2020.02.25

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カスタマーサポートでも最高の「顧客体験」を! AIによるチャットと有人チャットサービスを組み合わせた「WOWOWサポートコンシェルジュ」はどのように生まれたのか?

編成局 編成戦略部 鳥谷部彩子 & マーケティング局 カスタマーリレーション部 曽我悠介

カスタマーサポートでも最高の「顧客体験」を! AIによるチャットと有人チャットサービスを組み合わせた「WOWOWサポートコンシェルジュ」はどのように生まれたのか?

WOWOWでは2018年3月より、お客さまサポートの新サービス「WOWOWサポートコンシェルジュ」をスタート! 「WOWOWがうまく見られない」「引っ越したけどどうやって手続きしたらいいの?」――そんなお客さまからのお問い合わせを、AIチャットボットが認識し、自動で回答を提供するというサービスで、お客さま満足度のアップのみならず、今後、蓄積されたデータがコンテンツ制作に活用されていくことにも期待が寄せられています。

この「WOWOWサポートコンシェルジュ」の企画・導入にプロジェクトリーダーとして携わった鳥谷部彩子と現在、同サービスの運用およびさらなる改善のための施策に携わっている曽我悠介に導入の経緯や今後の課題などについて話を伺いました。

部署異動を通じて様々な業務を経験

――まずはお2人のキャリアに関してお伺いしていきますが、鳥谷部さんは2011年新卒で入社されたんですね。

鳥谷部 そうです。最初に配属されたのがマーケティング部で、そこに4年間いました。その後、カスタマーリレーション部に4年半、そして19年7月の異動で現在は編成戦略部という部署にいます。最初のマーケティング部では、その名の通りマーケティング業務、加入や解約の動向分析や、リコメンドの元となるような調査・分析をして、各部署にフィードバックする業務をしていました。それから新しい制度やサービスの企画をトライアルで色々やらせてもらいました。イベントブースでのお客さまとのコミュニケーションや、お客さまに番組を見ていただくためのツールの開発等、実現に至ったものも至らなかったものもありますが、とにかくいろんな新しい企画を立てていました。

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――その後はいかがでしょうか?

鳥谷部 続いて異動したカスタマーリレーション部では、まずはカスタマーセンターの運営でお客さま対応に携わりました。それから解約抑止のための施策としてお客さまにお電話をかけたり、お知らせをお送りするなどしていました。デジタル施策も担当しており、WOWOWオンラインの運営、リニューアル、さらにはメールマーケティングに携わっていました。その後、今回お話するサポートコンシェルジュの企画・構築ですね。それ以前に関わっていたお客さま対応とデジタル部門の仕事を融合させるような形で「お客さまサポートのデジタルシフト」を担当しました。

――現在、いらっしゃる編成戦略部はこれまでの業務とは...

鳥谷部 全く違いますね。丸8年、マーケティング関連の部署にいたので、語る言葉も見ている数字も違いますし、転職したような気分です(笑)。これまでは、出来上がった編成のラインナップを受けて、私たちは何をやるべきかを考えていたんですが、それができるまでの過程に関しては全く知らなかったんです。今、そこに携われていて、新鮮で面白いですし、サービスって商品を企画・開発して揃えるところから、お客さまの元に無事届けて満足いただけるまでをも含めたトータルのものだと思うので、全部知ることができるのは幸せですね。

――曽我さんは2015年入社で、最初の配属は営業部だったそうですね。

曽我 営業部で最初に携わったのは、J:COMさんとアライアンスを組んだ営業活動ですね。J:COMさんの特徴は、全国に拠点を持っていて、営業マンが直接営業をされているという部分で、そこはWOWOWにはないところです。つまり、フェイス・トゥ・フェイスでお客さまとお話をして、WOWOWの魅力を伝えていただくという点で、非常に重要なルートと言えるわけです。具体的には、全国の拠点を対象にしたWOWOWの顧客獲得数を競うコンペティションを開催したり、営業マンの方々にWOWOWを売り込んでいただくための関係値を築いたり、サポートをしたりという業務ですね。

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2年間営業部にいて、その後、異動したのが現在のカスタマーリレーション部で、そこでのキャリアは鳥谷部とほぼ同じですね。最初はカスタマーセンターにおけるお客さま対応に関わり、その後、データ分析の仕事をしていました。その流れから現在は、サポートコンシェルジュの運用に関わっています。現在の業務は、お客さまの満足度の向上、とりわけ解約の抑制で、WOWOW加入後の定着に関する施策をいろいろ考えて行なっています。

WEB全盛の時代、WEBでのお困りごとに電話対応でいいのか...?

