PROJECT STORY 1

連続ドラマW 春が来た」
できるまで。

2018年1月放送開始の話題の新ドラマ「春が来た」。このプロジェクトの制作に至った経緯や、このドラマにかける想いについて、プロデューサーにインタビューしました。

「連続ドラマW 春が来た」とは?

「連続ドラマW
春が来た」とは?

人情味あふれる温かな視点と鋭い観察眼で、人間の本質や家族の姿を描き出してきた脚本家・向田邦子さん。向田さんの作品には、時代を越え、国境を越えて愛される力があります。『春が来た』は向田さんの遺作となった短編で、今回は舞台を現代に置き換え、設定も大胆にリメイクしています。"家族の再生"という普遍的なテーマに託された向田さんのメッセージは通底していますが、オリジナルストーリーも加えた新しいドラマとして、楽しんでいただける作品になっています。 2018年1月13日(土)夜10時~WOWOWで放送スタート(全5話/初回無料放送)

「連続ドラマW 春が来た」を制作した人

松永 綾

制作局 ドラマ制作部 プロデューサー
2001年入社

松永 綾

プロジェクトにどのように関わりましたか?

プロデューサーは、言わば作品の「親」ですね。企画、脚本、スタッフィング、キャスティング、撮影、仕上げ、宣伝、二次利用まで、すべてにおいて関わっていくし、意見を隅々まで届けていけるポジションでもあります。雨の日も晴れの日も、たとえ逃げていく人がいたとしても(笑)、最後まで残って作品を世に送り届ける最終責任者です。

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担当プロデューサーから見た、「連続ドラマW 春が来た」

このプロジェクトが立ち上がった経緯について。
2003年にWOWOWのドラマWが始まって約15年になります。社会派サスペンスという得意の分野を構築するまで4~5年かかりましたが、それが定着し、今ではブランド化して、ひとつの成功体験になったと思っています。ただ、勝ちの法則がわかってくるからこそ、マンネリに陥ってしまう側面もあると思うんです。"社会派サスペンス"という武器や、成功の"セオリー"を外したときに、どこまで掘り下げてモノをつくることができるのか。新たに力量を問われていると思い、次第に装飾を全部はぎとった人間の本質的なドラマをつくりたいと思うようになりました。そして動きだしたのが『春が来た』です。私だけでなく社内にも、ドラマにおいて新機軸を打ち立てたいという想いがあったと思います。
なぜ今、向田邦子さんの「春が来た」だったのでしょうか。
向田邦子さんの作品は、この仕事に就く前からずっと好きでした。2012年に一度『向田邦子 イノセント』というオムニバスドラマシリーズをつくっています。当時、向田さんのご遺族は「向田さんはテレビマンに育てられてきたので新しい作家や監督さんが力を発揮するお手伝いになるなら」とリメイク企画をとても喜んでくださった。「あなたみたいな若い人がやってくれるのはすごく嬉しい」と言ってくださって、それ以来のお付き合いになります。
その際に、『隣りの女』という作品をドラマ化したのですが、同じ文庫本に収録されていた短編『春が来た』を読み、頭の片隅にずっと残っていた作品です。向田作品は、つくればつくるほど、そこに描かれている人間の姿って普遍的だと強く感じます。
WOWOW初の外国人主演に決定した理由を教えてください。

『春が来た』は、ある異邦人の登場によって、家族が変わっていくというストーリーです。異邦人の存在によって、表層的にではなく、キャラクター全員の内面に変化が訪れる構造になっています。そこでまず、どんな視点で家族を捉えればいいかを考えました。そして、異邦人と家族の距離感を、現代に置き換えることが肝になるのではないかとひらめきました。さらに、この異邦人を外国人にすることで、かえって壊れた家族の実像や、時代や国が変わっても普遍的に大事なテーマが浮かび上がると思ったのです。

これは私自身の経験に基づいた発想です。私自身、旅をして自分とは違う文化や価値観に身を置くことが好きです。なぜかというと、違いそのものが面白いこともあるし、他者との違いのなかで自分のアイデンティティを見出したり、その違いを乗り越えていくと普遍的で本質的な価値観に出会うことがあるからです。そんな経験が、『春が来た』のストーリーとピタッとシンクロしました。いつも企画を世に出すときには、普遍性と現代性をミックスして、今の時代のお客さんに訴えることが大事だと思っています。別の言葉に置き換えればクラシックとハイブリッドを掛け合わせて、ニュークラシックを作るという感覚です。

EXOのカイさんに出演オファーをした際のエピソードがあれば教えてください。

まず、オファーしたら先方がびっくりしていて(笑)。日本にツアーなどのアーティスト活動以外で長期滞在したこともないということで、事務所が驚いていました。

でも、非常に面白がってくださいました。また、WOWOWのドラマは"クオリティが高い"ということで、知ってくださっていました。韓国でも、良いクリエイターたちが地上波からtvNなどの大きなケーブル局に流れて、そこのドラマがこの数年、社会現象になるような良質なヒット作になっています。WOWOWがやっている流れが韓国でも起きている。そういうことも肌で感じてらっしゃったのだと思います。まさに今、韓国のコンテンツ業界が、新しいこと、面白いことを取り入れて挑戦し、アジアマーケットでリーダーシップをとっているからこそ、柔軟な考え方や戦略などを学ぶことも多かったですし、リアリティを持って実現しようと協力してくださいました。

