2018.11.30

  • クリップボードにコピーしました

12月1日より「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」のネット同時配信サービスが本格開始!
より"便利に使える"WOWOWを目指して。

編成局編成部 栗林幹夫、二宮崇昌、マーケティング局企画部 直志大輔

12月1日より「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」のネット同時配信サービスが本格開始!<BR>より

12月1日にスタートする「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」のネット同時配信サービスに先駆け、10月1日よりPC・スマートフォン・タブレットで、放送中の番組が同時視聴できるトライアルサービスを行っている「WOWOWメンバーズオンデマンド」。本サービス開始にあたり、ネット同時配信プロジェクト担当者3名に、サービスの概要やトライアルサービスの手応え、今後の展開などを聞いた。

181130_net_3shot.png

◆ 編成局編成部 栗林幹夫(写真中央):2012年7月よりサービス開始した「WOWOWメンバーズオンデマンド」の立ち上げから参画。ネット同時配信プロジェクトでは、プロジェクトリーダーとして全体の取りまとめを行っている。

◆ 編成局編成部 二宮崇昌(写真右):「WOWOWプライム」のチャンネルデスクを担当。ネット同時配信プロジェクトでは、権利処理まわりも含めたコンテンツ全般の業務を担当している。

◆ マーケティング局企画部 直志大輔(写真左):有料放送事業の事業計画策定と遂行管理を担当。ネット同時配信プロジェクトでは、顧客管理、サービス全般の開発を担当している。

「いつでも・どこでも」から「いつでも・どこでも・すぐに」観られるサービスへ

──「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」のネット同時配信サービスを始めたきっかけについて教えてください。

栗林 2017年5月に発表したWOWOW「中期経営計画(2017年度-2020年度)」にある「サービスの更なる高度化」では、「ネット同時配信を2018年度に開始する」ことを重点戦略として掲げています。その計画に基づいて、2017年11月1日にネット同時配信サービスのプロジェクトが発足したというのが経緯です。

──ネット同時配信によって実現する「サービスの更なる高度化」とは?

栗林 WOWOWは家のテレビで観る"ホームエンタテインメント"でしたが、2012年7月に「WOWOWメンバーズオンデマンド」がスタートしたことにより、スマートフォンやタブレット端末でオンデマンド配信をお楽しみいただけるようになりました。さらに現在の多様なライフスタイルに合わせてサービスを高度化するべく、テレビ放送中の番組をPC・スマートフォン・タブレットで視聴できるようにしたものが、今回のネット同時配信サービスになります。

──これまでのBS放送&オンデマンド配信に、ネット同時配信が加わったことで、お客様にとってどのような利便性が期待できるでしょう?

栗林 WOWOWメンバーズオンデマンドがスタートしたことで、「いつでも・どこでも」WOWOWを観られるようになりましたが、それにネット同時配信が加わったことで、「いつでも・どこでも・すぐに」観られるようになりました。WOWOWメンバーズオンデマンドの「見逃し視聴サービス」は番組が放送し終わってから観るものでしたが、ネット同時配信では、いま放送しているものをネットですぐに観ることができる。"すぐに"というのが大きな特徴だと思います。

二宮 家族から個人へと視聴環境がシフトしていき、"家族みんながリビングに集まって、ひとつのテレビ番組を観る"というシーンが昔ほど見られなくなった現状において、今回のネット同時配信は"個人でWOWOWの番組を観るツール"として、より使いやすくなっていると思います。例えば、「映画を観たいけれど、途中で寝ちゃうかもしれないからベッドで観よう」といった使い方ができるようになりました。いまの時代、もはや普通のことかもしれませんが、WOWOWでそれができるようになったというのは、既存の会員様にとっては大きいと思います。

直志 24時間常時 "リアルタイムでのネット配信"を実現しているので、「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」の3チャンネルをどこでも即座に観ることができる今回のサービスは「便利になった」と感じていただけるのではないでしょうか。

3チャンネルをシームレスに行き来できる、専用アプリ「WOWOWメンバーズオンデマンド」

──スマートフォンやタブレットでネット同時配信を視聴する際には専用アプリ「WOWOWメンバーズオンデマンド」を使いますが、UI・UXの観点からこだわった個所などはありますか?

