WEST. 念願の野外イベント「WESSION FESTIVAL 2025」がいよいよ開幕! 担当プロデューサーが語る舞台裏
音楽事業部 シニアプロデューサー 小林伸男音楽事業部 プロデューサー 島本時

2024年にデビュー10周年を迎えたWEST.がWOWOWとタッグを組んで挑んだオリジナルライブ『WEST. 10th Anniversary Live “W”』。「この成功を一度きりのものにしたくない」と考えた島本時プロデューサーは、WEST. のメンバーからの意見も取り入れながら、フェス開催を視野に入れたレギュラー番組「WESSION」を企画。イベント開催のノウハウに長けた小林伸男プロデューサーもチームに参加し臨むWOWOW×WEST.の野外イベント「WESSION FESTIVAL 2025」、そして「WESSION」最終回を目前に控え、プロジェクト全体を振り返る。
『"W"』だけで終わらせたくなかった
──まずは現在のお仕事について教えてください。
島本 僕は番組の収録から放送・配信を担当していますが、『WEST. 10th Anniversary Live "W" -Film edition-』(以下『"W"』)を企画したあたりからはもっと広い視野で、「作ったコンテンツをどう事業化していくか」ということを意識しながら各アーティストやレーベル、事務所といった方たちとやり取りをしています。
音楽事業部 島本時
小林 私は島本たちが作ったコンテンツの多層化展開を考える役割ですね。番組の企画にも関わりますが、イベント事業やグッズ展開、協賛セールス、飲食コラボなど、どう複合的に広げていけるかを考える立場です。
──「WESSION」はどのように生まれたのでしょうか。
島本 『"W"』が成功して、WEST. のメンバーや事務所、レーベル、ファンの方たちも大満足で。「これを一度きりで終わらせたくないよね」という話がすぐに出てきたんです。その流れで「じゃあ次は何をやろうか」と相談したときに、メンバーから「フェスをやりたい」という声が上がっていることを耳にしました。彼らはSUMMER SONICやMETROCKなど大きなロックフェスに出演しているので、なるほど!と思いました。
ただ、いきなりフェスを開催するのも唐突なので、フェスに向けてレギュラー番組を作ろうという流れになりました。番組を通じていろんなアーティストとセッションし、その先にフェスがあるという意味合いから、sessionという言葉に「W」を掛け合わせて「WESSION」と名づけました。ちょうど7文字というのも何か運命を感じました。
WESTꓸ が多彩なゲストとセッションするレギュラー音楽番組「WESSION」は WOWOW で独占放送・配信中
小林 私が参加したのは2024年10月からで、島本やスタッフがすでに準備を進めていた時期でした。ちょうど劇場公開の盛り上がりを受けて「フェスをやりたい」という話が出ていて、「会場や行政との段取りとかであればできますよ」と打ち合わせに参加することになって。通常、コンサートは1年以上前から、特に野外フェスになると2~3年くらいかけて準備するものですが、今回は驚くほどのスピード感で進みましたね。でも、島本をはじめとしたチームの人たちがレーベルやマネジメントと良い関係を築いていたので、信頼のもとに話を前に進められたのだと思います。ゼロから始めていたら到底実現できなかった規模のプロジェクトですから。
──フェスや番組に登場するゲストはどのように決めたのですか。
島本 WEST. に楽曲提供してくださっている方々はもちろん、WEST.が「これを機会にセッションしてみたい」と思うアーティストをリストアップしました。そこからは各アーティストにフェスの日程が空いているか、興味を持っていただけるか、さらにレギュラー番組に出演いただけるかを確認する日々でした。時間がかなり限られていた中で、出演を快諾いただいたアーティストには感謝しかありません。
小林 アーティストのスケジュールやレーベルの意向など、現実的な調整もたくさんありましたが、結果的には幅広いゲストが集いました。番組にはMONGOL800、wacci、アイナ・ジ・エンド、Lucky Kilimanjaro、石原慎也(Saucy Dog)と、ベテランから若手まで。男性・女性問わず、ジャンルの振れ幅も広い構成になったことでWEST. の個性がより際立ちますし、オールターゲットが楽しめるラインナップになったと思います。
生演奏へのこだわりから、野外ライブ並みの収録規模に
──収録現場で印象的だったことはありますか。
島本 『"W"』のときも思ったんですが......実際収録スタジオに入って各所セッティングを始めると、自分が想像していたよりスケールが遥かに大きい現場になっていって。「30分のレギュラー番組を録る規模じゃないな」と思いましたね(笑)。でも、それくらいの規模でないと実現できなかったことも多くて。
というのも、セッションは絶対に生演奏でやりたいと考えていたので......バンドリハーサルもありますし、PAも実際のライブやレコーディングと同じ規模になるんですよね。さらにトークコーナーもあるので。それだけの規模で収録したので、豪華で見応えある番組になっていると思います。
最終回の収録を終えた後、メンバーから「来年もぜひ続けたい」と言っていただけました。「しっかりと音楽に向き合うレギュラー番組ができて、さらにフェスまでできるなんて考えられなかった」と皆さん喜んでくださったので、僕自身も「やってよかったな」と思いました。
小林 初回ゲストをMONGOL800に決めてからのスピード感はすごかったですね。曲の歌い分けやスタッフィングから機材のセッティングまで、驚くほど早く決まっていきましたから。WEST. やMONGOL800のみなさんをはじめ、現場の皆さんのスピード感と熱量はいまでも印象に残っています。
音楽事業部 小林伸男
──制作面での苦労は?
