2023.06.20

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初のライブ生中継、初のリハーサル観覧。東方神起の"史上初"はWOWOWで!(前編)

エイベックス・エンタテインメント株式会社 ビジネスアライアンス事業本部 第2アライアンス営業グループ 第3アライアンス営業ユニット マネージャー 小島尚子
株式会社WOWOW コンテンツ制作局音楽部 プロデューサー 松井菜穂

初のライブ生中継、初のリハーサル観覧。東方神起の

3月から半年間にわたって放送されている「東方神起×WOWOW スペシャル特集」。オリジナル番組や過去ライブダイジェストの放送に加え、6月には東京ドームライブの生中継が控えている。この大型企画の発案から実現に至るまでを、エイベックス・エンタテインメント株式会社の小島尚子さんと松井菜穂プロデューサーが振り返る。

エイベックスのIPを使って企業のビジネス開発や課題解決を図る

──小島さんが所属するエイベックス・エンタテインメント株式会社のビジネスアライアンス事業本部とはどういった部署ですか?

小島 さまざまな企業様とパートナーシップを組ませていただく事で、企業様の課題解決やビジネス開発などを行ない、アーティストをはじめとしたエイベックスのIP(※)の価値の最大化につなげることを目的とした部署です。いわゆる、BtoBtoCの考え方ですね。
※IPとは、"Intellectual Properties"の略で、知的財産のことを指します。エンターテインメント分野では、アーティスト、タレント、楽曲、アニメ・映像作品、キャラクター、ゲームなどがIPと呼ばれています。

取材時の様子1エイベックス・エンタテインメント株式会社 小島尚子氏

──今回話題にする東方神起のスペシャル特集企画で言うと?

小島 WOWOW様と東方神起とでコラボレーションさせていただくことにより、WOWOW様の視聴加入や加入者様へのホスピタリティー向上を図り、かつ当社のレーベル契約アーティストである東方神起の魅力をいかに皆様に伝えられるか、という軸があることで成り立っている企画だと思います。

──その中で、小島さんはマネージャーという立場でどのようなお仕事をされているのでしょうか?

小島 ビジネスアライアンス事業本部では、企業様に対して、広告契約、商品開発、ライブイベント協賛、キャスティングなどさまざまな手法で、企業様の課題にあったソリューションを提案させていただくのですが、その一つの手法として、私はアーティストライブやイベントの「放映権」の営業をまとめるチームマネージャーを担当しております。
ですので、特定のアーティスト担当という形ではなく、それぞれの企業様に適したIPを提案させていただく役割......、というイメージでしょうか。

松井 珍しいですよね。レコード会社の各アーティスト担当の方とライブ収録、放送・配信のお話をさせていただくことが多い中、小島さんとお話しするときはエイベックスに関係するアーティスト全体のお話ができる。例えば今回は東方神起さんですが、ほかの方々についてもご相談できる。小島さんはそうやって複数のアーティストを担当されているので、やりとりさせていただく機会がとても多い印象です。

取材時の様子2松井菜穂プロデューサー

──そういった座組だと、なおさらアーティスト単体ではなく"企業同士"が価値を高め合って「最大のものを世の中に出していきたい」という共通の目的意識を持つことができそうです。

松井 そうですね。同じゴールに向けて同じ熱量で一緒に走ってくださるので、とてもありがたいですし、「私たちも頑張らないと!」といつも思っています。毎回かなりの無理難題をお願いしていますが......(苦笑)。

小島 いえいえ(笑)。「アーティストにとって、この企画って本当にやる意味がありますか? アーティストに還元できると思いますか?」といったように、松井さんはいつもアーティスト側に立って考えてくださるので、その熱量が本当にありがたいです。

東方神起にとって史上初となるリハーサル観覧。実現の経緯は?

──2023年3月から8月までの半年間にわたってWOWOWと東方神起がタッグを組み、オリジナル番組や過去ライブダイジェスト、東京ドーム生中継&90分ダイジェストといった盛りだくさんの内容でお届けする「東方神起×WOWOW スペシャル特集」。企画が発足した経緯について教えてください。

松井 東方神起さんが初めてライブの生中継をやるときに選んでくださったのがWOWOWだったという事実が私の中でとても大きかったですし、お客様がすごく喜んでくださっていた印象が強かったんです。

それでずっと「もう一度、WOWOWで東方神起のライブ中継を実施したい」と思っていたんですが、別件で小島さんと電話しているときに「東方神起のツアーがやっと始まるんです」とうかがって。「もう一度ファンの皆様に喜んでいただきたいから、前回やっていないようなことも含めてご一緒できないでしょうか?」と雑談するところから始まったと記憶しています。


東方神起ライブ

小島 約3年半ぶりのツアーということで、私自身も「ファンの方に喜んでいただけるような取り組みをしたい」という想いがありました。かつ、まだ東方神起のことをよく知らない方たちにもアプローチできたらいいなと思っていました。

前回WOWOWさんとご一緒したときも色々な思い出深い企画がありましたが、それを超えられるくらいの新しい取り組みを松井さんと一緒に考えられたらうれしいなと思っていたのが企画のきっかけだと思います。夜な夜な電話で「こういうことができたらいいですよね?」と話しながら組み立てていきました。

──以前の取り組みで小島さんが特に思い出深かった企画はなんですか?

小島 オリジナル特番を作った時に、本人のインタビューに加えて、東方神起のバンドメンバーさんやダンサーさん、スタッフの方々にもインタビューに出ていただいたことがありました。
東方神起の事を各々の立場から皆同じ気持ちを持って支えていて、皆2人のことが大好きで、「東方神起チーム」って本当に温かくて素敵なチームだなと、見終わった後とても心がジーンとなる番組だったのを印象強く覚えております。

松井 私も覚えています!