栗林 まず、"すぐに"観たい番組へアクセスできるように、ホーム画面の一番上に3チャンネルの遷移ボタンを置いて、観たいチャンネルをタップするとすぐに番組を視聴できるようにしています。さらに、「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」の3チャンネルをシームレスに楽しめるように、視聴画面を左右にスワイプすることでチャンネルが変わるようにしています。

画面下にも3チャンネルの現在の放送内容を表示し、「いま隣のチャンネルではドラマをやってるんだ。ちょっと気になるから観てみようかな」と、チャンネル間を自然に行き来できるように作っています。

181130_net_01.png

直志 初めて触れるお客様でも、アプリを立ち上げると3チャンネルのロゴがすぐに目に飛び込んでくるので、観たいチャンネルを自然にタップしますよね。そうすると、番組が流れている。その画面を左右にスワイプするだけで、簡単にチャンネルを切り替えることができる。すべてが"直感的に操作できるように"設計されているというのが特徴ではないでしょうか。

二宮 操作性に関しては、特にこだわっていると思います。というのも、我々はテレビ放送を行う会社なので、アプリはあくまで"プラスアルファのサービス"を体現するためのものいう位置づけなんです。既存のお客様に対して「WOWOWがより便利に使えるようになりました」と提示できるツールのひとつであって、アプリだけで他社さんのサービスと張り合おうとは思っていない。だからこそ、既存のお客様が違和感なく使えるように、操作性を追求することが重要なんですね。

栗林 もうひとつの特徴としては、番組表をつけたことが挙げられると思います。これまでWOWOWメンバーズオンデマンドでは番組表を持っておらず、見逃し配信などの番組タイトルが並んでいて、それを押すと観ることができるという作りでした。今回はネット同時配信なので、放送予定を掲載する必要が当然出てきますし、先ほど言ったように、3チャンネルをシームレスに楽しむためには欠かせない要素になるので、開発チームには頑張ってもらいました。

二宮 これまでのオンデマンド配信は、ひとつの番組を観終わったら「次は何を観ようか」と自分で探しに行かないといけなかった。でも、当然のことですが、我々編成部は「この番組の次はこれを観ていただきたい。これとこれをセットで観ていただきたい」と考えながら編成しているんです。ネット同時配信では、その我々の思いの通りに観ていただける可能性があるので、そのためにも、番組表を掲載するというのはとても大切なことだと思っています。

栗林 11月11日を例に挙げてみますと、WOWOWプライムで18時半からWOWOWオリジナルドキュメンタリー「ノンフィクションW」を放送します。野村万作・萬斎・裕基の野村家三代がパリで「三番叟(さんばそう)」を披露する様子を追った内容ですが、その番組の前には、野村萬斎さんがご出演された映画『陰陽師』、『陰陽師II』、『のぼうの城』を続けて放送します。これらを「特集:野村萬斎の世界」としてセットで観ていただきたいというのが編成の思いなんですね。オンデマンド(見逃し)だと、その通りに観ていただくのは難しいのですが、ネット同時配信だと続けて一気に観ることができる。そこが大きな違いかと思います。

181130_net_kuribayashi.png

──ネット同時配信のカバー率(通常放送番組全体からみて、ネット配信している番組の占める割合)は現在どのくらいでしょうか?

栗林 2018年10月および11月は、8割を超えていますが、今後もさらなるカバー率の向上を目指し取り組んでいきたいと思っています。

──10月1日よりネット同時配信のトライアルサービスを開始しましたが、お客様の利用状況はいかがでしょう?

栗林 トライアルスタートとなった10月は、WOWOWメンバーズオンデマンドの利用が昨年と比較して1.5倍という結果になりました。これはもちろん、錦織選手や大阪選手の活躍により、テニス中継の注目度が上がったことに起因しているのでしょうが、ネット同時配信が始まったこともひとつの理由にはなっていると思います。そのうえで、WOWOWメンバーズオンデマンドを利用されたお客様の5人に1人が、同時配信で番組をご覧になっています。着実にご利用が広がっているという認識です。

──「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」の3チャンネルでは、どのチャンネルが最も視聴されたのでしょうか?