プロデューサーという立場から特に気を配られた点を教えてください。
予算やスケジュールに常に追われていますが、それはこの作品だけじゃなくて、どの作品でも同じことです。敢えてあげると、今回はスケジュールでしょうか。カイさんには世界を飛び回りながら、日本のドラマ初主演を引き受けてもらうことになり、両立が大変だったと思います。お互いの母国語が違うなどのコミュニケーションのハードルもありましたが、逆にキャスト、スタッフみんなその状況を貴重な体験として楽しんでいました。お互いの母国語を入れ替えて挨拶しあったり、互いの国の撮影現場の違いを話したり・・・。でも、違いを話せば話すほど、先ほどの普遍性の話ではないですが、結局、ものづくりの面白さや現場の大変さは万国共通だということも分かりました。
松永さんが考えるWOWOWのドラマの良さとは?
企画主義であろうとする精神が守られているところは、すごくいいと思います。
ある種ユートピアみたいなところがあって、ときにそれが純粋すぎると思うこともあるんですけど(笑)、地上波のテレビ局とは違う力学で、企画の良さだけを考え、面白いかどうか、WOWOWらしいかどうかだけを追求してドラマをつくるということは、なかなかできないと思います。

MAKING OF

WOWOWのドラマ制作における、
一般的なプロジェクトの流れをご紹介いたします。

企画

企 画

どんな作品をドラマ化するのか企画を立てる。どんなコンセプトやねらいがあるか練り上げていく。

編成

編 成

プロデューサーが提案した企画をWOWOWで制作するべきか検討。見事、企画が通った場合はその番組をいつ放送するのが最適か決定する。

キャスティング

脚 本

作品の核となる脚本。プロデューサーやディレクターなどと打合せを重ね、脚本家が物語を執筆していく。

イベント準備

キャスティング

出演俳優はもちろん、ドラマを支えるスタッフを揃えていく。

番組準備

撮 影

ロケハンや美術制作など、様々な準備を経て、いよいよ撮影がスタート。演出・俳優・技術・美術・ヘアメイク・衣装など各パートのプロフェッショナルが集う。

情報解禁

編集(ポスプロ)

何時間にも及ぶ映像を確認し、必要なシーンをセレクト。BGMや効果音なども加えながら、1つの作品を完成させる。

プロモーション

情報解禁

ドラマが放送されることを世の中に伝える重要なポイント。番組によっては撮影前や編成の段階で告知をスタートさせることもある。

パンフレット制作

プロモーション

新聞やスポーツ紙、WEB媒体など様々な宣伝手法を駆使してより多くの人に番組のことを知ってもらう。

イベント開催・収録

ON AIR

視聴者の皆様に感動をお届けする。

編集・納品

WOWOWメンバーズ
オンデマンド
(ご加入中の方限定の
無料番組配信サービス)

放送終了後から一定期間配信する「見逃し視聴」や過去に放送した番組を配信する「ライブラリ」など、幅広いサービスを提供する。

ON AIR

二次利用

オリジナルドラマを、放送後も楽しめるように、DVDなどの映像メディアとして制作し、販売・レンタルをする。

プロジェクトの流れ

この人に注目

番組のオンデマンド配信を担当する人

西川 直之

編成局 編成部
2014年入社

新井 佑哉

プロジェクトにどのように関わりましたか?

オンデマンドでの配信を担当しています。このドラマでは企画が上がってきたタイミングから、プロデューサーの松永さんに「オンデマンドを通じてよりドラマを楽しんでもらえるコンテンツを作りませんか」と持ちかけました。現在、来年1月のドラマ放送に先駆けて、放送では見られないメイキング映像をオンデマンドで配信していく準備を進めているところです。

>インタビューページへ

WOWOWのお客さまに見ていただきたいのはもちろんですが、『春が来た』に関しては、WOWOWに加入されていない方や、海外の方にも観ていただきたいという想いを最初から持っていました。向田邦子さんの作品は「昭和の家族像」として語られることが多いのですが、そこに描かれている人間の姿は世界中で共感してもらえるもの。仮に設定を「昭和の日本」にしなくても成立する人間ドラマだと思っています。

WOWOWにも韓国や中国出身の仲間がいて、普段一緒に働いていますし、日常的に使うレストランなどにも外国の方が切り盛りしているお店はたくさんあって、普通の光景です。それが、今の日本の実像だと思うんです。そんな中で、『春が来た』の家族のもとにやってくる異邦人に特別感や非日常感を持たせるには、「起こり得るけど、まったく予想していない人」をキャスティングすることが必要で、そこには、向田さんが書かれた普遍性をより際立たせる狙いがあった。カイさんのキャスティングには、そんな期待も込めています。

この作品が今後のWOWOWに
どんな影響を与えていくと
思いますか?

自分たちで敷いてきたレールを飛び越えて、もっと自由に発想したり、より世界規模でものづくりを考えていく布石になるのではと思います。これまで以上の試練もあると思いますが、楽しいし、もっと爆発力のあることができるのではないでしょうか。個人的にはこのプロジェクトをきっかけに、もっと海外の人ともお仕事をしてみたいし、つくったものを世界に出していきたいという意識がより強くなっています。

どんなデバイスやどんなサービスが生き残るのか、今、メディア業界は「一寸先は闇」という時代です。しかし、だからこそ根源的に変わらないのはコンテンツの力なんだと強く感じています。ボーダーラインにこだわらずに、どんどん新しいフィールドに挑戦して、自由に可能性を広げていきたいですね。

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