小島 あと、47都道府県の駅でWOWOWさんのプロモーションのポスターを貼ったことも思い出深いですよね。

駅に貼られた東方神起のポスター

当時駅に貼ったポスタービジュアル



松井 「ポスターを全国に貼っています」とお知らせしたら、ファンの皆さんが探してくださって。目撃情報をツイートで拡散しながら、皆さんで協力していらっしゃったんです。駅に迷惑をかけないためにも、こちらからはヒントが出せず......最後のひと駅がなかなか見つからなくて、それをただただ見守っていました(笑)。

小島 「残り一つ、頑張って見つけてください!」って思いながら(笑)。そうやってファンの方々が話題にしてくださって、一丸となって楽しんでくださったことがうれしかったので、今回もWOWOWさんをフックに東方神起のファンの皆さまが喜んでくださるような、ワクワクした気持ちでライブや生中継に臨んでいただけるような仕掛けができたらいいなと相談していました。

松井 その中で「リハーサル観覧」というアイデアを小島さんからいただいて。やっぱりファンの方はご本人に会うのがいちばんうれしいでしょうから、できたらいいなと思いました。でも、これまでやったことのないリハーサル観覧が果たしてできるかどうか......。

──そもそも、リハーサルはお客様に見せるものではないですからね。

松井 そうなんです。私もこれまで、生中継のときぐらいしかリハーサルには入っていなくて......完璧にステージを作り上げるチームですから「私なんぞが入るのは恐れ多い」と思ってしまうんです(笑)。でも、もし実現したら絶対にお客様は喜んでくださると思ったので、大変なのは承知の上で小島さんに交渉をお願いしました。

小島 久しぶりのツアーということもありまして、今までやったことがない事もできたらいいなと思っていました。所属事務所のマネジメントの皆様にご相談させていただき、これまでのWOWOWさんとの取り組みやお付き合いを深くご理解くださっていたこともありまして許諾をいただけました。
当日は、本人含めバンドさん、ダンサーさん、事務所の皆様、リハーサルに関わる全スタッフの方々にご尽力いただき、実施できました。

東方神起リハーサルの様子 4月8日さいたまスーパーアリーナ公演 リハーサル観覧の様子

 
松井 リハーサル観覧後にチャンミンさんがInstagramのストーリーで感想をアップしてくださったりと、東方神起のお2人がWOWOWとその先にいるお客様に意識を向けてくださっているんだなと実感した一日でもありました。

小島 とても温かい空気感でしたね。実現できてよかったです。

土砂降りの雨ですら最高の演出になり得る東方神起の魅力

──WOWOWのライブ映像の魅力や東方神起との親和性について、小島さんはどのように感じていますか?

小島 私はもともとWOWOWさんのファンなんですが(笑)、特に音楽のライブ映像に関してはフルハイビジョンの高画質で見られるところが魅力だと感じています。WOWOWさんが放送するライブを見ていると迫力や華やかさが鮮明に伝わってくるので、臨場感がものすごいんです。だからこそ、私が東方神起を担当することになったときに「力強くて華やかで圧倒的な東方神起のライブを、いつかWOWOWの電波に乗せて放送していただけたら、こんなにすてきなことはないな」とずっと思っていました。

取材時の様子3
松井 小さい会場のほうがマッチするアーティストもいらっしゃいますが、東方神起のお2人は大きな会場になればなるほど輝くというか......京セラドーム、日産スタジアムといった大きな会場もご一緒させていただきましたが、どんな方向から撮ってもかっこいいですし、本当にたくさんのカメラを入れる必要があるぐらい見せたいものがあるんですね。

いち観客として見に行くと、きっとお2人の姿だけをずっと見ていると思うんですが、ライブ映像ではそのほかの部分もたくさんお届けできるので、そういったものを映像としてきちんと残したいと思わせていただけるようなライブなんです。

小島 WOWOWさんとご一緒した日産スタジアムのライブ(2018年6月)は雨がすごくて......。

松井 土砂降りでしたよね(笑)。でも、それすらもドラマティックに見せる力が東方神起さんにも収録チームにもあるんです。雨が降ると収録チームはそれはそれは雨対策が大変なんですが、ディレクターが「この雨で彼らはもっと輝くから、それを撮ってほしい」と鼓舞していて。

取材時の様子4
小島 雨が最高の演出になって、すごく見応えのある映像になり、伝説のライブでしたよね。

松井 すべてを武器に変えていくお2人だなと感動したのを覚えています。

東方神起日産スタジアム雨のライブ2018年日産スタジアムのライブ

──「どんな状況でも、かっこいい東方神起を届けたい」とスタッフにも思わせる力が東方神起にはあるのでしょうね。

松井 スタッフひとりひとりに分け隔てなく接していらっしゃるお2人を見ていると、「たまたま僕たちが表に出るけれど、みんなで一緒にすばらしいものを作るチームなんだ」という彼らの想いが伝わってくるんです。それは作る側のスタッフだけでなく、見てくださるお客様に対しても同様で。

「お客様がいるから僕たちは歌うし、お客様のパワーをもらってもっと歌うことができる」とインタビューでお話しされているのを聞いて、「作る側と見る側を合わせて、すばらしい作品を作るんだ」という意識で臨んでいらっしゃるんだなと改めて感じました。

小島 「僕たち2人だけじゃなくて、支えてくれるスタッフやファンの方たち皆で東方神起なんだ」と言っている姿をインタビューなどでも見かけるのですが、だから東方神起のライブってすごく温かいんですよね。その温かさが見ているお客様にも伝わっているところが最大の魅力ではないかなと個人的には思っています。(後編に続く)

取材・文/とみたまい   撮影/祭貴義道

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