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「WOWOWの働き方改革って正直どうなの?!」コンサルタントに聞いてみた!

「WOWOWの働き方改革って正直どうなの?!」コンサルタントに聞いてみた!

2017年10月にWOWOW社員の働き方改革を推進する「最強の働き方プロジェクト」が始動してから早7か月が経ちました。今回は、プロジェクトをサポートしてくださっているコンサルタントのお2人に、WOWOWの働き方改革について忌憚のないご意見を伺いました。WOWOWのポジティブな部分、これからの課題など、必読です!(取材日:2018年3月16日/初回掲載日2018年5月8日)

今回お話をお伺いしたのは...
株式会社日本能率協会コンサルティング(※略称はJMAC)経営・人材コンサルティング本部 ビジネスプロセスデザインセンター
チーフ・コンサルタント 田中良憲さん

NECネッツエスアイ株式会社(※略称はNESIC)エンパワードオフィス事業統括本部
第二コンサルティンググループ主任 佐藤義明さん

----それでははじめに、お2人の簡単な自己紹介をお願いします。
田中さん:私は、2000年からJMACで経営コンサルタントをしており今年で18年目になります。企業の仕事の流れ・プロセスを変えるという分野を専門にしており、情報システムの導入やアウトソーシングなどに取り組んできました。
ただ、WOWOWさんのように、手順を一概に標準化しにくい仕事も当然ありますので、そういった見えにくい仕事も含めて変えていく事例も最近は多く手掛けています。

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佐藤さん:私は、現在のNESICに入社して11年になります。最初はNEC系列ということもあり親会社に出向し、ITプラットフォームの企画担当をしていたキャリアが結構長いです。
NESICでは、「エンパワードオフィス」という、ITだけでなくオフィス全般のプロデュース事業を立ち上げておりまして、その部門にずっと所属してきました。ここ3年は、お客様の会社で、ITだけでなくオフィス空間、それに関係する働き方をどう変えていくかといったプロジェクトのマネジメント、コンサルティングをやらせて頂いています。

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日本の働き方改革の現状とWOWOWの課題

Q.まず日本での働き方改革の現状を教えてください。
田中さん:日本における「働き方改革」というのはこの5年くらいの機運です。大震災の際に上手く危機対応できた会社とそうでない会社があり、そこで「働き方を変えていこう」というキーワードが挙がりました。元々日本は労働人口の減少もあり、男性も女性も長く働いていくという目標があって、結果的に働きやすい職場作り、長時間労働を是正しましょう、というのが日本の改革の特徴です。

ただ、今は「長時間労働をどうするか?」が行き過ぎている感じがします。むしろ、それが是正された後に、「次にどういう働き方するのか?」という先行き、ゴールを含めて考えていかないと、皆さんにとって楽しい働き方や、短く働いてどうするの?というところに行きつかないのではないかな、と思います。


Q.この半年間で、プロジェクトを通じてのメンバーとの関わりや、社員インタビューやアンケートから見えてきた、働き方における「WOWOWの課題」はどういったところでしょうか?ダメ出しも忌憚なくお願い致します。
田中さん:まず、ダメ出しではなくて良さの部分からお話します(笑)。プロジェクトメンバーの方との対話や、インタビューさせて頂いたり、会社にお邪魔しているときに会話が聞こえたりするのですが、個々が目標やゴール感を持って新しいことに挑戦したり、それぞれの方が誇りを持って仕事をされているのが伝わってきました。「偏愛」というキーワードがあると存じ上げているのですが、それが個々人にイデオロギーとしてあるという印象を受けます。それを共通の言葉として議論するのは、そういったものがない会社も多いので、素晴らしいことだなと思います。

課題としてはいくつかあるのですが、コンテンツや企画を考える仕事の方が会社に何のために来るのかというと、まさに情報を共有するために来るのだと思います。その割には共有の仕方が良くない、という不満の度合いが高いと感じています。具体的には、目的がよく分からない会議や、全員参加する必要があるのか?などですね。会議にかかるしつらえ、ツールも全て包含して「会議のあり方」に対しては皆さん課題と感じている印象があります。

また会議には何かしら資料を持参して臨むと思うのですが、その資料作りのための資料作成、フォーマット化されていないので転記する、資料をもう一回作り直すというところでかなり時間が割かれています。効率化やより効果を上げるという意味で情報共有をどう高度化していくか、というのが一番大きな課題なのではないかと感じています。

今回、"最強の働き方"と言っているのですが、今はどちらかというと効率化を中心とした課題を提起させて頂いていて、じゃあ効率化が済んだらどうするのっていうところも併せて考えていかないといけないのですが、残念ながらアンケートの自由意見を含めて、社員の皆さんからは「こういうふうにしないといけないよね」というより、今の不満をどういう風に解消するか、という意見が圧倒的に多かったです。そういう意味では、「最強の状態」をそれぞれ定義していくことが大事だなと思っています。

Q.働き方改革は、デジタルテクノロジーを活用したワークスタイルの改革とも言われています。2007年から先進的にワークスタイル改革に取り組まれているNESICさんからご覧になって、今のWOWOWって正直どのくらい遅れているんでしょうか?これからWOWOWが取り組むべきことは何でしょうか?
佐藤さん:これだけ露出の多い会社さんなので、放送のコンテンツの配信や視聴率の分析とか、個別の部門はITを使って色々な取組もやられているんだなと感じていたのですが、全体のインフラやセキュリティの部分はまだまだ整備・強化する余地があるのかなと思っています。特に働き方って考えると、やっぱり全社的なインフラとして整備していかないとなかなか全体の生産性が上がっていかないので、個別最適を全体としてどうやって統合していくかが課題となると思います。