栗林 10月はライブチャンネルです。通勤時間などに放送されている生中継番組は視聴が減少する傾向にありますが、ネット同時配信が始まったことで外出先でも視聴が出来るようになりました。これはもともと「外でも観ることができれば、生中継番組も観ていただけるのではないか」と我々が抱いていた思いが、お客様のニーズとマッチした結果となったのではないかと思います。

「アプリの使い方がわからない」といったお問い合わせがほとんどなかったのも嬉しいです。同時配信を視聴するためのアプリの作り方がシンプルだったことに加えて、WOWOWメンバーズオンデマンドを元々ご利用されていたお客様方に自然に触っていただけたことが大きかったと思います。

──就寝前や通勤中にスマートフォンでネット同時配信を視聴するという利用シーン以外に、「こんな使い方もできるのでは?」といったアイデアはありますか?

二宮 テレビで「連続ドラマW」を観ながら、スマートフォンで「WOWOWライブ」のテニス中継を流しておく、といったお客様もいらっしゃるかもしれませんね。スポーツ中継の"ながら観"をするには非常に便利だと自負してます。
私の場合は、テレビで錦織選手の試合を見ながら、手元のスマートフォンで別のコートで行われている試合もチェックして、2試合同時に生観戦してますね。他の有力選手の試合も見ておきたいので。

181130_net_ninomiya.png

ネットから加入して、テレビでも観られるように。ParaviにWOWOWプランを準備中

──ネット同時配信の今後の展開についても教えていただけますか?

栗林 現在、WOWOWを視聴するには"BS放送が観られる環境"で"B-CASカード"が必要になりますが(※ケーブルテレビ経由で視聴する場合は、各TVサービスに準じる)、それらの環境がいま現在はご自宅にないという方でも、PC・スマートフォン・タブレットからネット上でWOWOWのネット同時配信をすぐに楽しめるサービスを開始しようと現在準備中です。

──どのような仕組みになるのでしょう?

栗林 WOWOWも出資参画している動画配信プラットフォーム「Paravi」上で、「WOWOWプライム・WOWOWライブ・WOWOWシネマ」の同時配信を視聴することができるプランを月額2,300円(税別)でご用意します。ParaviからWOWOWに加入した方も、後からB-CASカード番号を登録することで、BS放送のWOWOWも、WOWOWメンバーズオンデマンドも追加料金ナシで利用することができるという仕組みです。

──これまでは「放送サービスに加入して、端末でも観られる」という流れでしたが、「ネット配信サービスに加入して、テレビでも観られる」仕組みが追加されるということですね。そして、どちらから入っても月額2,300円であると。

栗林 そうですね。「いまBSアンテナを持っていないから、WOWOWが観られない」といった方でも、ネットからWOWOWに加入して、すぐに端末で番組を視聴できるようなサービスになる予定です。既存会員の方の利便性もさることながら、今後加入される方が入りやすいものにしていきたいと考えています。

二宮 現在でも、J:COMやスカパー! をはじめとして、様々なケーブルテレビ経由でWOWOWに加入することができますが、その延長線上で、もうひとつ新しくネット経由が追加されるといったイメージです。

直志 外出先でWOWOWへの加入意欲が高まった場合でも、加入する為にはテレビのB-CASカード番号確認が必要となりますが、今後は、思い立ったときにすぐにスマホで契約し、そのまま視聴できるので、お客様にとっても便利なサービスになるんじゃないかと期待しています。

181130_net_naoshi.png

──「WOWOWに入りたい」と思ったときに、すぐに入れるのはいいですね。

栗林 「いま放送してる、話題のこの番組を観たい!」と思ったときに、すぐに入っていただけるようにしたいと思います。

取材・文/とみたまい  撮影/祭貴義道  制作/iD inc.