――続いてお2人が携わった「サポートコンシェルジュ」の導入の経緯について教えていただけますか?

鳥谷部 従来、コールセンターでのやりとりが主流だった加入や解約の手続きが、近年ではWEBの比率が一気に伸びてきました。WEBでのお客さまとの接点が増え、それに比例して問い合わせが増えてきたという事情がありました。サービスの領域でも、WOWOWメンバーズオンデマンドをはじめ、オンラインの領域が増えていく中で「カスタマーサポートに関してもWEBで対応を!」と導入されたのが「サポートコンシェルジュ」です。

そもそも、WEBでのお困り事にWEBで解決できないので電話で対応するのはおかしいんじゃないか? という思いがありました。そこを整えたいという思いと、会社としてデジタルにシフトしていくというミッションが重なった結果ですね。

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――お客さまにとっては、知り合いとLINEのやりとりをするような感じで、チャットで質問や問い合わせをすることができるサービスですね。

鳥谷部 コンセプトは「24時間いつでもどこでも困ったときに最短解決!」。お客さまにストレスフリーで、問題解決のための最短ルートのナビゲーターの役割を果たすという感じですね。お客さまの様々な問い合わせに対し、自動チャットボットが解決策を提示し、それでも解決しない場合は有人チャットでオペレーターが対応、それでも解決しない問題に関しては、コールセンターに誘導するという流れになっています。

――パソコンやスマホの操作は詳しくないけど、LINEなら日常で利用しているというご年配の方も多いでしょうから、そういう方々にとっては、いちいち電話をせずとも問い合わせができるという点で非常にありがたいサービスだと思います。実際、利用されている方の年齢層や性別の分布はどのようになっているんですか?

鳥谷部 現時点で、個人情報の取り扱いの観点で、お問い合わせをいただいたお客さまの年齢や性別といったデータを取得することはできていません。そこは今後の課題であり、もしそれが分かれば利便性はアップすると思います。

ただ、お客さまは困ったことがあればすぐに答えを手に入れたいので、そこでいちいち個人情報を入力しなくてはいけないとなると、ストレスがあるかなと。そういう意味で、名前なども聞かれることなく気軽に質問ができるというのは、お客さまの心理的には良いのかもしれません。加えてチャットでのやりとりがテキストで残るというメリットもあり、その声をよりWOWOWのサービス向上や番組作りにも活かすことができると期待しています。

AI技術って「地味」!?――最先端の技術を生かすも殺すも使い方次第!

――このプロジェクトに鳥谷部さんが携わることになったきっかけは?

鳥谷部 導入に関わったのは2017年から2018年にかけてですね。プロジェクトリーダーという立場で関わることになったのはこれが初めてでした。とはいえ、それまでにも様々なプロジェクトには関わっていて、直前までメールマーケティングのツール導入のプロジェクトをやっていたので、その流れを受けてのアサインでした。

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――導入に際して、最も重視したことや課題は?

