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「もはや"日本版"という肩書きは要らない」 吉田羊、自負と誇りを持って臨んだ『コールドケース3 ~真実の扉~』

「コールドケース3 ~真実の扉~」主演:吉田羊

“ホーム”――。吉田羊は「コールドケース ~真実の扉~」シリーズを自身にとって帰ってくるべき「家」のような存在だと語る。

未解決の殺人事件(=コールドケース)の真相を追う捜査チームの姿を描いたアメリカの人気ドラマの日本版として2016年にスタートした「コールドケース」シリーズ。2018年のシーズン2に続き、いよいよ12月より最新シーズン3の放送が開始となる。

吉田演じる神奈川県警捜査一課の刑事・石川百合をはじめとする捜査一課の面々の活躍に加え、各話で登場する実力派の豪華ゲストたちの存在も楽しみなところ。さらに残留孤児の問題やデートレイプ、心臓移植などをテーマにした日本版完全オリジナル脚本によるエピソードがどう展開していくのか? 吉田に本作への想い、そしてシーズン3の魅力についてたっぷりと語ってもらった。

新型コロナで撮影中断...捜査一課のセットを丸ごとWOWOWに

――新型コロナウイルスの拡大による撮影の中断など、イレギュラーな事態もありましたが、シーズン3の撮影を終えて、今の心境をお聞かせください。

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今回は2月にクランクインして、その後、新型コロナウイルスの影響で中断を余儀なくされましたが、この『コールドケース』という作品の持つ"生命力"、そしてチームの協力で完成、オンエアにこぎつけたことに感動しています。

WOWOWさんが、撮影再開後の感染防止対策を本当に徹底してくださいました。実は、これまで撮影で使っていたけど再開後に使用できなくなってしまったロケ先も多かったんです。たとえば、捜査一課を撮影していた場所での撮影ができなくなってしまい、そうなると物語が一切、進まなくなってしまうところなんですが、(赤坂本社の)社屋内の1フロアの半分を提供してくださり、立ち入り禁止にして、そこに捜査一課のセットをすべて組んでくださったんです。

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WOWOW赤坂本社内が捜査一課に

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赤坂本社「捜査一課」での撮影風景 

この作品へのWOWOWさんの"愛"、そして期待してくださっていることを感じましたし、その期待に十分に応えられるシーズン3ができたと自負しております!
(WOWOW開局25周年記念作品として制作された)シーズン1の時もそうでしたが、節目の作品に選んでいただけた重みも責任も感じますし、WOWOWの看板ドラマとして、このシーズン3がまた一段、高みに上げてくれたと思っています。

オリジナルの世界観+日本人の感性でさらなる高みへ!

――アメリカの人気ドラマの"日本版"として制作されたシーズン1ですが、シーズン2では日本版オリジナルストーリーも加えられ、さらにシーズン3では、残留孤児の問題、デートレイプの問題、臓器移植法改正後の心臓移植の問題など、日本の社会の問題を積極的に扱っています。吉田さん自身、日本版としてのシリーズの変化・成長を感じているのでは?

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それは強く感じますね。シーズン1の時は初めてだったので、みんな手探りで作っていた部分もあったと思いますが、オンエアされて視聴者の方々の反応から手応えを感じた部分もありましたし、さらにより日本らしさを出したいということで、事件当時の時代に流れる曲を主に邦楽に変えたことでまたガラッと雰囲気も変わったと思います。

今回のシーズン3で、さらに私たちのものになったなという感覚が強いですね。"日本版"という肩書きがもう要らないんじゃないかというくらい、アメリカのオリジナル版の世界観を大切にしながらも、日本人ならではの感性で作られた作品になったなと思います。

――特にシーズン3の魅力、見どころについて教えてください。

たくさんあるんですよ。滝藤(賢一)さんの悲願だった、(自身が演じる)立川のパーソナルエピソードは今回のシリーズを制作するに当たって、最初にプロデューサーさんが「これをやらないことには始まらない!」という想いで考えてくださったので、この立川さんの回は大きな見どころですね。

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滝藤賢一演じる立川大輔

あとは毎回のゲストの皆さんのお芝居が本当にすばらしくて、私は完成した作品を見て、1話ごとに見終わって呆然として、しばらく動けなくなるくらいなんです。作品の構成上、過去のエピソードもあるので、現場で直接お会いできない俳優さんも多いんですよ。台本で読んでいても現場でどのようにお芝居されたのかは、完成した作品で確認するしかなくて、「あぁ、こういう風に台本を読んで、世界を作って演じてくださったんだな」と感謝の想いしかないですね。

