技術インターンシップ開催!「技術×音楽フェス」をテーマに学生たちが新サービス提案
WOWOWの技術職向けのインターンシップが9月10日より3日間にわたって辰巳放送センターにて開催され、約300人の応募者の中から選ばれた18人の学生が参加した。グループワークでは「WOWOWの技術を活かした音楽フェスの新サービスを提案せよ」とのお題が与えられ、最終日には白熱のプレゼンテーションが行なわれた。
初日、2日目は番組制作とWOWOWの新技術を体験!
初日は番組制作体験からスタート! 番組収録が行なわれる収録センターや国内外の生中継で重要な役割を担う回線センター、音楽ライブやスポーツ中継で使用される中継車など、番組制作の生の現場を見学するとともに、学生たちも実際の機器に触れ、番組制作や編集作業にも挑戦した。
2日目はWOWOWが誇る新技術を体験! 超低遅延&高レスポンスで、ライブやスポーツ会場で、スマホなどの端末で実際のイベントと同時に映像が楽しめる映像配信システム「Live Multi Viewing(以下、LMV)」、圧倒的な没入感を味わえる音響システム「3Dオーディオ」、アイトラッキング、ハプティクス(触覚)デバイス、ハンドトラッキングなどの技術を取り入れた「VRアニメーション」といった新たな技術に触れる機会が持たれた。
「技術×音楽フェス」のグループワークに挑戦
2日目後半から最終日にかけて行なわれたグループワークは、四つの班に分かれて実施。「技術×音楽フェス」と銘打ち、この2日で学んだWOWOWの技術を最低一つ取り入れることを条件に、「WOWOWの技術を活かした、音楽フェスに関する新エンタメサービスを提案する」という課題が与えられた。各グループは限られた時間の中、WOWOWが抱える課題や強みを洗い出し、アイデアを出し合い、議論を重ね、企画を落とし込んでいく。
最終日の午後には、プレゼンテーションを開催。与えられた時間は10分で、プレゼン後には学生および社員からの質疑応答の時間も設けられた。
Aグループ:「WOWOW Live Circle」で映像を通じたコミュニティーの輪を提案
トップバッターのAグループは、「こんなサービスがあったら使ってみたい」という視点をベースに、ライブ映像コミュニティーサービスを通して、利用者のコミュニティーサークル(輪)を形成すべく「WOWOW Live Circle」というサービスを提案。音楽フェスの全ステージライブ配信、ファンが現地で撮影した映像をほかのユーザーとシェアできるサービス、フェスをより満喫するため、LMVを活用したエリアマップ機能などを発表した。また、SNSを活用した広告やアーティストの入れ替わり時間を狙ったCMなど広告展開についても提案を行ない、WOWOWのライブ配信サービスにおける認知度向上の重要性を訴えた。
Bグループ:「WOWサングラス」でフェスをもっと楽しく!
続いてBグループは、WOWOWの高い技術力を用いてフェスを楽しんでもらうことで、WOWOWへの加入を増やすというゴールを設定し、オフラインとオンライン両面でのサービスを考案。実際にフェスに参加する人々(オフライン)のために、LMVを使った「WOWサングラス」を配布すること、現地で休憩中にもライブ中継が楽しめる、3Dオーディオを駆使した音響スタジオの設置などを提案した。さらに現地に行きたくても行けない人(オンライン)向けには、配信コンテンツの充実化、自分好みの視点でライブを楽しめるサービス、さらにはアーティストを応援するためのプロジェクトなどを企画した。
Cグループ:メタバース空間でアーティストとの交流が実現!?
Cグループは「Reality Music Fes -RMF-」と銘打った、オンデマンドによるサービスを打ち出した。LMV、VRアニメーション、さらにXR(クロスリアリティー)、そして立体音響技術と複数の技術を組み合わせ、「空間」「映像」「音響」それぞれにアプローチ。新たなライブ体験を提案する。メタバース空間でのアーティストとの交流という夢のある企画の一方で、固定回線事業会社との提携による通信の円滑化まで盛り込むなど、現実的な問題の解決策も踏まえ、一般的な認知度がまだ低い仮想空間分野において、WOWOWの基盤作りと認知度向上を見据えた。
Dグループ:「VR復刻フェス」で40~50代の音楽ファンが熱狂!
