「WOWOWでたまたま見た生中継ライブで東方神起ファンになった」との声

──愛知・福岡・埼玉・北海道のツアー会場ではWOWOWのブースを出展しガチャガチャ抽選を実施し、京セラドーム、東京ドームでもまた施策を追加し、ブースを出展予定とのこと。その狙いは？

松井　リハーサル観覧の抽選に外れてしまった方にも喜んでいただきたかったので、会場にブースを出展して「WOWOWに加入してくださってありがとうございます」という気持ちをプレゼント抽選という楽しみも交えながらお伝えできればいいなと思いました。喜んでくださるお客様の姿を見て「実施してよかったな」とホッとしましたし、対面でご意見や感想を伺う機会はなかなかないので、貴重な経験になりました。

松井菜穂プロデューサー

──印象的なご意見はありましたか？

松井　もともとWOWOWに入っていて東方神起には特に興味がなかったけれど、「日産スタジアムの生中継ライブをたまたま見て、あまりにもかっこよかったから好きになって、今ここにいます」という方にお会いしたんです。

それってまさに私が思い描いていた理想像というか......もちろん、もとからのファンの方に喜んでいただきたいという思いは大前提としてありますが、これまで興味がなかった方たちがファンになるきっかけとしてWOWOWはあるべきだとも思うので、そのご意見はとてもうれしかったですね。

東方神起ライブ会場でのWOWOWブースの様子

小島　まさに、私たちが取り組んでいる仕事の醍醐味だなと思います。WOWOWさんを通じて東方神起のファンになったというのは、冒頭にお話しさせていただいたようなわれわれの目指す仕事の在り方そのものですし、良い循環を生み出すことができてうれしいです。

エイベックス・エンタテインメント株式会社　小島尚子氏

──改めて、今回の「東方神起×WOWOW スペシャル特集」を通して東方神起の魅力をどのようにお伝えできた・できると感じていますか？

松井　放送が終わった3月～5月に関しては、ライブ映像で彼らのパフォーマンスのすばらしさをお伝えするのはもちろんですが、それ以外にも先ほどお話ししたような、どんな人にもフラットに接してくださるお2人の人間性のすばらしさや、音楽についての考え方などもお伝えしたいと思い、ドキュメントや対談など、ライブだけじゃない彼らの魅力も盛り込んでいます。

東方神起の2人　左チャンミン　右ユンホ

そして、6月の東京ドームライブの生中継では、大きな舞台でキラキラと輝く彼らを編集するのではなく、その瞬間をリアルにお届けするのがポイントだと思っています。8月には彼らにインタビューを行なったものをお届けするので、毎月何かしら新しい発見があると思います。

──いろんな角度から東方神起を捉えた半年間ですね。

松井　その中で、彼らのどこを好きになるかは自由ですから。私たちにできるのは、東方神起さんが持つすべての魅力をお伝えすることだと思っています。

小島　東方神起のライブを一度放送するだけでは彼らの魅力は伝えきれないので、色々な番組コンテンツを通して東方神起の様々な魅力を存分に伝えられたらいいなと思っていました。

7月番組には先ほどお話に出てきた日産スタジアムでの雨のライブも入っていますし......そういったこれまでの軌跡や、彼らのパーソナルな部分も見ていただくことで、東方神起をより深く知って好きになってもらいたい。私が最も実現したかったことが今回の企画に詰まっているので、とてもうれしいです。

また今回「PARALLEL PARALLEL」という楽曲を、WOWOWさんで放送されている「LPGA女子ゴルフツアー」のテーマソングに起用していただきまして、そういった面からもWOWOWさんから応援をいただいております。

いつかエイベックス×WOWOWで何かしらのヒットを作りたい！

──WOWOWと仕事をしてきた中で、小島さんが感じた「WOWOWならでは」の部分はありますか？

小島　松井さんをはじめ、皆さんがアーティストに対して愛を持って接してくださいます。だからこそ、例えば今回だったら「どうやったら視聴者の方たちが東方神起に興味を持ってくれるだろう？　東方神起のファンの方たちが喜んでくれるだろう？」と考えて、色々なことに挑戦してくださる。その"東方神起愛"がものすごく伝わってくるので、ご一緒していて気持ちがいいんです。それと、スイッチャーの......。