今回も日本版ということで日本の、その時代の音楽もたくさん使われているので、見てくださる皆さんがご自身の記憶と照らし合わせて、どこか自分の生活と地続きの世界として見ていただけるんじゃないかと思います。

百合さんに関して言えば、シーズン1、シーズン2と身の危険にさらされることもあり、捜査一課の4人に助けてもらいながら更に成長していくという形でしたが、今回は百合さんの心の深淵に手を伸ばしていくような、精神的な成長を遂げているシーズンになっていると思います。

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吉田羊演じる石川百合

シーズン1の時は手探りで挑んでいる部分もありましたが、シーズンを重ねるごとに、私を含め捜査一課のメンバー全員、役と自分自身が一体化して、成長してきた部分があるので、役が我々の体になじんだ上で作れているので、"役作り"というところからさらに一歩、二歩踏み込んだところで、この作品をいかに高みに上げられるか?というディスカッションができたと思います。

特にチーフ監督の波多野貴文さんとの間で解釈にほとんどずれがなく、役者が「こうしたい」という部分と監督が「こう撮りたい」という部分がほぼ一致していて、撮影自体はすごくスムーズに進みましたね。

捜査一課5人の絆があってこその『コールドケース』

――吉田さんにとって、本シリーズはキャリアにおける、連続ドラマ初主演作ですが、シーズン1の際に「あまり主演ということは意識していない」とおっしゃっていました。その後、シーズンを重ねたことで、主演という立場への意識の変化などはありましたか?

主役ということへの気負いは相変わらずないんですが(笑)、それはこの作品の作りによる部分が大きいと思います。『コールドケース』という作品は、私が主演として立たせていただいてはいますが、あくまでもゲストの皆さんが主役なんですね。ゲストの想いを聴き取り、すくい上げていくというのが我々の役割であり、そういう想いで私も捜査一課の面々も臨んでいるので「主役だから自分が引っ張っていかなきゃ!」みたいな感覚はいまだにないんですよね。

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この捜査一課の5人の信頼関係と絆は今回、さらに深まったのを感じていますね。そこはシリーズを通じての大きな見どころの一つでもあると思いますが、今回特に、カメラが回っていないところでの交流が増えて、その信頼関係が演技にも反映されているなと思います。

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先ほども言いましたが、手探りで始まりましたが、シーズンを重ねる中で、キャラクターと自分自身が一体化して成長してきた部分がありますし、スタッフさんもほとんど変わっていないので「こうやればこう撮ってくれるだろう」という安心感があるんですね。シーズン1、2とはまた異なる世界観を作り上げたシーズン3ではあるんですが、このチームだからこそそれを実現させることができたんだなとあらためて感じていますね。

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「コールドケース3」第2話より

――現場での振る舞いなどで、意識していることなどはありますか?

私は参加してくださった全員に「この作品に参加してよかったな」と思ってほしいので、できるだけそう思っていただけるような気配りはしたいなと思っていて、まずは現場のスタッフさんの名前は覚えて、各セクションのお仕事をちゃんと見て、「いいな」と思ったら、その想いをちゃんと言葉にするようにしています。

スタッフの皆さんは、ご自身の仕事をちゃんとしてくださっているんですが、注目されないことの方が多いんですよね。なので現場で「いまのピント、すごくいいですね!」とか「この照明のおかげで百合さん、めっちゃキレイです!」とか、具体的に感謝の想いを持ってみなさんのお仕事を目に留めることは意識しています。

あとは差し入れをケチらないことですね(笑)。今回、新型コロナウイルスの影響でなかなか差し入れができない状況で、できるとしても個別に包装されたもの限定だったりしたんですが、食事って現場ですごく大事でモチベーションになるんです。だからこそ、ケチらず「後半戦も頑張りましょう!」と、ちょこちょこ差し入れさせていただいておりました(笑)。

刑事ドラマであり人間ドラマーー「シーズン3で描かれるのは人間の"愛"の物語」

――人気の海外ドラマの日本版を作ることの意味――海外ドラマの日本版だからこその本シリーズの魅力、通常の日本のドラマにはない強みはどういった部分だと思いますか?