トリを務めたDグループは、ほかの3グループとは大きく異なり、ターゲット層をWOWOW視聴者のボリュームゾーンである40~50代に設定。オンラインで過去の音楽フェスを楽しむことができる「VR復刻フェス」を提案した。VR空間やVR音響の新技術を駆使して、過去のライブ映像をもとに、実際に会場に足を運んでいるかのような臨場感や興奮を味わってもらおうという企画で、これにはドンピシャ世代である40〜50代のロックファン社員も思わず反応する。
白熱の質疑応答&総評
各プレゼン終了後の質疑応答では、社員だけでなくほかグループの学生からも次々手が挙がり、各グループが提案したサービスの可能性や懸念点について、さまざまな視点から質問が飛ぶ。
「技術的に可能なのか?」「コストがかかり過ぎるのでは? どれくらいの料金設定を想定しているのか?」「WOWOWにとってのメリットは?」「VRのデバイスを装着することに抵抗感を持つ人も多いのでは?」などなど、鋭い意見が続出。短時間での企画・提案ということもあり、想定外の質問に時に言葉を詰まらせる場面がありつつも、各グループ真剣に自分たちの提案をアピールし、活発な議論が交わされた。また、社員からは「クオリティーが高い提案でした」「現状分析、ターゲットの設定がすばらしい!」など、それぞれの鋭い分析や練り上げられた提案に称賛の声が上がっていた。
最後には、技術センターの各ユニット長による総評の時間が設けられた。
運用技術ユニットの横山ユニット長は「Aグループは、ユーザーが撮影した映像でコミュニティーの輪を広げるというアプローチが面白かったです。Bグループは、フェスの課題とWOWOWの課題をミックスして解決しようとするのが面白い着想でした。Cグループは、現状分析からしっかりしていて論理的でしたし、LMVにVR、XRと技術を詰め込む発想の豊かさがすばらしい! Dグループは、個人的に一番体験してみたいと感じたサービスでした。昔のアーティストのライブ映像は、WOWOWにもいくつも眠っているので、ぜひよみがえらせて聴けたらと思います」と、各グループの分析力、発想力をたたえた。
また制作技術ユニットの八木岡ユニット長は「短時間でしっかりした資料作りができていたし、プレゼンもロジカルで、想定外の質問にもきちんと回答していて、『あったらいいな』と思わせる提案をまとめ上げてくれていました」と学生たちをたたえ、「WOWOWに限らず、この業界はやりたいことにチャレンジできると思うので、皆さんの『働きたい!』という想いが強まっていたらうれしいです」とエールを送った。
そして技術推進ユニットの村上ユニット長は「Aグループは、自分たちが使いたいサービスというところからの発想がすばらしく、"コミュニティー"というワードをしっかり料理していました。Bグループは、技術力を伝えることで加入者が増えるという仮説からのアプローチが面白い。難しい入口に挑んでくれました。Cグループは、データをもとにターゲット設定を具体化しつつ、既存技術の組み合わせでメタバース空間まで導き出していたのが良かったです。映画『竜とそばかすの姫』のような世界観にたどり着けそうなアイデアだと思います。Dグループは、非デジタルネイティブ世代であるわれわれに、どう新技術を使わせるかを考えていて、面白かったです」と各グループを評価。加えて「かなり難しいテーマで、これをどう料理するのかと期待していましたが、全チームしっかりとした着想から、『WOWOWでサービスにするとどんな価値があるのか?』というところへ着地してくれていました」と賛辞を贈り、「この3日間の経験で、何か一つでも持って帰っていただき、人生の1ページにしていただけるといいなと思っています」と締めくくった。
取材・文/黒豆直樹 撮影/祭貴義道