「ながたんと青と -いちかの料理帖-2」撮影現場潜入リポート&料理監修・大原千鶴が語る料理へのこだわりと撮影秘話
戦後の京都を舞台に、老舗料亭の再建を目指す女性料理人の奮闘を描いたグルメラブストーリー「ながたんと青と -いちかの料理帖-」。2023年放送の第1期に続いて2025年2月20日より第2期が、毎週金曜 午後11:00に放送中。撮影現場への潜入レポートとともに、各話に登場し物語を美しく彩る料理を監修した料理研究家・大原千鶴氏のインタビューをお届けする。料理監修という仕事の内容や料理へのこだわり、門脇麦さん、作間龍斗さんら出演者とのエピソードまで、たっぷり語っていただいた。
「ながたんと青と -いちかの料理帖-2」毎週金曜 午後11:00 放送・配信
「ながたんと青と -いちかの料理帖-2」撮影現場潜入リポート
五山の送り火を控えたお盆真っただ中の京都。「ながたんと青と -いちかの料理帖-2」の撮影は、クランクアップを数日後に控えて佳境を迎えていた。といってもこの日は主に第2話の撮影。周(あまね)(作間龍斗)の兄である栄(小林虎之介)が帰国し、「桑乃木」を訪れるシーンから始まった。

涼しげな縁側
撮影が進む中、セットの外からはおなかが空いてくるとてもおいしそうな匂いが。本作の料理監修を務められている大原千鶴氏が、次の撮影シーンに登場する料理を作っていた。そして、縁側での撮影から厨房へ...。「桑乃木」の厨房には、戦後間もない時代に即した数多くの調理道具が並んでいる。


セットの転換中は、キャストの皆さんで京都弁の最終確認。第1期からの絆は健在で、和気あいあいとした雰囲気で撮影が再開される。「桑乃木」の料理長であるいち日を演じている門脇麦さんに、大原氏が料理作法を伝授している。野菜の切り方や、調理器具の使い方、ふたの置き方まで細かい部分も惜しみなくプロの調理法が再現されていた。料理シーンは、大原氏もモニター前で確認していたが、門脇さんは包丁の種類も具材によって臨機応変にチェンジするすばらしい包丁さばきで、料亭ならではの配膳作法を最後まで抜かりなく再現していた。
たくさん並んでいるお膳
「桑乃木」の予約を管理する黒板
続いて客室での料理提供から食事のシーンに。第二話では思わず頬が落ちそうな、ロシアの伝統的な家庭料理「ガルブツィー」が出てくるが、こちらはぜひ本編にてご覧いただきたい!
そして客室での撮影中にまたもやいい匂いが...。撮影で使われる料理はもうすでに完成していて、食べるシーンを撮っているのに、どうしてだろう...? と思っていたところ、大原氏が撮影に使わなかった食材で、軽食を作っていた。
いい匂いの正体はこちら!
大原先生の調理場。ここにも多くの調理器具が...!
料理監修のないシーンでは、このように現場の皆さんのためにお料理を作られていて、こういった温かい料理が、現場の雰囲気をより温かくしているんだろうなと実感する出来事だった。

