、配給会社とTV局数社を受けました。WOWOWは、DVDでドラマを何本か観ていましたし、映画に出資していることも知っていたので、良いイメージを持っていて、受けてみようと思いました。

190717_re_01_inou.jpg

──入社の際に制作局制作部に配属されて、今年が3年目ということで。制作部とはどんな部署でしょうか?

映画、スポーツ、ドラマ、音楽を扱う部署がそれぞれあり、制作部は「それ以外」の番組を制作する部署です。ドキュメンタリーやステージ、アニメ、情報番組といった......何でもチャレンジできる部署でもあり、プロデューサーによって扱うジャンルはそれぞれで、やっていることも違うのですが、自分にはそういうところがすごくフィットしていると思います。

──これまで、具体的にはどのような仕事をされてきましたか?

私が入社した年が、ちょうど振付家のモーリス・ベジャール没後10年のタイミングだったんです。本当にたまたまなんですが、その3年前に、上海でモーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団による『第九交響曲』の合同公演を観ていて。その"たまたま話"を聞いた部長の一声でバレエジャンルを担当することになりました(笑)。

私自身、バレエの経験もないし、全くの無知だったのですが、勉強しながら、オリジナル番組の『バレエ☆プルミエール』の制作や、海外のバレエ団の公演を購入して放送する仕事をメインにやってきました。ベジャールのドキュメンタリーや、没後10年の公演収録などにも携わりました。


──バレエは歴史もあるし、知識がなければ難しいジャンルだと思うのですが?

本当に、バレエは観ないとわからないんです。毎月のように公演に足を運んだり、情報番組を通して、視聴者の皆さんと一緒に学びながら、少しずつバレエに詳しくなっていきました。
バレエの世界は奥が深いので、本当にまだまだですが、バレエは自分にとっての"新しい引き出し"の一つになってきているのかなと思っています。もちろん、いまはバレエ鑑賞が大好きですし、メディアの力で、日本のバレエ界に少しでも貢献できたらいいなと思っています。

──ほかに担当されている番組はありますか?

『映画工房』という、8年続いている映画紹介番組を担当しています。1年ほど前にアシスタントとして入って、昨年12月からはプロデューサーとして番組作りをしています。週1放送の番組は大変ですが、やっぱり映画が大好きですし、何より出演者・スタッフの皆さんのファミリー感がすごく強くてとっても大切な番組です。

重厚な番組が続くなか、『ねこが笑えば』がお客様の休憩時間になるといい

──そして今回、新たに『ねこが笑えば』(7月18日スタート)を企画から担当されたとのことですが?

そうですね。社内のオリジナル企画公募に応募しました。以前から「猫の番組を作りたい、猫のことを仕事にしたい」と思っていましたが、入社して以来初めての企画公募だったので、アイディア段階から、編成担当の方や、他部署の方にも色々相談させていただき、企画をまとめていきました。

190717_neko_logo.jpg

──猫という題材は、雑誌、テレビ、映画といったメディアによって、これまでもさまざまな切り口でアウトプットされてきた人気のコンテンツだと思うのですが、『ねこが笑えば』の独自性はどこにあるのでしょうか?

猫を題材にした番組って、外猫を追いかけたものか、飼い主さんの投稿動画のような番組が多くて。外で暮らしている猫と、家で人間と暮らしている猫は、まったく別の生き物だと思っていますし、ちゃんと撮影された家猫が主役の番組がほとんどなかったので、「家猫が主役になるような番組にしたい」と思っていました。

──"猫モテ"という発想はどこから生まれたのでしょうか?

猫が好きな人たちって、私も含めて、もちろん自分の家の猫がかわいいんですが、友達の家の猫もかわいいし、猫島や猫カフェも行きたいし、猫のイラストが描いてあるグッズも好きなんじゃないかなあと思うんです。猫という生き物自体が好きというか。

だから猫から好かれることは猫好きにとって最大の喜びだと思っていて。家の猫との関係をもっともっと良くしたいというのもありますし、初対面の猫とも仲良くできたらいいなあって......そういう気持ちから、"猫モテ"という発想が生まれました。

190718_inou_01.jpg

──"ネコ好きクリエイターとともにネコへの『偏愛』を発信するプロジェクト"Cat's ISSUEとコラボすることになった経緯は?

今回の企画以前から、Cat's ISSUE代表の太田メグさんのインスタグラムが好きで、フォローしていました。お家の猫ちゃんと息子さんの日常がアップされていて、ソファに一緒に座ったり、同じテーブルに並んでご飯を食べていたりと、すっごくかわいいんです。本当にいちファンとして見ていて、「猫の番組をやるなら、太田さんのところの猫ちゃんに出演していただきたい」と思っていました。

それで、実際に番組を作ることが決まったときに、太田さんに連絡をとってお会いする機会をいただいて。そうしたら、「せっかくだから、もっと関わりたいです」と言っていただいて、企画のアイデア出しやビジュアル面の監修をしていただいたりと、結果的にたくさん協力していただく形になりました。

──視聴者の方たちに、どんなふうに観ていただきたいですか?