島本 第1回目を収録してみないことには、どんな番組になるか分からなかったので、最初が一番不安でしたが、WEST.とMONGOL800の個性が良い意味でぶつかり合う「SOUTH WEST BEACH!!」と「あなたに」のセッション、そしてこちらが何も言わなければずっと続くのでは、と思う楽しいトークが収録でき、これは大丈夫だ!と安心しました。MONGOL800が最初のゲストで良かったと心の底から思いました。
収録も初めにトークをしてからセッションするのではなく、セッションしてからトークに入るようにしたんです。そのほうがセッションの感想も話せるし、お互いの距離がより近くなり、話が広がっていくだろうと思ったので......結果的にうまくいき、その流れで最終回まで無事に録り終えることができました。
「WESSION」初回ゲストMONGOL800とのトークシーン
小林 技術的な面では、生音でやること自体が大変でしたね。先ほど島本が言ったように、収録スタジオはライブハウスではないので、すべての機材を持ち込む必要があるんですよね。それって野外でライブするのと同じように手間とコストがかかるんです。そのうえ、テレビ収録のスタッフ、インタビュースタッフ、ライブ制作スタッフと3つの体制で動くので本当に大変でしたね。でもその分、臨場感のある映像が録れたと思います。
エピソード5はWEST. のみのパフォーマンスも披露
──最終回となる第5回の注目ポイントを教えてください。
島本 石原慎也さん(Saucy Dog)がWESSIONのために書き下ろしてくれた楽曲が素晴らしくて、このセッションを皆さんに観てもらいたいですね。石原さんがメンバーの特徴をヒアリングして歌詞に反映しているので、その歌詞にも注目してほしいです。
「WESSION」最終回は10月8日(水)放送・配信
さらに、最終回かつフェス直前ということで、番組を15分拡大してWEST. だけのスペシャルパフォーマンスも用意しています。なかでも「Go.」が見どころのひとつです。もともと劇場版『"W"』のラストでサプライズ的にMV公開された楽曲なんですが、実はこれまで一度もライブや歌番組で披露されていなかったんです。パフォーマンス中、『"W"』のことを思い出し、ぐっときました。
──「WESSION」に対するファンの方たちの反応はどう感じていますか。
小林 ポジティブに受け止めてもらっていると感じます。WEST. のメンバーが大切にしていることをファンの皆さんが尊重されているので、結果的にWOWOWの姿勢も肯定的に見ていただけているのではないでしょうか。
島本 『"W"』に引き続き、ファンの皆さんの反応が温かく、WESSIONを盛り上げてくださるんですよね。ファンの皆さんの心強いサポートもあって、WEST.とWOWOWが良い関係を続けられていると思っています。
──「WESSION」を通じて新たに知ったWEST. の一面はありますか。
島本 トークの上手さには驚かされましたね。ほぼ初対面のゲストの方とも、放っておくと収録が押してしまうくらいトークが弾み(笑)。話題の引き出しも多いし、ボケや合いの手の入れ方も絶妙で。収録中はスタッフもみんな笑っていて、現場がすごく明るいんです。セッションも心から楽しんでいるように見え、そういった環境を作れてよかったなと実感しています。
WEST. を通じて音楽フェスを楽しめる仕掛けを用意する
──10月12日(日)・13日(月・祝)に「WESSION FESTIVAL 2025」がいよいよ開催されますね。注目ポイントは?
小林 WEST. のファンの方々が多く来られると思うので、まずはWEST.を通じてさまざまなアーティストのステージを体験していただける場になればいいなと思っています。野外フェスなので椅子がなかったり、トイレも仮設だったり、普通のコンサートとは違う環境ですが、それも含めて楽しんでもらえるのがフェスの醍醐味ですから。空気感や開放感を大切にしたいと思い野外会場を選んでいます。
──WEST. の皆さんの意見も取り入れながら?
