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社長メッセージ

現在、放送業界は混沌としている。配信サービスの躍進にともない、取り巻く環境は日々変化し続けている。改革を急ぐWOWOWは、新たなビジョンを打ち立てた。はたしてWOWOWがつくろうとしている未来は。2015年に代表取締役に就任し、ビジョナリーに組織改革を進める田中晃に迫る。

PROFILE

田中 晃(たなか あきら)
1954年、長野県生まれ。早稲田大学卒業後、1979年に日本テレビ入社。箱根駅伝、世界陸上東京大会、トヨタカップ、プロ野球などあらゆるスポーツ中継に携わり、編成部長などを歴任。2005年にスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)へ。Jリーグ全試合中継の実現やパラリンピックの中継に力を注いだ。スカパーJSAT株式会社取締役執行役員専務となり、2015年に株式会社WOWOW代表取締役社長に就任。2020年6月より同社代表取締役社長執行役員に就任。


社会に特別な価値を提供するための、10年成長戦略。

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2021年5月に長期ビジョン「10年戦略」と中期経営計画を発表しました。

長期ビジョンとして「10年戦略WOWOWループ」を策定。中期の計画として「映像メディア業からコンテンツ・コミュニティ業」へと会員事業構造の再設計をしました。大きな変革をしようとしています。

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まずビジョンが図というのはユニークですね。

ビジョンは言語化するとその瞬間から手元を離れて、他人事になって遠い存在になっていく。だから社員がいつもそこに立ち戻ることができ、そこから自分で考えることで常に新しくアップデートできるものにしたかった。それがビジョンとしていい在り方だと思っています。

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「10年戦略WOWOWループ」はWOWOWにとってどういうものですか。

これは考える柱、背骨みたいなもの。アップデートし続けるということが前提の「10年戦略WOWOWループ」です。我々自身が鍛えて強化して、理論武装していく。そして10年後、WOWOWが社会に特別な価値を提供する。そういう存在になる。

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特別な価値とは。

他の会社ではできないこと。地上波放送局もできない。NHKもできない。Netflixもできない。ユニクロもできない。無印良品もできない。ソニーも、ソフトバンクもできない。特別な価値を社会に提供したい。

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ではWOWOWが提供する特別な価値とは。

コンテンツ・コミュニティ・カルチャー。良いコンテンツをつくる、あるいは調達して提供するというだけで終わらない。コミュニティまで広げて、人と人をつなぐ。さらにファンと作り手と一緒になって、カルチャーにまでつくり上げていく。そこに人が集まってくる。そしてまたコンテンツをつくり上げていくというループを回し続ける。それがWOWOWが提供する特別な価値だと思っている。「10年戦略WOWOWループ」は、それを実現させるためのものです。

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では中期経営計画については。

会員事業構造の再設計をして、2025年までに達成したい世界観を定めました。いま現在の事業のほとんどは、左下の輪、メディア・サービス「見る楽しさ」の提供です。コンテンツの放送と配信。その視聴料が会社収益の97%を占めます。これを会費といえるものに変えていきたい。

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視聴するだけでない楽しさの提供をするということですか。

そうです。会員事業構造を「見る楽しさ」だけでなく、「つながる楽しさ」、そして「体験する楽しさ」へ広げていきたい。視聴は、つくって伝えるだけのWOWOWから会員への一方通行。それをどれだけ双方向にできるか。

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双方向とは。

コンテンツを通じて会員とインタラクティブな関係を構築して、コミュニティ・サービス「つながる楽しさ」をつくる。さらにその上の輪、エンターテインメント・サービス「体験する楽しさ」をつくる。コンテンツをもっと好きになる。新しい自分を発見する。生活が楽しく、人生が豊かになる。そんな世界観を描いています。

カルチャーは、多様な価値が交錯して育っていく。

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コミュニティ・サービス「つながる楽しさ」について。

『WOWOWテニスワールド』というコミュニティ・サイトをオープンしました。他では体験できないプラス1コートの試合が見られたり、練習の様子や記者会見のライブ配信が見られるサイト。そこで面白いことが起きている。記者会見は外国語で行われているのだけど、WOWOWは翻訳までは提供していないんです。するとユーザー同士が「じゃあ俺が」とチャットで通訳をしていたりするんです。

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お客さんが自発的に動いているんですね。

次をどうするかっていうことを、お客さんと一緒に作っていけたらいい。錦織圭選手と大坂なおみ選手のあとに続く日本選手を、みんなで応援しようとクラウドファンディングをするのもいい。高校チャンピオンを、錦織選手を育てたテニスアカデミーに送り出すとか。伊達公子さんの育成プログラムに参加していっしょにやっていったり。

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やはりテニスといえばWOWOWですね。

テニスだけじゃなく、サッカーでもミュージカルでも、ジュニアやキッズを育成するプログラムができる可能性があるんですよ。そうすると例えば、毎年『WOWOWサマーキャンプ』を開催するのもいいですよね。子どもたち100人くらいどこかに集まってもらって、そこでキャンプフェス『FUJI&SUN』を同時に行うとか。エンターテインメント・サービス「体験する楽しさ」にもつながっていく。

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もうループがはじまっていますね!