鳥谷部 最初のデザインを描くところですね。当時"AI"が流行っていて、何かといえば「AI」ともてはやされていたんですが、これまでに関わったプロジェクトの経験を通じて学んだことは、最先端の技術さえ導入すれば物事が好転するだろうと考えていると、往々にして失敗するということだったんですね。だから、そのツールを使うというのは最後に考える部分で、まずは「何に困っているのか?」「どんなサービスを提供したいのか?」「それをやると何がよくなるのか?」という部分を考えて、「そのために必要な機能」、「サービスを入れる理由」という物語(ストーリー)を組み立てるところがすごく重要なんです。その上で、社内、社外の各部署にそれを伝え、協力を仰いでいくんですね。そのパートナー選びも非常に重要で、6~7社くらいに話を伺って選んでいきました。そこも最初の"物語"がしっかりしていないと、言われるままに進んでしまうので、揺らぐことなく必要なことは何かを考え、パートナーを選びました。

あとは、同時期に4か月間で「FAQ」のリニューアル、「チャットボット」「有人チャット」の導入をしなくてはならず、「この日に立ち上げます」と宣言してしまったので(笑)、そこは絶対に遅らせたくなかったんですよ。そのスケジュール管理は非常に大事でした。かなり根気のいる作業なんですが...「FAQ」の従来のデータが膨大な量あり、それを全て見直しました。長年、蓄積されてきたデータをエクセルに入力し「これはいる」「これはいらない」と仕分けして、そこでもう一度整理し、AIで叩いてみて、さらにうまくいかないものをきれいにして...という緻密で地味な作業の繰り返しは本当に大変でしたね...。

――いわゆるAIを「育てていく」作業ですね。

鳥谷部 そうです。それがあるからこそ徐々に洗練されていき、いまに至る訳なんですけど、そういう意味で、AIでやることって地味なんですよ(笑)。

コミュニケーションを取るために専門分野を猛勉強! みんなが「わからない」と言えるチームに

――リーダーとしてチームを動かしていく上で、どういう部分を大切にされたのか、詳しく教えてください。

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鳥谷部 やはりコミュニケーションですね。一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取ることを大切にしていました。基本的には各担当に任せるのですが、そこで終わりにはしないで、進捗を確認する、何が大変かを聞く、一緒にできることはないかを聞く。ひとつのものを作り上げていく中で、数字ひとつの変化もみんなで共有し、自分のところに新しい知識や情報が届いたら、それをすぐにみんなに展開するようにしていました。

また細かい専門的な部分の勉強をして、知識を身につけるようにもしていました。表面的な理解でなく、自分の中にきちんと落とし込んでコミュニケーションを取れるようにしていました。分からないことは何度でも「分からないです」と言って、教えてもらっていましたね。そうすることにより信頼関係がうまれ、みんなが自分の分からないことを「分からない」と言えるチームになっていきました。自分が腑に落ちないまま、なんとなく進めていたら絶対に失敗しますからね。率先して自分が恥をかきながらやっていきました。

――その後の運用面も含めて、ほかに苦労された部分や特に大切にしたことはありますか?

鳥谷部 サービスって導入して終わりじゃないんですよね。いま現在も含めて、お客さま目線で分かりやすいかどうか? ということを考え続ける必要があると思います。これは私の考えなんですけど、お客さまがパッと見て、2秒以上考えなければいけない、感覚的にサクサクと進めなければサービスとしてはダメだろうと。
本当に細かくて地味なことですが、きちんとやれば、その分数字に表れるんです。それは気持ちいいです。逆に数字が悪くなる時は顕著に落ちていくんです。だからこそ地道で細かい作業が本当に大事だと思っています。 

今後の最大の課題――「個人情報の壁」をどう乗り越えるか?

――曽我さんが本サービスに関わることになったのは導入後の運用からですね?

曽我 そうなんです。導入に関しては傍から見ていて「しんどそうだなぁ...」と思ってました(笑)。

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――運用に携わるようになって、このサービスのすごい点、お客さまからの反応に関して、どう受け止めていますか?

曽我 運用を引き継いだ時点で、どのような仕組みになっているのかを詳細に教えてもらいましたが、ここまで細かいことをやっていたのかと驚きました。これを改善しながら運用しなくてはならないのですが、そこに関しては問い合わせをされたお客さまへのアンケートで「満足したか」を答えていただくので、お客さまの満足度が数字に表れるんですね。そういう意味で、改善すべきポイントについても迷わずに済むので、そこも含めて素晴らしいシステムだと思います。もうひとつ、満足率を上げるだけでなく、利用してくださる方を増やしていかないといけないという命題があります。いま、その点に関しては、お客さまにより簡単に、気軽に使っていただけるように新たな施策を考えているところでもあります。

――今後、運用を進めていく上で、さらに改善していきたい部分はどういったところでしょうか?