現場のまかない料理と「ガルブツィー」をいただき、ロシアの家庭料理なので食べたことはないはずなのにどこか懐かしく優しい味がして、本当においしくいただいた。スタッフ・キャストの方々も皆さんおいしく幸せそうに食べられていて、おなかだけでなく心もいっぱいになった。ともかく常時いい匂いがして、料理と笑顔が広がっているようなアットホームに撮影が進んでいる現場だった。そのような現場に欠かせなかった大原氏にさらに詳しくお話を伺うべく、後日インタビューの機会をいただいた。
現場の「お母さん」として奮闘。料理監修・大原千鶴が語る撮影秘話
大原千鶴さん
料理研究家への道のりと料理監修への挑戦
――まずは、大原先生が料理研究家として活動されることになった経緯を教えてください。
実家が京都の料理旅館で、料理はいつも身近でずっと好きでやっていました。結婚後子育てをしながら、自分で何か仕事をしたいと思い、初めはケータリングなどをやっていたんですが、そんな折に雑誌に取材していただく機会がありまして。自分の職業に肩書を付けることになったので、自ら「料理研究家」と名乗って発信し始めたのがきっかけです。
――これまでも多くの映像作品で料理監修をされていますが、普段のお仕事との違いはありますか?
普段は、自分がTV番組に出させていただいて、お料理をお教えするのがメインです。ドラマの料理監修というのは、どちらかというとサブというか、サポートのお仕事になりますね。10年ほど前から源(孝志)監督の映画やドラマで料理監修をずっとやらせていただいているんですが、自分としてはメインのお仕事ではないと思っておりまして。ただ、今回のドラマは舞台が京都、それも老舗料亭の娘が主人公ということで、私の育った環境と重なる部分が多かったんです。また、お料理がメインのドラマというのも今回が初めて。お話をいただいた時は「これはちょっと大変だろうな」と思ったのですが、京都ならではの「しきたり」や「季節感」みたいなものを、私ならお伝えできるのではと思ってお引き受けしました。
漫画の世界を「おいしそうな音と色彩」で再現
――原作漫画を映像化するに当たって、特に意識された点はどこでしょうか。
原作のレシピを大事にした上で、映像での見せ方を工夫しました。画面に映る「彩り」にもこだわりましたね。また、昭和の戦後間もない時期という時代背景から、食材や調理法、料理道具、器などもその当時のものに見えるように、美術さんとも相談しながらしつらえていきました。
――ドラマに出てくる料理で印象に残っているものはありますか?
第1期の第六話に出てくる「鮭の炊き込みご飯」は、原作でも描かれているように、いち日さんの「栗の炊き込みご飯」との対比が大事になってくるので、京都らしさや老舗料亭らしさも保ちながらどう豪華に見せようかと試行錯誤したのを覚えています。
第1期「第六話」の鮭の炊き込みご飯(左)と栗の炊き込みご飯(右)
あと、こちらも第1期ですが、「お寿司のケーキ」。ドラマ制作的な制約や予算的な制限があり、限られた予算内でできるもので、それでもお祝いっぽく気持ちがこもって見えるもの...という条件があって、「お寿司のケーキはどうですか」と提案したんです。作るのに10升くらいのお米を炊きましたよ! おかげさまで"ハレ"感がありながらも気持ちのこもったものになって良かったです。
第1期「第八話」のお寿司のケーキ
現場の「お母さん」として本当においしいものを提供
――私もいただきましたが、スタッフの皆さんも撮影用のお料理を食べられていましたね!
はい。ドラマは同じシーンをいろいろな角度から何度も撮るので、たくさん作るんですよね。なので、残ったものをみんなに分けたり。第1期の時はコロナ禍であまりできなかったんですけど、第2期では一斉に食べに来てくれる感じがすごくうれしかったですね。現場の"お母さん"のようになっていました(笑)。
――門脇麦さん演じるいち日の料理シーンの所作指導などもされていらっしゃいました。
そうですね。お料理の盛り付けや、ご飯をよそうとか、お箸の持ち方とか。麦ちゃんはもともと所作がきれいでしたのでそこまで指導することもなかったですね。京都の人が見たときに「あれ?」と思うことがないように気を付けました。第1期では、いち日さんもまだ試行錯誤しながらでしたが、第2期では料理を「自分のもの」として楽しんでいる感覚を大切にしました。彼女の成長を感じていただけるのではと思います。
料理シーンの所作を指導
――エンドロールで流れる本編にはないお料理のシーンも印象的でした。
このシーンもどこを切り取るかを一緒に考えました。ある回では、麦ちゃんと作間さんが仲むつまじく料理しているシーンで、モニター越しに見ていたのですが、お2人のもどかしさも含めて、心の中で「キャー!」なんて思いながら、楽しく拝見していました(笑)。
いち日(門脇麦)と周(作間龍斗)の料理シーン
――周を演じた作間龍斗さんやほかの方とのエピソードはありますか?
作間さんは私の息子と同じくらいの年齢。朝早くから何も食べずに現場にやって来ることも多く、朝ご飯のような...おみそ汁とかパンを作ったりしましたね。収録の合間も、私のいる料理のブースにちょこちょこ入ってきては「何かないかな?」って食べに来ていました(笑)。あと、食卓を囲んで家族みんなでの朝ご飯シーンは、麦ちゃんや作間さん、戸田(恵子)さんが結構な勢いでご飯を食べていて。モニターを見ていたのですが、カットがかかってもずっと食べ続けていて、その様子が面白かったし、うれしかったですね。「食べること」って、人を幸せにすることだと思うんです。なので、見栄えの良さだけでなく、本当においしいものを提供したいと思って作りました。
家族みんなで食卓を囲むシーン
「食」でつながる家族の絆を楽しんで
――ほかにも、撮影時のこだわりがあれば教えてください。
現場では、どうしても食材が余ってしまうのですが、それを無駄にするのがもったいなく、でも食べてくれる人は大勢いるので、即興でいろいろ作って皆さんに差し入れしました。食材はすべて使い切りましたね。現場のスタッフさんは朝早く夜遅かったり、ご飯もちゃんとしたものを食べられない環境の人も多くなってしまうので、しっかり食べさせてあげたいと思いましたし、撮影期間の3カ月ほどずっと一緒にご飯を食べていると、みんながすごく仲良くなって。終わった時はみんな号泣、という感じで、本当に幸せな時間でした。
クランクアップの時、私も俳優さんと同じように花束をいただいて...。撮影の時は本当に大変なことも多いのですが、こういったすばらしい作品に関わらせていただくと、「この仕事はやめられないな」と思うんです。
――ありがとうございます。では、最後に見どころをお願いします。
このドラマは、食べることを通じて家族の絆が深まっていく、普遍的な良さがあります。時代が変わっても「おいしい」という喜びは変わりません。不器用な2人がお料理を通して心を通わせていく姿を、ぜひ登場するお料理と一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。
大原千鶴(おおはら・ちづる)プロフィール
京都府出身。京都の料理旅館「美山荘」が生家。幼少期より料理の心得を学び、現在は料理研究家として、雑誌、テレビ、講演会、料理教室、商品開発など多方面で活躍中。NHK「きょうの料理」のレギュラー講師を務めるほか、家庭で作りやすく、かつ豊かな食卓を提案し、幅広い層から支持を得ている。著書も多数。
▼「ながたんと青と -いちかの料理帖-2」WOWOWオンデマンドで順次配信中!
(第1話を2026年5月1日(金)23:59まで無料配信中)
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