2018.04.04

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3Dオーディオって......?分かりやすく解説します☆

制作技術部 栗原里実

3Dオーディオって......?分かりやすく解説します☆

まるでその場にいるかのような音の収録、再生の最新技術「3Dオーディオ」。臨場感を感じさせてくれる音作りの現場と3Dオーディオの魅力をお伝えいたします。(初回掲載日:2018年4月4日)

3Dオーディオとは何?

「3D」という言葉を聞いて皆様が思い浮かぶのは、きっと映像だと思います。 映像で3Dをみた主な印象は、 飛び出る! 触れそう! 臨場感がある! などなど。 音の「3D」は少し趣が異なっておりまして 「臨場感」を大事にしたコンテンツづくりとなっております。 臨場感 = 実際その場に身を置いているかのような感じ =没入感(イマーシブ) といって、3Dオーディオ、別名イマーシブサウンド、とも呼ばれております。

では、どういうものを3Dオーディオと呼ぶのでしょうか。5.1chは平面で音を表現し、3Dオーディオは立体で音を表現します。 そのため、スピーカーを平面(前後)だけではなく、頭上(天井)にも設置し、再生します。 WOWOWの試写室Star Shipに3Dオーディオを再生できる機材を導入しました!
3daudiohonbun-1.png

赤丸がスピーカー。Star Shipには14個のスピーカーと、2つのサブウーハーがあります。

3Dオーディオ収録の現場に潜入

では、実際にどのようにコンテンツを収録するのでしょうか? 今回は、技術局開発案件としてマリンバの収録(2018/3/28、29)を行いましたので、その模様をお伝えします。私も1スタッフとして参加しました。

ホールはこちら、軽井沢にある大賀ホール。

3daudiohonbun-2.jpgドラマ「カルテット」でも使用された綺麗で響きの良いホールです!

今回のマリンバの収録を企画・立案・実行した技術局入交さんにお話しを聞いてみたいと思います!

栗原 「まず、3Dオーディオを収録するためには、何がどう必要なのでしょうか?」
入交 「まず、ステレオに比べて多くのマイクが必要となります。 今回は、新機器のテストも含め29本のマイクを使用しました。 ただ、工夫次第では、マイクの本数が少なくても3Dの録音は可能です。 "客席で感じる、包まれた感じ"と、"明瞭な楽器の音"を両立させるためにマイクを設置します。」

3daudiohonbun-4.jpg今回のマイクセッティング図。マリンバに対して、このような配置にしました。

栗原 「ステレオ録音と異なることを教えて下さい。」
入交 「高さ方向の音が必要となるため、高い場所へのマイクの設置が必要となります。 マイクの数は増えます が、現場でのスピーカーリスニングはステレオで行い、 すべてのマイクを万弁なくチェックしながら録音を行います。 現場に3D再生環境を持っていくことは大変なので、工夫しながら録音するのです。 ただし、 生放送の場合は用意しないといけません。最終端の責任をもって放送することになりますからね。再生するスピーカーの数が多くなると 分解能があがるので、 ステレオでは聴こえなった音もきこえやすくなります。 すなわち録音対象の明瞭度が上がり、ホールの響きに包まれるように聞こえるという訳です。 結果臨場感が増すことになります。 この臨場感の中で聴いていると、いつしか対象にのめり込んでいきます。 これが3Dオーディオの『没入感』となるのです。」

3daudiohonbun-5.jpgマイクの位置調整をする入交さん。微妙な位置関係で音が違ってくるのです。

3daudiohonbun-6.jpg当日ミキシングする入交さん。現場ではステレオミックスにて音を確認します。

栗原 「なるほど。最後に3Dオーディオの魅力を教えて下さい!」
入交 「一度体験したらやめられません!それぐらい音楽にのめりこめます!ぜひ視聴会にお越し下さい。」

ありがとうございました!

3Dオーディオは、日本ではまだまだ未知数なコンテンツです。 私たちも、どのようにしたらWOWOWのコンテンツとして生かせるのか、試行錯誤の段階です。 是非皆様から意見を頂戴し、考えていきたいと思っております。引き続き、どうぞよろしくお願い致します。