曽我 僕自身、以前に関わっていた領域がデータ分析と、お客様の初期定着を上げていく施策だったので、そこと合わせて考えていくことが自分の強みでもあると思っています。例えば、問い合わせ件数の目標が設定されていますが、その数字の精度を上げていけたらいいなと思っています。

WOWOWへの問い合わせが来るタイミングが最も多いのは加入と解約のタイミングなんですが、加入の際、電話での加入が多ければ、電話での問い合わせが増えますし、オンラインでの加入が多ければWEBやチャットでの問い合わせが増えるわけです。そうすると必然的に、毎月のコンテンツの中で、WEBとの親和性が高く、若者に人気の作品やアーティストの番組が多ければ、当然、WEBでの問い合わせが増えるということになります。常に一定の目標値を持つのではなく、コンテンツの性質に合わせて数値を変動させていけたらと考えていきたいと思います。

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――いまのお話と重なる部分も出てくるかもしれませんが、本サービスの今後の展望を教えてください。

曽我 先ほど個人情報の話が出ましたが、お客さまに迷惑をおかけしない範囲で、いかに顧客特定を行なうか? というのが大きなポイントになってくると思います。それは、チャットから有人対応につなぐ際にも関係してくると思うんですが、加入してすぐの方と、もう5年以上加入されている方では、質問いただく内容も変わってきます。そこで得られた内容を我々のデータベースに戻して、顧客理解を深めていくことが、現時点でこのチャットサポートにおける一番大きな課題だと思います。

先ほどの鳥谷部の話にもありましたが、問い合わせをいただく際にWEB会員のログインを必須にすれば一発で顧客特定が出来るのですが、ログインの手間を考えると (気軽に使ってほしい、を目指したサービスである中で)それでは本末転倒になってしまいますからね...(苦笑)。そこを何とかできないか? 難しい部分ではありますが、いまのWEBの世界でその領域を諦めたらおしまいだと思っています。

「お客さま」側の視点と「制作者」側の視点を融合させて最強のおススメコンテンツを!

――お2人の仕事観についてもお伺いしますが、いま、お仕事をする上で最もやりがい、手応えを感じるのはどういう瞬間ですか?

鳥谷部 いまは新しい部署に異動したばかりで、エッセンスを吸収している最中で、まだ真髄を分かってはいないと思うのですが...。やはり以前の部署では、編成や制作が時間をかけて用意した番組ラインナップという「結果」以降の世界を見ていたんですね。今は、それが出来上がるまでの過程に携われて、権利がどうなっているか、番組の予算、プロデューサーとの関わりと、今までは知らなかったことを学びながら、番組ラインナップをみんなで作りあげていく――その達成感はありますね。

――以前の部署で学んだことが今後、現在の部署でも活かされると思いますか?

鳥谷部 それは、ぜひやりたいことですね。この先、これまで8年間やってきたことと、今やっていることを融合させたいです。今までは「お客さまのことをいかに知るか」を主軸に、調査や分析の手法、プロモーションを展開してきました。それを「番組を用意する」こととどう融合できるか?お客さまの視点とクリエイターや作品に携わる人たちの「これがおススメなんです」という思いを組み合わせて何ができるか? を考えてやっていきたいです。

社員数が少ないのにバラエティ満載? WOWOWの強み

――改めていろんな部署を経験されて、WOWOWってどういう会社ですか?

鳥谷部 難しいですねぇ(笑)。バラエティに富んでいる会社ですかね? 作品づくりへの情熱がものすごく強い人もいれば、調査やマーケティングが好きな人もいて、色々な人が集まっていますから。ただ、やっぱりエンターテインメントに対する愛の強い人が多いですね。「昨日のあの番組が...」って会話って、小学生の頃はしてたけど、大学生くらいになって減った気がしてて、でもこの会社、特に今いる部署ではそれが日常の会話なんですよね。そういう環境に埋もれているのって、いい意味で特殊な会社だなと思います(笑)。

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――曽我さんにも同じ質問ですが、いまの仕事のやりがいはどういう部分に感じてらっしゃいますか?