小林 もちろんです。ステージの演出やセッション内容はもちろんのこと、会場で販売するフードやドリンクにもメンバーの意見を取り入れて、「ホルモン〜関西に伝わりしダイアモンド〜」にちなんだ『ダイアモン丼』や、タイトルのまま「PARA! PARA! チャ〜ハン」、「Mixed Juice」など、WEST. の楽曲にちなんだメニューをご用意しています。フォトスポットや会場案内の看板にもメンバーのアイデアを反映しているので、隠れ要素を探す楽しさもありますよ。また、メンバーから「出演アーティストの皆さんをおもてなししたい」ということで、ケータリングやバックステージのスペース作りなど、裏方の部分にも力を入れています。
島本 番組で行なったようなセッションがステージ上で繰り広げられる。ただのフェスではなく、「WESSION」ならではの体験を皆さんにお届けしたいですね。
──グッズもいろいろと用意されていますが、こだわった点は?
島本 フェスならではのものから、普段使いできるものまで幅広いデザインにしたいという想いがありました。WEST.の皆さんはじめ、様々な意見を伺いながらギリギリまで検討して、結果的に良いものができたんじゃないかと思います。フェス会場で皆さんがグッズを身に着けて楽しんでいただけたら嬉しいですね。
グッズ事前通販(会場受取)は10月5日(日)午後11:59まで受付中(詳細下記)
日本の収録技術を世界に広めたい
──これから挑戦したいことを教えてください。
小林 私はメディアとレーベルの両方を経験しているので、それぞれの良さや課題がなんとなく分かってきたんですよね。その強みを活かして、これからのメディアのあるべき姿を模索しながら形にしていきたいと思っています。今回の「WESSION」は短期間で大きなチャレンジが実現しましたが、これは島本やチームが築いた信頼関係のおかげだと思っています。その経験を他のアーティストにも広げていきながら......私個人でもWOWOWでも、どちらでも構いませんが「一緒に番組を作りたい」と言っていただけるような仕事をしていきたいです。
島本 まずは「WESSION FESTIVAL 2025」を成功させ、「WESSION」を継続させることが第一です。そのうえで、洋楽が好きでサマソニやグラミー賞、海外アーティストの来日公演の収録にも携わってきた身としては、日本の収録技術を世界に広めたいという思いが強くあります。海外のビッグアーティストから「お前たちはすごい」と収録現場で必ず言われるので、それを一度きりではなく継続していきたい。ハードルが高く、どれくらい時間がかかるか分かりませんが、将来的には日本の映像チームが海外から呼ばれるような環境を作りたいなと思っています。
<番組情報> WOWOW×WEST. "WESSION"(全5回)
番組最終回となる#5石原慎也(Saucy Dog)が10月8日(水)午後8:45~ WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
#1 MONGOL800
10月17日(金)午前8:00 WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信 ※リピート放送
#2 wacci
10月17日(金)午前8:30 WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信 ※リピート放送
#3 アイナ・ジ・エンド
10月17日(金)午前9:00 WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信 ※リピート放送
#4 Lucky Kilimanjaro
10月8日(水)午後8:15 WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信 ※リピート放送
#1~5の全番組放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信
<イベント情報> WESSION FESTIVAL 2025
公演日時:10月12日(日)、10月13日(月・祝)11:00開場/13:00開演/20:00終演予定
会場:大阪・万博記念公園 東の広場 https://www.expo70-park.jp/
【出演アーティスト】※五十音順
両日出演:WEST.
10月12日(日):アイナ・ジ・エンド / Saucy Dog / サンボマスター / Lucky Kilimanjaro
オープニングゲスト:横山裕
10月13日(月・祝):ウルフルズ / eill / MONGOL800 / Little Glee Monster / wacci
特設サイト:https://www.wowow.co.jp/event/wession/
公式X:https://x.com/WESSION_WEST
公式Instagram:https://www.instagram.com/WESSION_WEST/
・オフィシャルグッズ販売スケジュール
事前通販(会場受取): 10月5日(日)23:59まで受付中
受付URL:https://img.hmv.co.jp/cont/online/WESSIONFES2025/
【プロフィール(写真左から)】
小林伸男(音楽事業部)
2024年入社。音楽事業部にてコンテンツの事業化や収益化を担当。これまでに音楽専門チャンネルでの番組制作やイベント運営、音楽レーベルでの事業企画などを経験し、メディアとレーベルの両面からキャリアを積んできた。
島本時(音楽事業部)
2013年入社。音楽事業部のプロデューサーとして椎名林檎やMAN WITH A MISSIONなど国内アーティストのライブや、Red Hot Chili Peppers、NewJeansなどの海外アーティストの来日公演、グラミー賞授賞式の中継などを担当。2024年に企画・制作した『WEST. 10th Anniversary Live "W"』が公開初週末の興行収入1位の大ヒットを記録する。
取材・文/とみたまい 撮影/祭貴義道