----あまりデジタルインフラが進みすぎると私のような世代には、かえって働きにくく感じると思うのですが。
そういったところのルール作りやフォローの体制を変えていく、という部分もやっていく必要があります。

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多様性、創造性を高めるために

Q.「最強の働き方プロジェクト」では、生産性・多様性・創造性を高め、最終的に社員の労働時間の15%(週6時間)を未来に向けた時間にするという目標を掲げています。今までお話頂いた課題は、主に生産性向上についてですが、多様性や創造性を高めていくには、どうしたらよいのでしょうか?
佐藤さん:多様性や創造性という部分では、「どういう形になればいいのか?」ということを考えることだと思います。社内で各人が持っている知識や経験を共有して、何か必要になった時に、自分が知らないことでも他の人に聞いて、その知識を取り出せるといったことが創造性に繋がっていくと感じています。第一歩として、他の人が持っている知識をいかに見える形にするのかが大事になってくると思っています。いろいろやり方はあると思いますが、ITを使って、見えないものを形式的な知識にするというやり方もありますし、フリーアドレスなどを活用して、色々な部門や個人が交わるように設計、意図して導入するケースが結構あると思います。そういった物理的なところとITを展開してやっていく部分、いずれもいかに知識が混ざり合う場所を作っていけるかだと思います。

----例えば、共有下手な会社、知識を個人でホールドしたいという社員が多い会社での対処法はありますか?
田中さん:ハードインフラ系で人の行動を変えるという方法だけでは、「フリーアドレスだけど同じ人がいつも同じ場所に座ってる」という状況にもなり得るわけです。なので、ハードインフラ系と機会作りを併用する、例えば、「シャッフルしようよ」「集まろうよ」というチャレンジの仕掛けも一緒に作る必要があると思います。結局、働き方は自分で決める、ということなので、そのゴール設定をする必要があります。

もう1点、多様性は既にある、という前提でシャッフルしたらということなんですが、集まった個が強くないとイイモノはできないと思っています。一人一人が強くなることがWOWOWさんのような業界では絶対必須なので、一人一人がひとところに留まるのではなく、どんどん新しい分野を自ら探索する必要があるのではないでしょうか。

そして本来ワークライフバランスは時短する、楽に働くという意味ではなくて、ライフ側のインプットをいかにより良いものに繋げるか、ワークの気付きをいかにライフ側で活用するか、生活・人生の絶対値を上げるという意味の言葉です。そういった勉強の場、機会作りを行っていかないと、個は強くならないかなと思います。それが大前提です。その部分で、WOWOWさんはそれが出来ている人と、出来ていない人の差が開いているかな、という肌感覚があります。

「コンテンツで稼ぐ」という大命題があると思うのですが、コンテンツを提供している業者はたくさんあるので、コンテンツをどうよりよく届けるのか、とか、新しいビジネスモデルを考えるとか、ビジネスモデルを生み出せる人材を作るにはどうしたらいいのか、そのためには他所をしらないと、創造性には行きつかないかなと思いますね。「働き方改革をしました」「楽になりました」ということではないですから。

プロジェクト成功に向けての提言

Q.最後に、「最強の働き方プロジェクト」成功のためには何が大切か、一言ずつ頂けますか?
佐藤さん:弊社の「エンパワードオフィス」の取組の発端を考えると、トップダウン的にそうした改革をしたというよりは、一つの部門がプロジェクトのような形ではじめて、だんだん周りの人に見えるような形で効果が広がっていきました。それが全社的な取り組みに繋がった、という経緯があります。なので、社員の意識を変えながら全社的な活動に繋げていけるかというのが重要なポイントになっていくと思います。その上で、継続的な変化、改革をいかに続けていけるかということが改革を成功させる肝になると思います。

田中さん:成功されている会社さんの事例を包含すると、まずは「ぶれないコンセプト」「ゴール感」がポイントになってくると思います。

プロジェクト推進というところで言うと、透明性、「今何やってるの?」「どういう状況なの?」というのがWOWOWさんの300人の不信感につながらないような状態で共有できていることが重要になります。

もう一つは、社員の皆さんにお伝えしたいことですが、「働き方」を誰が決めるかというと、会社ではないんですね。もちろん、方向感はすごく大事だとは思うのですが、職場のタイプも違うし、仕事の内容も、スキル・経験も違うので、そういう人的ソースをどう活用するか?というのは職場単位で決まるんですね。プロデューサーのような仕事や、管理部門など様々な仕事があるので、職場単位でこういう働き方をしよう、というのをマネージャーが考えるのが一番大切だと思います。

編集部:今日お二人のお話をうかがって、プロジェクトの向かうべき方向性がよりクリアになった気がします。今はまだ長時間労働や会議・資料といった目の前の課題に意識が向いてしまうんですけど、情報の共有や人の交わり方を変えていくことで、将来的には一人一人が「個」として豊かな時間を過ごしつつ、よりよいコンテンツやサービスを産みだせるような会社にしていきたいと思います。本日はありがとうございました。

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