曽我 いまカスタマーリレーション部に来て3年目ですが、WEB関連のことにはひと通り関わらせていただいて、お客さまサポートの部分も携わってきて、今の部の中でも全体のことがある程度、分かる人間なのかなと思っています。だからこそ、一部分ではなく顧客接点をトータルで見ての"最適"が何であるのか? といったコミュニケーションのグランドデザインみたいなことがやれたらと思っています。なかなかスケール感のある仕事であり、非常に大きなやりがいを感じています。

――曽我さんから見てWOWOWはどういう会社ですか?

曽我 入社して5年目なんですが、今話したように、たかだか5年目の人間にこれだけのことを任せてくれるって、懐が深いといいますか、チャレンジさせてもらえる土壌のある会社だなと思いますね。その要因として、事業規模に比して社員数が決して多くないということがあるんだと思います。ある意味、いろんなことを「やらざるを得ない」という状況ですが、若手としてそれはすごくありがたい環境ですね。本当にいろんなこだわりの強い人間が多いんですけど、社員数が少ないがゆえに、そういうバラバラの人間が関わる機会というのが多いのも面白いですね。自分と全く違う仕事をしている人間に「ちょっと飯食いに行きましょうよ」って気軽に言えますからね。

顧客目線で最高の「体験」を提供すべし!

――最後になりますが、WOWOWでは「偏愛」を旗印に掲げていますが、お仕事をする上でのお2人の「偏愛」、大切にされていることを教えてください。

鳥谷部 「お客さまを大切にする」「番組を大切にする」「一緒に仕事している人を大切にする」ということを採用面接のときに言いましたが、それはいまでも意識しています。その上で、特にお客さまにとっての「体験」――顧客体験をどう作るか? ということは、どの部署にいようが意識し、大事にしたいなと思っています。本当に一瞬の出来事で、その会社やサービスに対する印象って良くも悪くも決まるんですよね。サービスで言うなら、ストレスフリーであり、快適で、迷わせないこと、安心させることが大事だと思いますし、番組はお客さまを楽しい気持ちにさせ、それに気づいてもらえるように演出することが大切だと思います。いろんな体験の組み合わせでお客さまの会社への印象が出来上がっていくと思っているので、どんな仕事をしていても「これはお客さまから見てどういう体験となるのか」という視点を忘れないようにしています。

曽我 僕も「相手の目線で考える」ということは、今でもずっと大事にしています。営業部にいた頃、先ほども説明したように、営業マンの方にWOWOWを売っていただかなくてはいけないんですが、「これ、新しい番組情報です」とガイドを渡すだけで、コミュニケーションが終わっていたことが多々あったんですよね。でも、営業マンの方って売るものがものすごく多いんですよ。その中でWOWOWの順位なんて決して高くないだろうし、毎月のように内容が変わる番組をきちんと把握してもらえるかというと、なかなかそうはならないですよね。そこで、どうしたらWOWOWを理解して、売ってもらえるか? ということを考えてコミュニケーションを取るようにして、営業マンの方にもWOWOWを視聴していただけるような取り組みも行いました。商品に触れていただくのが一番の理解につながるだろうと。やっぱりそこにあるのって「相手の視点でいかに考えられるか?」なんですよね。それはいまの部署に移ってからも同じで、僕自身、データを扱うのは好きなんですが、数字をただの数字で終わらせずに、それをどう解釈し、どういう方向性に舵を切るのかが大事だなと思っていて、そこには確実に人間の視点が入ってくるんですね。それが独りよがりになれば、お客さまが全く求めていない方向にも行ってしまう訳です。お客さまにとって、この数字をこういう方向に伸ばすことが必要なことだという仮説の下で、施策を練っていく必要があり、やはりそこが常に自分が強く意識しているポイントなんだと思いますね。

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取材/黒豆直樹  撮影/祭貴義道  制作/iD inc.