「Paramount+」がWOWOWにやって来た!【前編】担当社員が語る!新サービス立ち上げに込めた想い。
世界45カ国で展開しているプレミアムサブスクリプション型ストリーミングサービス「Paramount+」(パラマウントプラス)が、12月1日(金)より、WOWOWオンデマンドでのサービスを開始した。
今回、このサービス開始に向けて奔走した当社社員3人にインタビューを敢行。前編ではParamount+のサービスを開始するまでの経緯など裏事情を、後編では3人それぞれが「Paramount+」の中からイチオシのコンテンツを紹介する。
左から映画部の渡邉数馬、泉理絵、岡良亮
当社社員3人の自己紹介
――まず、現在の所属部署と簡単な経歴を教えてください。
渡邉「映画部長の渡邉です。大学時代は映画サークルに所属していて、ゆくゆくは映画の製作に携わりたいと思っており、映画のイメージが強かったWOWOWに入社しました。新卒で映画部に配属されて約10年、映画の権利交渉や調達業務を行なっていました。その後、編成部(現在のコンテンツ戦略部)に異動しましたが、そこでも映画に関連する業務に当たっていましたので、トータルでは20年以上、映画や海外ドラマにまつわる仕事に携わっています。2020年からは映画部長としてWOWOWの映画全般の業務を管理しています」
映画部長 渡邉数馬
泉「コンテンツ戦略部と映画部を兼任している泉です。海外のコンテンツに携わりたいと思って、WOWOWに新卒で入社しました。入社後はデジタル、SNSの部署で3年間勤務。その後、制作部に移り、『パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM』の立ち上げに参加。約7年間、制作に携わりました。1年半ほど前にコンテンツ戦略部に異動して、主に海外ドラマと映画を担当しております。兼務している映画部では『アカデミー賞』そしてParamount+を担当しております」
コンテンツ戦略部 泉理絵
岡「2023年7月に中途で入社した岡です。入社3日目に渡邉から『Paramount+の担当になってほしい』と言われまして(苦笑)。いきなり大きい業務を担当することになりました。前職は映画の配給レーベルで、劇場の配給回り、洋画の買い付け、劇場への営業などをやっていました。いくつかの会社で業務経験がありますが、ずっと洋画の買い付けがメインでした。WOWOWに入社して、今までにやってきたこととはちょっと違う業務に当たることになったので、Paramount+を担当しつつ、映画部の業務も少しずつ覚えていっている、という段階です」
映画部 岡良亮
Paramount+について
――早速ですが、「Paramount+」とは、どんなサービスなのでしょうか?
渡邉「日本でパラマウントといえば映画、例えば『トップガン』や『ミッション:インポッシブル』といったハリウッド作品を提供している会社という認識があると思うんですが、実際のところ、パラマウントはいろいろなメディアの集合体です。テレビ局があったり、映画・ドラマの製作・配給会社があったり、アニメのチャンネルがあったり。数多くのメディアが総合的に集まったグループなんですね。
グループにアメリカのテレビ局で三大ネットワークの一つであるCBSを持っていて、そこで2014年から『CBS All Access』という配信サービスが始まりました。同時期にNetflix (ネットフリックス)やDisney+(ディズニープラス)など、有力な各社がコンテンツをTVメディア経由ではなく配信サービスとして直接顧客に提供を始める時代になっていきました。そのタイミングで、CBSのドラマやスポーツを見られるサービスだった『CBS All Access』をより拡大しようということで、2019年くらいからパラマウントグループが持っているドラマ、映画、アニメーション、ドキュメンタリーなど全部を盛り込んだサービスに更新しました。そして、2021年からは『Paramount+』と名前を変えて世界展開しています。いわゆるSVOD(定額制の配信サービス)として急拡大していて、現在45カ国以上でサービス展開されています。契約者も、今日現在では延べ6,300万人以上が視聴している世界的なSVODサービスの一つです」
岡「フランスに留学していた映画部スタッフが帰国し、Paramount+がWOWOWオンデマンド内に入ることを知ってとても喜んでいました。フランスでParamount+を見ていて、そのサービスの豊富さや豪華さを切々と語ってくれたことが印象的でした。
ちなみにフランスではParamount+はCanal+(カナル・プリュス)という世界的にも有名なペイテレビとタッグを組んでサービス展開を行っていて、今回の日本とローンチと似たような構図なんです。
まだまだ若いサービスではありますが、世界45カ国にてサービスを展開し、年々会員数を伸ばしていることからも分かるように、世界では認知度がとても高く支持されているサービスなんですよね」
Paramount+のサービスをWOWOWオンデマンドで開始するまでの裏側
―パラマウント側とはどのように交渉を進めたのでしょうか?