松井　播島さんですね！

小島　ずっとWOWOWエンタテインメント株式会社の播島暁さんにスイッチャーをやっていただいているのですが、初めて播島さんのスイッチを中継車で見た時は衝撃的でした。ドンピシャで欲しい画をパッパと切り替えてくださって「かっこいいな～！」と感銘を受けました。「この曲のこの瞬間はその角度のカットだよね！」と思った通りに、それ以上に東方神起の魅力を余すところなくスイッチングで捉えてくださるので、本当にいつも感謝しています。

──お2人がそれぞれお仕事する上で「大切にしていること」を教えてください。

松井　相手に気持ちよく動いていただくために、まずは自分が動くこと。そして、いつも周りの方たちに支えていただいていることを忘れず、感謝の気持ちを持って接すること。その二つは常に意識しているつもりです。

小島　私も松井さんと似ていますが、関わる方々へ感謝の気持ちを忘れないこと。今回の企画も松井さんがいてくださってWOWOWの皆様、SMエンターテインメントの事務所の皆様、ツアーに関わるスタッフの方々、エイベックスチームのメンバーといった、たくさんの方々のご協力があって実現できたものですから、関わる方たちとのつながりを常に大切にしたいなと思っています。

そして、私自身が扱っているIPはモノではなく人なので、当然のことながら喜怒哀楽だってあります。そういった心の機微が感じ取れるように、血の通ったコミュニケーションを心がけることも大切だと思っています。

松井　アーティストだけではなく、小島さんは誰に対しても血の通ったコミュニケーションを実践されていると感じます。例えば、こちらの要望に対してNOと伝えないといけないことだってあるじゃないですか。そういったときにも、今まで築いてきた関係性があるので、「小島さんがNOと言うなら、本当にNOなんだろうな」と吹っ切ることができるんです。そういう小島さんの姿勢を私も見習いたいなといつも思います。

小島　私もですよ！（笑）松井さんとの電話を切った後、いつも元気になっています。困難な話であっても、最後には「松井さんとだったらきっと乗り越えられるだろう！」と前向きになって、笑顔で電話を切ることができる。愚痴を言い合ったりとかは......したことないですよね？

松井　いま初めて思い返したけど......ないですね。こんなに長くご一緒してるのに（笑）。

小島　たぶん松井さんと話すときは「こんなことをしたら面白いですよね？　素敵だと思いませんか？」とかって、ポジティブなことに目が向いているからだと思います。今から生中継が楽しみで仕方ないです！

松井　前回の生中継では、終わったときに泣きましたよね（笑）。

小島　色々なことが思い出されて......感動で泣きました（笑）！

松井　今回もきっと泣くと思います（笑）。

──それでは最後に、今後チャレンジしていきたいことを教えてください。

小島　「今後も東方神起の企画で新しいことにチャレンジしていきたい」という気持ちはもちろんあります。
それ以外には、WOWOWさんとエイベックスで何か一つヒットを作りたいと思っています。どういうヒットなのか、何をもってヒットなのかは色々な考え方はあるとは思いますが、曲や映像が流れたときに「これってWOWOWとエイベックスがやっていたものだよね」と思い出してもらえるようなものを、WOWOWさんと一緒に作りたいという気持ちがあります。

松井　東方神起さんが初めて生中継を実施したときもWOWOWを選んでいただいて、今回は初めてのリハーサル観覧ということで......きっとまだ実施していない、東方神起さんの"史上初"があると思うので、それを探してまたWOWOWでやれたらいいなと思っています。

私個人としてはこれまでと変わらず、ライブ映像のすばらしさをいろんなアーティストさんと一緒に多くの方たちにお届けしたいと思っています。

取材・文／とみたまい　　　撮影／祭貴義道