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第2回WOWOW新人シナリオ大賞 地下アイドル業界を描く「父と息子の地下アイドル」が大賞受賞!

第2回WOWOW新人シナリオ大賞 地下アイドル業界を描く「父と息子の地下アイドル」が大賞受賞!

第2回WOWOW新人シナリオ大賞の受賞作が決定し、大賞には地下アイドル業界を舞台にした光益義幸さんの「父と息子の地下アイドル」が輝いた。3月5日(火)に授賞式が開催され、光益さんおよび、優秀賞を受賞した「息を籠める」の弓削勇さん、「選択のとき」の藤田委甫さん、「ヤッホー!」の三田俊之さんに賞状と賞金(大賞:500万円、優秀賞:100万円)が授与され、選考委員を務めた脚本家の羽原大介氏による選評が行われた。

大賞受賞の光益さん「自分が映像で見て、楽しいと思えるものを描いた」

大賞に輝いた「父と息子の地下アイドル」は、高校教師の主人公が、事故で植物状態となった一人息子が育成してきた地下アイドルを、息子に代わってプロデュースするという物語。

光益さんは「知らせを聞いてから今日までに、じわじわと喜びがこみ上げてきました」と受賞の挨拶。地下アイドル業界を舞台にしている点が目を引くが「僕自身が伝えたい思いやテーマがあったわけではなく、自分が映像で見て、楽しいと思えるものを描きました。地下アイドル業界を知って、熱量の高い現場を映像で見たいと思った」とその理由を明かす。

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今後、自身もスタッフの一員として参加し、受賞作が映像化されるが「嬉しいし、ワクワクしています」と語り「これからも自分が楽しいと思えるものを書いて、評価していただけるように頑張りたいと思います」とさらなる飛躍を誓っていた。

「アニメ業界」「出生前診断」「都会と田舎」...バラエティに富んだ受賞ラインナップに

優秀賞に輝いた弓削さんの「息を籠める」は、アニメ制作会社で働く主人公が、鬼監督として有名な大御所監督と共に新作を制作していく過程を描いた物語。「アニメが好きで、このような作品を作ることができました」とアニメへの感謝を口にした。

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同じく優秀賞「選択のとき」は不妊治療の末に新たな命を授かるも、出生前診断でダウン症の可能性が高いと診断された夫婦の決断を描く。今年の受賞者で唯一の女性でもある藤田さんは「この作品は、ひとりの女性からインスパイアされて書いた作品で、私自身、強い思い入れがあります」と明かし「書き上げた時、人生に迷っている方、岐路に立たれている方の背中を押せればと思いましたが、私自身、この賞をいただいたことで背中を押され、粗削りで拙いですが『藤田さん、もっともっと頑張って』と言われている気がします。これからも書くことに真摯に向き合っていきたいと思います」と決意を口にした。

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もう一人の優秀賞受賞者である三田さんによる「ヤッホー!」は、東京と田舎に別れて暮らす兄弟を描いた作品。三田さんは本作のテーマについて「私自身、田舎で暮らしてきた時間と上京してからの年月が人生において半々くらいで、東京と田舎をテーマに書きたいと思って書きました」と説明し「書くことが大好きなので、引き続き書き続けていきたいと思います」と語った。

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選考委員・羽原大介氏「脚本家は書くだけでなくコミュニケーション力が大切」

2年連続で選考委員を務めた羽原さんは「去年と比べて、上手にまとまっている作品が多いという印象を受けました」と全体を総括したうえで、それぞれの作品について論評。大賞を受賞した「父と息子の地下アイドル」について、高校教師だった主人公が地下アイドルのプロデュースに奮闘するという物語と展開について「斬新なストーリーで、短いシーンをテンポよく転がして展開している」と評価する一方で「同じようなライブシーンが細切れで多く登場し、ちょっとくどい印象もある。ひとつのシーンに凝縮すれば、さらに見応えのある作品になったのではないか」とも。

さらに「登場人物たちの心情が丁寧かつ明確に描かれており、取り残されることなく感情移入して見ることができました。地下アイドルという題材も鮮度があり魅力的。父と息子の関係、夢に対する情熱など、誰しも共感できるメッセージがまっすぐに伝わる作品で最後まで一貫性がありました」と称賛。そして「ラストが尻切れトンボでやや不完全燃焼であり、物足りなさを感じました。さらにその続きも見てみたかった」と注文を付けた。

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また羽原さんは受賞者に対し、これからさらに活躍していくために「ライターは書くだけでなくコミュニケーションの力が大事だと思います。ドラマも映画も舞台もすべてチームプレイ。それぞれの持ち場が、その能力を発揮してこそいい作品ができると思います。シナリオ部門、戯曲部門はひとつのパート。プロでやっていくならその意識をきちんと持たれていた方がいいと思います」と脚本家の先輩としてアドバイスを贈った。

今回をもってシナリオ大賞終了も「オリジナルコンテンツの新たな可能性の追求を」

授賞式に出席したWOWOWの大高信之常務取締役は、今年度は413本の応募があったことを報告。改めて、WOWOWにとってドラマ部門は「オリジナルコンテンツの柱となっている」と語り「ドラマ業界をWOWOWがさらにリードできるように、新たな作品に挑戦していかないといけないと思っています」と語った。

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2007年より12回に渡り「WOWOWシナリオ大賞」、「WOWOW新人シナリオ大賞」が行われてきたが、今回をもってコンペティションの開催は終了となる。大高常務取締役は「今後、ドラマに限らず、新たなオリジナルコンテンツの可能性を追求したい。脚本家を含めクリエイターのみなさまにはさらなる活躍の場を提供していければと思っています」と語り、授賞式は幕を閉じた。


<受賞結果>

【大賞】

「父と息子の地下アイドル」:光益義幸

【優秀賞】

「息を籠める」:弓削 勇
「選択のとき」:藤田委甫
「ヤッホー!」:三田俊之

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写真左より:優秀賞「ヤッホー!」:三田俊之さん/大賞「父と息子の地下アイドル」:光益義幸さん/優秀賞「選択のとき」:藤田委甫さん/優秀賞「息を籠める」:弓削 勇さん

取材・文/黒豆直樹  撮影/祭貴義道  制作/iD inc.

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