渡邉「2022年にParamount+がアジア圏で初めて韓国に上陸しました。その次は日本だと話題になっていた頃......確か2022年秋くらいに、パラマウントが日本で展開するに当たってのパートナー企業を探している、という話を聞きまして。パラマウントのグループ会社のお付き合いのある方に、ローンチパートナーとして紹介してもらえないかを打診してみたんです。それが本当に最初のきっかけですね。その後、パラマウントのアジア統括チームと交渉できることになり、私は英語があまり得意ではないので(苦笑)、英語が堪能な泉さんに交渉に参加してもらいました。泉さんと岡さんは長く海外で暮らしていた経験があって、英語での交渉ができるというだけでなく、 "アメリカや海外の感覚"で物事を見られるので。そういった部分も今回の業務には重要だと思って声をかけたのですが、実際に助けられていることが多いですね」
泉「渡邉さんは険しい顔をして日本語で交渉する担当で、私がボスの言うことに困ったフリをしながら先方に伝える役目ですね(笑)」
渡邉「最初の交渉の場で、先方からは『WOWOWのストラテジー(戦略)を教えてくれ』と言われまして。まずは『WOWOWオンデマンド』の説明から始めていきました。対話を進めていく過程で、Paramount+をWOWOWオンデマンドの中で提供していく具体的なイメージを持つことができ、現場としてはぜひ一緒に取り組んでいきたい!という話をしたのが2022年の12月くらい。その後、交渉を続けていく中で、岡がWOWOWに入社してきました。先ほどの岡の話にもあったように、入社3日目くらいに海外とのオンラインのミーティングに出席してもらってましたね」
岡「入社したばかりでWOWOW社内の人のこともほとんど知らないという中で、泉さんと一緒にボスの通訳をやりましたね(笑)」
渡邉「岡が最初に入ったミーティングは技術的な部分のやりとりだったんです。普通は事前に用語などについてやりとりをしておかないとよく分からない領域だったりもするのですが、岡は当日いきなり通訳を任された形にもかかわらず、説明無しでできていたので、とても助かりました(笑)」
泉「多少の覚悟はしていたつもりなのですが、海外の企業と日本で新しいサービスを一緒に立ち上げるって、こんなにも難しいことなのか、と痛感させられました。仕事の仕方やニュアンスが違ったり、現地の担当者との言語や文化の壁があったり。当初は映像をWOWOWオンデマンドで他コンテンツと同じように配信していくくらいに思っていたのですが、運用方法がこれまでとはまったく異なるため、一から体制を確立しなければいけなかったり、他にもプロモーションの方法がこれまで通りとはいかなかったり、なかなか大変でした(苦笑)」
岡「パラマウントのアジア統括チームのトップとの交渉でOKでも、そこからさらにグローバルのトップまで話がいくと、これではダメだ、と交渉も二転三転して。初期はそういったストレスもありました。ただ、パラマウント側も世界戦略の中で日本を大事なマーケットとして考えてくれていて、今回の交渉に力を入れてくれていることを、交渉を重ねていく中で感じましたね」
―これまで培ってきたWOWOWと視聴者の関係性が大きな後押しにつながった?
渡邉「WOWOWは、開局から30年以上、ハリウッドを中心とした世界各国の映画をお客さまに届けてきました。その中にはパラマウント・ピクチャーズの映画やグループのCBSのドラマ『CSI』『FBI』シリーズなども数多く含まれています。それらの作品はWOWOWの視聴者にも長きにわたりとても好意的に受け止められていて、ファンも多く存在している。そういうこれまでの関係性や視聴者の存在を伝えて、『WOWOWでParamount+をやらなくてどこがやるんだ!?』くらいの強い気持ちでアピールしていきました。また、現在のWOWOWは会社のメディア戦略として配信サービスの強化に注力しているという側面もありますので、そこも強くアピールしました。Paramount+がWOWOWオンデマンドの中にあることで、WOWOWのオンデマンドサービスも大きくなり、視聴者の満足度も高まっていく。WOWOWオンデマンドが大きくなればなるほど、Paramount+の認知度も上がり、メリットが生まれていくんだよと。
WOWOWの視聴者は上質な作品を求める方が多く、そういった方々はParamount+側にとってもターゲットゾーンなので、パートナーとして、これまでWOWOWが培ってきたポジションや視聴者の存在が期待されたと思っています」
お客さまからの反響について
―サービス開始の発表をして、視聴者からの反応はいかがですか?
