「テレビ屋の魂」こそテレビの力であり、
WOWOWの可能性!

――田中社長は若い頃は日本テレビで「箱根駅伝」などのスポーツ中継を中心にディレクターをされていたと伺いました。当時と比べ、テレビを取り巻く環境は大きく変化し、「若者のテレビ離れ」が叫ばれたり、配信事業の台頭などもありますが、そんな中での「テレビの力」についてどうお考えでしょうか?

「テレビ離れ」ということに関して言えば、テレビ受像機で、編成された地上波のコンテンツをリアルタイムで見る時間が減っているのは明確な事実です。その意味でのテレビの力が弱くなったことは否定しません。でもテレビにはまだまだ力があると思っています。では僕が考える「テレビの力」とは何か? それは「テレビ屋の力」だと思います。

WOWOWでのエピソードではなくて恐縮ですが(笑)、1988年の5月5日に日テレでチョモランマの山頂からの生中継をしました(『チョモランマはそこにある』)。世界一高いところから誰も見たことのない景色を中継するって実にテレビ的な企画だったなと思います。誰もやったことのない挑戦をしたいというテレビ屋の情熱、いや、情熱なんて言葉では表現しきれない情念が、会社やクライアントを巻き込んでこの企画を実現させたわけです。それはテレビ屋のDNAだなと思います。

もうひとつ、1987年に日テレで「箱根駅伝」の中継を始めた初代のプロデューサーの言葉で、いまでも受け継がれている「テレビが箱根を変えてはいけない」というものがあります。大正9年に始まった箱根の伝統、学生たちが築いてきた箱根の価値があるわけで、たかがテレビごときが大会を変えてはいけない。本質をきちんと伝えることで箱根駅伝が育っていくことに貢献しないといけないと。この「コンテンツの成長に貢献しないといけない」って信念もテレビ屋の魂だと思いますし、それはこれから弊社に入ってくる若い人たちにも受け継がれ、組み込まれていくものだと思います。

多様化するライフスタイルに
いかに対応していくか?

――その中で「総合エンターテインメントメディアグループ」を目指すWOWOWの可能性・強みはどういった部分にあるのでしょうか?

例えば「ドラマW」であれば、地上波ではできない企画、視聴率やスポンサーの制約に囚われない演出で存在価値を発揮し、テレビ屋の魂を持ったスタッフたちが集まって、骨太な作品作りをしています。

テニス中継で言うと、開局直後のまだ日本選手の活躍もない頃からずっと中継を続けてきて、日本のテニス文化の成長に貢献させていただいてきました。それが実となったのが、近年の錦織圭選手や大坂なおみ選手の活躍であると思いますし、今後も日本のテニス文化がさらに成長するようにやっていきたいと思っています。

こうした例からも、WOWOWがテレビ屋の端くれとして可能性に満ちていることがおわかりいただけるかと思います。

一方で、昨年の10月からはWOWOWオンデマンドで、放送3チャンネルの同時配信が開始されました。また、多くの番組の見逃し配信サービスも行なっているほか、オンデマンドでしか見られないオリジナルコンテンツもあります。

家で視聴できるだけでなく、外出先でタブレットやスマホなどの端末を通じてリアルタイムで放送中の番組を見ることもできますし、見逃した番組を見ることもできるという、まさに至れり尽くせりのサービスです。

視聴者の生活や行動様式が変わっても、いつでもどこでも、テレビでもタブレットでも一人でもみんなとでも、魅力的なコンテンツを楽しめる――つまり、多様化するライフスタイルに対応していくということで「総合エンターテインメントメディアグループ」に近づいているのではないかと考えています。