そうなんです。エンターテインメント・サービス「体験する楽しさ」は、これまでもやってきたコンテンツの映画化や舞台化だけではなく、ゲーム化、VR体験、eスポーツ展開など可能性は広がっています。

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ゲームにまで手を広げていくのですか。

2年後放送予定の大型ドラマ『水滸伝』。ARやMRを使ったゲームをつくっても面白いですね。会員が自分のアバターをそのゲームに登場させられるような。『水滸伝』は108人の主人公が出てくるのだけど、109人目、110人目にその会員がなれるとか。戦闘に参加したり、梁山泊に立てこもったり。

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音楽や演劇はコロナ禍の影響下にあります。

そうですね。音楽ライブのオンラインイベントもやっていく。多くのミュージシャンは自ら配信でライブイベントをはじめています。それを演奏者と一緒になってつくりたい。舞台もそうです。『劇場の灯を消すな!』という番組を、放送のためにやるだけではなく、演劇人に返るような仕組みができたらいい。

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可能性が夢のように広がりますね。

このようにWOWOWのコンテンツを中心にして、どんどん広げていきたいんです。お客さんには、この世界を体験できる会員となっていただく。いっしょになってエンターテインメントカルチャーをつくっていく。それがWOWOWの考える会員事業なんです。

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カルチャーにまでたどり着く道が見えたような気がします。

あとこれは大事なことなので伝えておきたい。カルチャーというのは「価値観が交錯」してできるもの。違う価値観を持った人が集まるからカルチャーと言えるところまで育つんです。だから絶対に「外」の人たちとのつながりが不可欠。せまい自社だけの偏愛に留まらず、他企業と積極的に関わっていきたい。そうしてエンターテインメント文化をプロデュースしていく。それがWOWOWの目指している未来です。

カルチャーをつくる。その志のある人に来てほしい。

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WOWOWが考えるサステナビリティについて聞かせてください。

そもそも企業は社会的な存在なんですよね。人類一人ひとりも社会的な存在です。SDGsが掲げている社会課題を一人ひとりが取り組み、向かい合っていかなければ、人類は滅亡して行きますよね。

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あたりまえの取り組みであるということですか。

そうです。企業として社会課題に取り組むのは、社会に存在する必要条件だと思っています。そしてそれを実業でやるというのが大事だとWOWOWは考えています。エンターテインメントを通じて、多様性が尊重される社会文化の醸成に貢献する。WOWOWにしかできないことかもしれません。

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どのような取り組みをしてきましたか。

いま『WHO I AM』という番組を6年継続してやっています。パラアスリートのドキュメンタリーです。2021年7月には『WHO I AM HOUSE』という常設展もオープンしました。『WHO I AM』が目指していることは、子どもたちや、若い人たちをたくさんインスパイアして、彼らがつくる20年先、30年先の日本社会が、障害のあるなしに関わらずその多様性が尊重される。そして誰もが生き生きと、自分を主張して生きていける社会になるためのスタートになるように制作された番組です。

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SDGsやESGという言葉が知られる前からの活動ですね。

LGBTQ、肌の違い、宗教の違い、ましてや国籍の違い。そんなものにかかわらず、みんな違ってみんないいんだ。 "This is who I am!" と、みんなが言える社会にしたいですよね。この取り組みは青臭いですよね。超青臭いと言ってもいい。でもこの活動に、とても誇りを感じています。

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実業で行うということが、どういうことか理解しました。

多様な文化があるからWOWOWという企業は成り立っているんです。この多様性が文化として小さくなっていくようであれば、我々は生き残れないんですよね。だから実業として行う。これこそがビジネスモデルなんです。

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ありがとうございます。では最後に。どんな人に入社してほしいですか。

いままで話してきたように、WOWOWはいま、いろんな可能性に満ちています。それをいっしょにやってみたいっていう人。会員事業ではあるけど、会員ビジネスでいかにマネタイズするかを履歴書の2行目に書くような人ではありません。コンテンツ愛が真ん中にあって、それを展開していきたい人。最後にはカルチャーをつくるんだ、10年、30年、50年の批評に耐えるような価値を残したいんだ。そういう志のある人に来てほしいよね。

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WOWOWが変わっていく期待感を感じられるメッセージになっていると思います。ありがとうございました。

そうであってほしい。可能性を感じて応募してきて欲しいなぁ。ありがとうございました。


代表 田中晃の偏愛

高校のころから『登山』。
時代は変わっても、山はなにも変わらない。

高校が長野の松本で、山岳部に在籍。ひたすら山歩きをしていて、夏休みはずっと山に入ってました。いまでも年に一回か二回はアルプスの3千メートル級に登っています。昨年の夏は北アルプスの鹿島槍ヶ岳といういちばん好きな山へ。大学のときに遭難しかけたところを見に行きました。これだけ社会が変化しても、山はなにも変わっていない。ほっとします。