泉「SNSでは、『日本にParamount+が来るのは意外だった』という感想や驚きが多かった気がします。すでに他の配信サービスにParamount+作品が含まれていたので、日本には上陸しないと思われていた方も結構いたのかなと思います。
でも、『期待している!』『楽しみ!』『あの作品見れるかな!?』というポジティブな声もたくさんあったので、その期待に応えるサービスにしなくちゃ!とプレッシャーと日々闘ってます(苦笑)」
岡「Paramount+が来るというと、あの作品は? これは見られる? と周りからいろいろ聞かれたりしました。やっぱりみんなWOWOWオンデマンドでParamount+のどういうコンテンツが見られるのか、知りたがっているんだなと感じます」
渡邉「Paramount+はサービス開始時のインパクトはもちろんですが、その後も継続するサービスなので長期的に育てていこうと思っています。視聴者の反応を見ながらコンテンツの幅や独占タイトルを少しずつそろえていきたいですね」
泉「そうですね。まずはサービスの立ち上げにしっかり取り組んで行ければと。その後、来年夏頃くらいまでには『WOWOWオンデマンドに行けばParamount+の作品がしっかりそろっている!!』と思っていただけるように頑張っていきたいと思います」
渡邉「あと、今回WOWOWと一緒にサービスを展開するJ:COMさんとのタッグというのも意外だったと言われますね。でも、WOWOWもJ:COMさんも映像コンテンツへの興味関心が高い視聴者層が多く、お互いの求めるターゲット像が近いこともありますので、パラマウントさんを軸に3社で盛り上げていきましょう!ということになりました」
泉「J:COMさんには長らくWOWOWの加入窓口としてお世話になっていることもあり、チームとしてとてもいい関係です。日本ではまだなじみの薄いこのParamount+というサービスを一緒に広めようと協力し合っています」
渡邉「J:COMさんもそうですが、自社のサービスの中にParamount+が丸ごと入るので、非常に分かりやすいと思います。追加料金無し、別途新たに登録する必要もなく、ご加入いただければすぐにParamount+のラインナップを見られるというのも、お客さまにとってプラスになる大事なポイントですね」
パラマウントとともにParamount+を育てていきたい
―配信作品は、パラマウント側と協議して決めるのでしょうか?
泉「Paramount+のラインナップについてはパラマウントさんが編成を行う形となりますが、より良いラインナップにすべくParamount+の担当者とは常にディスカッションを行なっています。例えばドラマ『スター・トレック』シリーズの新作『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』がラインナップに入るから、それと関連するシリーズも一緒に入れて展開をしてみようか?など。
WOWOW側の意見はこれまでに培ってきた海外ドラマに関する知見や視聴者の反応、SNSでの意見などを参考にしています。パラマウントと一緒に世間の反応を見ながら、Paramount+を育てていく、そのためにラインナップの作品をディスカッションしていく、という考え方です」
岡「パラマウント側からアメリカではやっているドラマを薦められ、感想を求められることもあります。日本人も好きかもしれないけど、だったらこっちの方が好きかな、とか意見交換をしたり。すべてではないですが、ラインナップの選定を一緒にさせてもらっている感じですね。
また日本では海外作品を吹替版で楽しむといったニーズが多いこともあり、海外ドラマを中心に吹替版での提供も積極的に行っていければと考えています。11月24日から一部作品の第一話の先行配信を行ったのですが、新作の『タルサ・キング』では主演のシルヴェスター・スタローン役を大御所声優のささきいさおさんに吹替いただいたところ、SNSでは早速視聴者からの好意的な反応がみられました」
渡邉「Paramount+は展開先の国の強みを生かした、地域特性を反映したサービスを展開しています。もちろん、日本と韓国やそのほかの地域でもコンテンツのラインナップはイコールではありません。各国のマーケットに沿ったコンテンツの入れ方、見せ方をしている。パラマウント側はそういう戦略でやっているのかなと思います」
―Paramount+のWOWOWでの今後の展望について教えてください。
泉「まず、WOWOWオンデマンドでご視聴いただける海外ドラマの作品数がぐっと増えます。吟味した作品をラインナップに追加できるからこそ、海外ドラマファンの皆さんにはより楽しんでもらえると思います。将来的には、WOWOWの放送とも連動した企画や、パラマウントと一緒に番組を制作するなどの目標もあります」
渡邉「韓国では現地のパートナーと一緒にコンテンツを作っているんです。WOWOWがパートナーに選ばれた理由の一つには、WOWOWがオリジナルコンテンツを作っているから、ということもあると思っています。中長期的にWOWOWとパラマウントで組んで、日本でオリジナルのコンテンツ...例えば『CSI』や『NCIS』シリーズの東京版を作るとかも?」
泉「将来的には両社で検討していければと現場担当間では盛り上がっていました。いつの日か『CSI:TOKYO』作りましょう!って。これが実現できたら最高ですね!」
渡邉「WOWOWオリジナルドラマをParamount+に入れてもらって世界に配信する、という可能性もありますね。世界中のParamount+で『フィクサー』シリーズが見られる、みたいになっていけばうれしいですし。今後そういった展開も実現できるよう両社の関係性を深めていきたいと思います」
岡「今のWOWOWであまり提供することができていないファミリー向けのアニメ作品やリアリティ・ショーなど多様なジャンルのコンテンツがたくさん入ってくるので、WOWOWオンデマンドを通じ新しい視聴者の方々に見ていただきたいですね! そういった部分でもParamount+の効果を楽しみにしています」
渡邉「ここまで1年以上、山あり谷ありを乗り越えてローンチできたことを、本当にうれしく思います。これからの展開を楽しみにしていただきたいですし、われわれも非常に楽しみです!」
関連情報
▼Paramount+を今すぐ見るならこちら!
https://wod.wowow.co.jp/genre/ParamountPlus