この『コールドケース』に関して言えば、オリジナル版のドライさを保ちつつ、日本人ならではの義理人情で寄り添って、人間の弱さや愚かさを愛情をもって描いている点が、日本版ならではの魅力だと思います。
加えて、地上波ではタブーとされているテーマに果敢に切り込んでいくWOWOWさんの覚悟が、歴史的な問題であったり、人権の問題を取り扱うこの『コールドケース』を成立させている大きな要素だと思います。

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――社会的な大きなテーマを扱いつつも、1話ごとに人間の優しさや愛情といった部分にきちんとスポットを当てて、個々の物語が描かれているなと感じます。

そう思います。今回のシーズン3は特に人間の愛が描かれていると思っていて、刑事ドラマではあるんですが、あくまでも誰かを想い、誰かを守るために犯された犯罪をすくい取っていく人間ドラマなんです。だからこそ見てくださる皆さんがそれぞれのキャラクターを自分の家族だったり恋人だったりに置き換えて、自分のこととして見ていただけるのがこのドラマの魅力なのかなと思いますね。

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名カメラマン・山田康介による8K収録&豪華脚本陣による深みのある物語! 「このチームでなければできなかった」

――今回、WOWOWのドラマ史上初となる全編8Kによる収録を敢行するなど、新しい撮影手法による試みもありました。波多野貴文監督をはじめとする制作チーム、そしてシリーズを通じて撮影監督を務めている山田康介さん(『シン・ゴジラ』、WOWOW『連続ドラマW そして、生きる』など)とのお仕事はいかがですか?

本当にすごい人たちが脚本を書いてくださっていて(酒井雅秋、野木萌葱、吉田康弘、蓬莱竜太瀬々敬久)、皆さん、ご自身で撮るべきと思うほどのそうそうたる監督たちばかりですが(笑)、あえてこの方たちに脚本を書いていただいて、波多野さんに預けていただけているのは、やはり波多野さんに対する皆さんの信頼の厚さがあるからだと思います。

撮影監督の山田康介さんに関しては、(第3話ゲストの)有村架純ちゃんもリリースで言っていますが、本当に俳優と一緒にお芝居をしてくださる方で、安心してお芝居ができるんですね。だから、ご一緒していて現場でカメラが邪魔だと思ったことがないんです。

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撮影監督:山田康介

現場での後輩のカメラマンへのダメ出しも本当にカッコよくて、ピントが合わなかったりすると「ちゃんと芝居を見てろ。ちゃんと芝居を見ていたら、そんなピントの合わせ方にならないよ」という言い方をされるんです。キュンとしますよね。「結婚したい!」と思っちゃいましたもん(笑)。

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自分の感情で芝居をすると、その感情にリンクしてカメラが寄ってくるのが分かるんですよ。「この人、なんで私の感情がこんなにかってるの!?」って思いましたね。技術ではなく"心"で撮ってもらえていると感じる撮影監督さんです。

波多野さんもそうですけど、康介さんでなければ『コールドケース』は成立しないと思います。(プロデューサーをチラ見しつつ)なのでもしも今後、シーズン4があるとしたら、まずは康介さんのスケジュールを押さえて、その後、俳優陣のスケジュールを確認することになるんじゃないかと(笑)。

――波多野監督は現場でどんな演出をされるんですか?

波多野さんも本当に安心できる監督さんですね。役者の感情をいちばんに考えてくださるので、もちろん、ご自身の中に「こういう画を撮りたい」というビジョンはお持ちなんですけど、まずは最初のリハーサルで自由に俳優を泳がせてくれるんです。「まずは好きにやってみてください」と。

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波多野貴文監督

そこで思いもよらない芝居があって面白いと感じたら即採用してくれるし、たとえそこにずれがあったとしても、それを自分のビジョンに寄せつつ、一方で俳優が考えてきた芝居も入れつつ、演出してくださるんです。そこはすごくうまいんですよねぇ。俳優側も演出で無理に芝居を変えられたという印象はないし、でも出来上がった映像を見るとちゃんと監督の思い通りの画になっているという、"魔法使い"のような演出家ですね。

人柄もすばらしくて、懐が深くて、こちらがどんな質問をしてもすべて受け止めて、ちゃんと答えを返してくださるんです。ですので現場で「一緒に作っている」という感覚を持ってお仕事をさせていただける熱い人です。

