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「3Dで広がる音に囲まれるような感覚」WOWOWのスタジオでボブ・ジェームスが3Dオーディオを初体験

「3Dで広がる音に囲まれるような感覚」WOWOWのスタジオでボブ・ジェームスが3Dオーディオを初体験

「フォープレイ」での活動でも知られるジャズ~フュージョン界を象徴するピアニスト、ボブ・ジェームスのニューアルバム『フィール・ライク・メイキング・ライブ!』が2月25日に発売される。

ステレオ版だけでなく3Dオーディオ版とHPL(ヘッドホンを通すことで3Dオーディオの臨場感が得られるバイノーラル技術)版も配信で提供される本作は、まるでボブ・ジェームスが演奏している空間に居るかのような“新しい音体験”を聴く者にもたらすだろう。2020年1月に来日し、マスタリング前の音源を聴いたボブ・ジェームスのスペシャルインタビューをお届けする。

オムニクロス・スタジオでミックスされた、ボブ・ジェームスのニューアルバム

最新技術をふんだんに取り入れたボブ・ジェームスのニューアルバム『フィール・ライク・メイキング・ライブ!』。3Dオーディオとステレオの2種類の音源を収録した本作で、3DオーディオとHPLのミックスを担当したのは、音のスペシャリストとして40年近く音響の仕事に従事するWOWOWエグゼクティブ・クリエーターの入交いりまじり英雄だ。

220215_BJ_MG_8835.jpg入交英雄

アメリカでレコーディングされた音源を入交がWOWOWのスタジオ「オムニクロス」でミックスし、ベルギーにある3Dオーディオの聖地「ギャラクシー・スタジオ」で最終ミックスとマスタリングしたのが本作である。

2020年1初旬、公演のために来日中のボブ・ジェームスがマスタリング前の3Dオーディオ版『フィール・ライク・メイキング・ライブ!』を体験するためにオムニクロスを訪れた。ステレオ版と3Dオーディオ版を続けて聴いたボブは、初めて体験した3Dオーディオをどのように感じたのだろうか。

220215_BJ_MG_8447.jpgWOWOWオムニクロスにてボブを迎え入れる入交

──ニューアルバム『フィール・ライク・メイキング・ライブ!』のコンセプトについて教えてください。

「リラックスしているけれど、やるべきことはしっかりやる」といったイメージで作っていけたらいいなと思ったので、ライブ感を大切にしながらも、レコーディングだからこそできるミックスにもこだわりました。楽曲についても、古いものから最新のものまで取り入れて、今現在のトリオが一番良いカタチで再現できるようなアルバムになっていると思います。

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──先ほど3Dオーディオでご自身の楽曲を聴いていただきましたが、どのように感じましたか?

とても素晴らしかったです。3Dオーディオうんぬんは考えず、曲のことだけを考えてレコーディングしたライブミックス(ステレオ版)にももちろん満足していますが、3Dオーディオ版を今日初めて聴いたら......3Dで音が広がっていて、まるで自分の音楽ではない、別の人の音楽を聴いているような感覚にすらなりました。リスナーは私のピアノ席にいるような感覚になれるんじゃないかと思います。ギミックのような作りあげられたものではなく、自然と音に囲まれるような感覚......空間を感じられるような体験をしました。

220215_BJ_MG_8533.jpg入交の3Dオーディオミキシングを聴くボブ・ジェームス

──ミックスを担当した入交さんは「ピアノソロにとくにこだわった」とのことですが、それを聞いてどう感じましたか?

「ひとつの楽器の音を調整するのが、なぜそんなに大変なんだろう?」と不思議に思う方もいるかもしれませんが、ひとつの楽器の音から3D空間を作りあげていくためには、周波数やアンビエンス(「臨場感」の意味。マルチチャンネルオーディオの効果を表す言葉としても用いられる)をどうするかといったような、いろんなことを決定しなければいけなかったと思うんです。そうやって試行錯誤を経てミックスされたものを聴いて「本当に素晴らしい」と思いましたし、空間を感じることができました。実は、私もこれと少し似た体験をライブですることがあるんです。

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──似た体験ですか?

ライブで演奏しているときは、自分のピアノの生音がもちろん聴こえるわけですが、ほかにも後ろのモニタースピーカーから出る音や、会場に設置されているスピーカーから出る音も聴こえてくるんです。自分の音だけでなく、別の音にも包まれるという体験ですね。

ただ、このスタジオ(オムニクロス)のような高価なスピーカーを使っているケースはほとんどないので、今回ほどの体験というのはなかなかできません。可能ならば、今後私がコンサートを行なうときには、つねにこのぐらいの音が聴こえる環境になったらいいなと思います(笑)。

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──本日聴いていただいたミックス音源はこの後、ベルギーのギャラクシー・スタジオで3Dマスタリングをされます。期待感はいかがでしょう?

アーティストがマスタリングの作業に立ち会うことはほとんどないため、いまだにマスタリングというのはミステリーの部分だったりもします。ただ、とても重要な最終工程であることは間違いありません。レコーディングから始まり、3Dオーディオの新しいミックス技術が施されて、3D用にマスタリングされて......自分の知らない技術がたくさん投入された今回のアルバムですから、できあがりを非常に楽しみにしています。今日聴いただけでも、とてもエキサイティングな気持ちになりました。

──最後に、日本のファンに向けてメッセージを!

自分のパフォーマンスが3Dオーディオで大きく広げられ、リスナーのみなさんに新しいサウンドとして届けられるのを大変楽しみにしています。私自身が初めて聴いて感じた驚きを、みなさんもぜひ経験してください。

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■ボブ・ジェームス最新アルバム情報『フィール・ライク・メイキング・ライブ!』

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構成/とみたまい  撮影/祭貴義道

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