2018.11.12

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東京国際映画祭で「W座からの招待状」公開収録が開催! 小山薫堂、信濃八太郎、阿部海太郎が選んだ"ベスト"招待状は...?

東京国際映画祭で「W座からの招待状」公開収録が開催! 小山薫堂、信濃八太郎、阿部海太郎が選んだ

WOWOWがいま、最も見てほしい映画をセレクトし、各作品に合わせて"案内人"を務める小山薫堂が文を、信濃八太郎がイラストレーションを、阿部海太郎が音楽をつづり、濱田岳が朗読することで"招待状"を作成し、映画と共に紹介する人気番組「W座からの招待状」。第31回東京国際映画祭において10月28日(日)、同番組の公開収録が開催され、イギリス映画『パリへの逃避行』が上映されると共に、小山さん、信濃さん、阿部さんが出席しての上映前&上映後トークセッションが行われた。

WOWOWがいま、最も見てほしい映画をセレクトし、各作品に合わせて"案内人"を務める小山薫堂が文を、信濃八太郎がイラストレーションを、阿部海太郎が音楽をつづり、濱田岳が朗読することで"招待状"を作成し、映画と共に紹介する人気番組「W座からの招待状」。

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第31回東京国際映画祭において10月28日(日)、同番組の公開収録が開催され、イギリス映画『パリへの逃避行』が上映されると共に、小山さん、信濃さん、阿部さんが出席しての上映前&上映後トークセッションが行われた。

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この日の会場のロビーには、初代イラストレーターを務めた故・安西水丸さんが手がけた『シャンボンの背中』や、2代目の故・長友啓典さんによる『イヴ・サンローラン』など、過去に同番組で放送された作品の招待状、さらに小山さんが今回の公開収録に臨むにあたって、観客に向けてつづったメッセージなどが展示された。

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番組は通常、招待状の紹介、放送前の小山さん&信濃さんのトーク、映画の放送、そして放送後のアフタートークという流れで構成されるが、この日は、阿部さんによるピアノの生演奏でスタート!

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500名の会場は満員だったが、小山さんは「絶対に埋まらないと思ってました。信濃さんが(埋まっていない客席を見て)『やってらんない』と帰ったらどうしようかと...(笑)」と冗談を交えつつ、嬉しそうに満席の客席を見渡していた。

DSC_6734.JPG左より、「W座からの招待状」音楽・阿部海太郎、案内人・小山薫堂、イラストレーション・信濃八太郎

「パリへの逃避行」ヒロインの家族を捨てての逃避行に共感? 疑問? 

この日、上映される『パリへの逃避行』は、夫と子どもたちとの日常に疲れ、家を飛び出し、パリへと赴く女性の姿を描く作品。ヒロインが家族に疲弊する姿やいわゆる"不倫"の描写もあり、小山さんは「日曜の朝に見る映画じゃないですね。カップルや夫婦で来られた方々は...浮気してる旦那さんがいたら『イヤなところに来ちゃったな』と思うかも」と苦笑交じりに映画を紹介。

paris.jpg映画「パリへの逃避行」(WOWOWシネマにて11月放送予定)

上映後のトークでも小山さんは、経済的には恵まれた環境で、夫と子どもたちに囲まれて暮らすも、パリへと逃避するヒロインのタラの行動について「男と女で目線が違うかもしれないけど、何が不満なんだ? と思っちゃう方もいるのでは(苦笑)」と話すと、信濃さんは、妻が外に仕事に出て、自身は家にいることが多いということもあって「タラの気持ちがよくわかりました」とタラに共感。

koyamakon.png2011年の番組開始より"案内人"をつとめる小山薫堂

主人公が、ここではないどこかにあるはずの本当の人生を求めてさまようという物語そのものは「普遍的、古典的なテーマ」という阿部さんだが「手法を含めて美学を感じました。編集で現場の音を活かしたり、繊細に作られている」と称賛する。

umitaro.pngおなじく番組開始より音楽をつとめる阿部海太郎

この点について信濃さんは「実はこの映画、設定だけ決められていて、セリフは全部アドリブなんです」と明かし、会場は驚きに包まれる。小山さんは「夫婦が久しぶりにデートするシーンの会話で、夫が妻が頼んだメニューを聞き直すセリフがあるんだけど、普通(台本があったら)ありえない。そういうところにすごくリアリティを感じました」と感嘆。信濃さんも「それを知って見直すと、また違うものが見えてくると思います」とうなずいた。

hatitaro.png三代目・イラストレーターをつとめる信濃八太郎

それぞれの招待状に込めた思い、安西水丸さん、長友啓典さんとのやりとりを述懐

今回、小山さんが招待状のためにつづった文は「愛と嘘」という題名。小山さんは普段から招待状について「映画の流れや作品への思いを描くというより、ひらめいた言葉を書いているだけ」とのことだが、今回は「女性って怖いなと思いました。こんなにサラッと嘘をつくのか...と。守るために嘘をつく――こんな思いを女性は持っているんだなと感じました」と文に込めた思いを語った。

トークの後半では、過去365本の招待状の中から、3人がそれぞれ"ベスト"を発表! 小山さんがえらんだのは安西さんと共に案内人を務めていた頃の初期に放送された『ヤコブへの手紙』を信濃さんは自身がイラストを担当した『20センチュリー・ウーマン』を選出。阿部さんは長友さんのイラストによる『ザ・ウォーク』を挙げて、それぞれ作品についてだけでなく、招待状の制作にまつわるエピソードや思い入れ、さらに安西さんや長友さんとの思い出を語り合った。

anzaikundou.png初代・イラストレーター安西水丸氏(故人)

nagatomo.png2代目イラストレーター長友啓典氏(故人)

ミニシアターを盛り上げたい! リアルW座の設立&全国巡礼を熱望!

さらに今後、同番組でやってみたい企画やイベントを問われると、信濃さんは「以前、『W座を探して』という企画がありましたが、地方のミニシアターを訪ねて、その土地の人たちと作品を見て、質問に答えたり、直接、話をしてみたい」と語り、阿部さんも「全く同じ! 名画座がどんどんなくなっていますが、地方の映画館になかなか行く機会がないので」と全国巡礼を熱望する。Wza28-03.jpeg

小山さんは「リアルW座を作りたい!」とTVという枠にとどまらぬ、リアルな映画館の設立を希望! 「権利がいろいろ難しいかもしれないけど、番組を核にしつつ、"W座アライアンス"みたいな感じで全国のミニシアターをつないで、盛り上げていけたら」とやはりミニシアターの盛り上げのための企画の実現を切望していた。kundou.png

公開収録の最後に小山さんは改めて、W座の持つ魅力について「自分の好きなものだけを見るのではなく、この(番組の)枠を見ようという意識を持つことで、苦手なジャンルや見ようと思わなかった作品に出会うことができ、そこにいままで気づかなかった楽しさや魅力を見つけられること」と説く。そして「時々、本当に眠たくなる映画もありますが(苦笑)、安西水丸さんはいつも『2時間の映画の中に5秒でも心に残るシーンや、胸に刺さるセリフがあれば、それはその映画の持つ最高の魅力だ』とおっしゃっていました。これからも楽しみながら、時々、苦しみつつ(笑)、この番組を応援していただければと思います」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。

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取材・文/黒豆直樹  制作/iD inc.

■「パリへの逃避行」(c)Improvised Films Limited 2017