作品の解釈に関しても、シーズン1の時からほとんどずれがなく"両想い"なんですよ。康介さんと同様に波多野さんじゃなきゃこのシリーズはできないなと思いますね。

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――吉田さんの言葉から、スタッフ・キャストの一体感が伝わってきます。

シーズン3までくると、家族のような感覚なんですよね。作品自体、私にとっても"ホーム"と呼べるものになったと思いますし、他の作品に出演して、この現場に戻ってくると「あぁ、帰ってきたな」と感じます。先ほども言いましたが本当に各話のゲストの方の芝居がすばらしいので、相手のお芝居に心震わせて反応するのがお芝居なんだという、そもそものお芝居の"本質"を思い出させてくれる作品ですね。

愛と感謝と向上心を胸に現場へ――。

――これまでWOWOWの作品には『連続ドラマW 推定有罪』、『連続ドラマW レディ・ジョーカー』などに出演され、今年はリモートドラマ『2020年 五月の恋』にも主演されています。吉田さんから見たWOWOWという放送局の印象について教えてください。

先ほども言いましたが、地上波ではタブーとされるテーマに果敢に飛び込んでいく覚悟がWOWOWさんにはあるなと思っています。「このテーマを扱っていいのか?」とこちらが心配になるくらいですし、何か新しい提案をした時のリアクションの良さは業界一だと思います。

2020年 五月の恋に関しては、発案から20日でオンエアにこぎつけたんですけどあの作品は、WOWOWさんが普段、ライブ中継を担当しているスタッフさんを呼んできてくださったことで成立したんですよね。この作品にはこういうスタッフが必要だと判断し連れてこられる、ある種の勘の良さもWOWOWさんの強みだなと思いますね。

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――新型コロナの状況下で、あれだけのスピード感でリモートでドラマを制作されてみて、いかがでしたか?

私は演者なので、リモートということもあって、ほとんど人と会わずに撮影を終えたんですね。どんな人たちが参加してくださっていたのかもよく分からないまま、最終日にカメラ越しに「ありがとうございました」とご挨拶させていただいたんですけど、そんな中であの作品を完成させることができたのは、各セクションの皆さんが、与えられた場所で自分の仕事を全うした結果ですよね。あの作品もまた、あのチームでしかできなかった作品だと思いますし、松永大司監督のアイデアなどを含め、しかるべき人材が集まったことによってできた作品だなと感じています。

201202_features_coldcase3_gogatsunokoi.jpg『2020年 五月の恋』より

――リモートでの撮影に関して、不安や戸惑いはなかったんでしょうか?

リモートということで、そもそも「見えない」わけですよね、裏のことが。なので、リハーサルを含めて5日間ですべてを撮ったんですが、すべてがうまくいっているものだとばかり思っていたんです。
1日ごとに一夜分を撮るという流れだったんですけど、初日に第一夜を撮ったら、どうやらこれは(1話分の)15分に収まらないぞということが判明したらしく、でも監督の性格からして「尺に収まらないから芝居を縮めてくれ」とは言わないんですね。

その結果として、その日の夜にマネジャーさんから「第一夜をもう一度撮りたいそうです」とメールが来たんですね。私は第一夜でガーっと泣いてるので「いやいや、無理よ!」って一度はゴネたんです。「すべてを出し切りましたから」と。

でもそうやってゴネたところで、松永監督はOKする人じゃないんですよ(笑)。撮るまでやる人なので「分かりました」と渋々言ったんですけど(笑)、それはやっぱり、裏でどんな大変な事態が起きているのかが分からなかったからでもあって、そういう部分はリモートによるデメリットなのかもしれません。

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大変さも共有できるということも、対面でのお仕事のいいところなのかなと思いますね。そういう経験でチームになっていく部分もあるので。あの時、その大変さが見えていたら「分かりました。頑張ります!」と素直に言っていたと思うので(笑)。

――最後に吉田さんがお仕事をされる上で、大切にされていること、軸となっていることを教えてください。

「愛と感謝と向上心」。向上心に関しては、どの作品であれ「これでいい」と思わずに常に「もっと何かできないか?」と自分を疑ってかかるようにしています。それが達成できたとき、それを叶えてくれたすべての要素に感謝することを大事にしています。

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WOWOW開局30周年記念 連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~

12/5(土)放送スタート毎週土曜よる10:00
※第1話無料放送(全10話)

インタビュー/黒豆直樹  撮影/平岩享

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