制作チームは猫好きばかりが集まって、どうしたら猫の魅力が伝わるか、どうしたら猫好きに喜んでもらえるか、練って練って番組を作っているので、猫好きの方には、毎話隅々観ていただけたら嬉しいですが・・・。

15分枠のミニ番組で、その短い時間中にミニコーナーを積んでいくような作りにしているので、猫好きで無い方にも、気楽に観ていただきたいなと思っています。

WOWOWってCMがなくて、映画やスポーツや音楽ライブがずーっと続くじゃないですか。休憩時間みたいな感覚で気楽に観られる番組って、番宣ぐらいしかないんですよね。そんなWOWOWのなかで、『ねこが笑えば』がお客様の休憩時間になったらいいなと思っています。

──WOWOWのお客様で猫を飼っていらっしゃる方も多いと思うので、そういった方々にも観ていただけるような番組になりそうですね。

そうですね。WOWOWの視聴料も、観たいジャンルが2つや3つあると、お得感が増す気がして......「映画もスポーツも観たい」「音楽ライブもステージも観たい」という方は満足度が高いと思うんです。

そんな中で、映画やドラマ好きでも、スポーツ好きでも音楽好きでも、猫を飼っていらっしゃる方は一定数いるはずで。それぞれのジャンルを目的にWOWOWに加入されている方にとって、猫の番組が"観たいジャンルとしてのプラス1"になるといいなと思っています。

190717_neko_re_02.jpg

──社内での反応はいかがでしたか?

応援していただいていると思います。猫のDVDや本を私の机に置いていく方がいたり(笑)、猫映画のチケットをいただいたり。そうやって「これ、参考にしてみてね」という感じで応援していただいています。......残業していると、これまで一度も喋ったことがなかった方が「猫の番組どう?」って話しかけてきてくださったり。「猫がお好きなんですか?」って聞いたら「すごい好き」って(笑)。そういうのはすごく嬉しいです。

チャンスが与えられている以上は、全部投げ返していきたい

──WOWOWで働くなかで、やりがいや手応えを感じるのはどんなときでしょう?

大きくふたつあるんですが......ひとつは、やりたいと思っていたことが実現しやすいので、モチベーションを保ち続けることができるんです。それも、自分が思っていた通りになるというよりも、思っていた以上のことができたりする。

『ねこが笑えば』も最初は「"猫モテ"のためのHOW TO番組にしよう」と思っていましたが、ディレクターさんや作家さん、Cat's ISSUEさんのアイディアが加わって行くことで、どんどん膨らんでいったので......今作っているものって、自分が思っていたよりもさらに上のところにあるんです。そういう意味でも、モチベーションがキープできて、より上がっていく感じがしますね。

──もうひとつは?

お客様からリアクションがいただけることです。担当番組に関してはネットでエゴサーチをしているんですが(笑)、アクションを起こした時に、喜んでくださる方がいると、やっぱり嬉しいです。良い意見・悪い意見に関わらず、なにかしらのリアクションがあるというのは、やりがいにつながりますよね。

──WOWOWのM-25旗印では「偏愛」をキーワードとしていますが、ご自身にとって番組を作るうえでの「偏愛」や「こだわり」とは?

『ねこが笑えば』自体、ほぼ偏愛で作っているんですが(笑)
私は、WOWOWにある既存のエンタメの中で、もともと好きなものって映画とドラマくらいで・・・。WOWOWに入って出会えたバレエと、映画工房があったから、これまでやってこられたような気がするんです。

そんな中で今回、自分が大好きな猫が仕事になって......実際にこうして番組にできたことで「好きなこと」がエンタメになって、自分の偏愛がコンテンツになる!という実感ができたので、今後もそういうスタンスでやっていきたいと思っています。

──『ねこが笑えば』もやりたかったことのひとつだと思いますが、ほかにもこの先、WOWOWでやってみたいことなどはありますか?

泣きたいぐらいずっと忙しいですが(笑)、今やれることを目一杯やりたいと思っています。この環境にいられる時間も限られていると思うので、できる限りいろんなことに挑戦したいです。もちろん『ねこが笑えば』もスペシャルやシーズン2をやりたいと思っていますし、チャンスがある以上は全部投げ返していこうと思っています。

190717_neko_re_03.jpg

取材・文/とみたまい 撮影/祭貴義道  制作/iD inc.

おすすめ記事