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金メダリストが語る! WHO I AM フォーラム with OPEN TOKYO レポート

金メダリストが語る! WHO I AM フォーラム with OPEN TOKYO レポート

WOWOWと国際パラリンピック員会(IPC)の共同プロジェクトによるパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM-これが自分だ!という輝き-」シーズン2の放送開始を前に10月27日(金)都内で、パラリンピック金メダリストやアスリートたちが出席してのトークセッション&特別先行試写会が開催された。シーズン1に出演したオランダ出身の陸上金メダリストのマールー・ファン・ライン選手、車いすテニスの金メダリスト国枝慎吾選手、元陸上日本代表の朝原宣治氏、プロテニスプレイヤーの松岡修造氏、IPC理事の山脇康氏、そして番組のナビゲーター、ナレーターを務める俳優の西島秀俊氏が登壇した。

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「アスリートがひらく1000日後のTOKYO、そして未来へ」と銘打って行われたトークセッションでは、進行役を務める松岡氏の紹介で、客席の間を通ってマールー選手、国枝選手、朝原氏が登場すると、会場には割れんばかりの拍手がわき起こった。この日の朝、都内の小学校を訪問し、児童たちにランニング指導をしてきたマールー選手は「元気いっぱいの子供たちと走れて楽しかったです」と2020年のホスト国である日本の人々の歓迎に満面の笑み。

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同シリーズではスタッフが競技の部分だけでなく、プライベートも含めて長期にわたり「しつこく深く」(松岡氏)張り付いて取材を進めていくのが特徴。国枝選手はシーズン1の時の取材を振り返り「2015年の全米での優勝後に取材に来られたんですが、その頃に肘を痛めたこともあり、正直『嫌な時期に来たな...断ろうかな』と思った(笑)」と明かしつつ「リオパラリンピックまでのストーリーを、僕自身、記録として残したい気持ちがあった」と説明した。番組を見て、奥様との会話を見て「ウルっときた」とも。「普段は強気なコメントが多いけど、家では弱気なんです。家で妻にしか言えないこともあった。妻がいなかったらリオの舞台にも立てなかったし、メダルも獲得できなかった。弱音を吐く場所があることが救いだったなと作品を見ながら思いました」と語った。

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朝原氏は、元シンクロナイズドスイミング選手で五輪出場経験のある奥野史子さんを妻に持つが、国枝選手の言葉に深くうなずき「作品を見て、夫婦の在り方をもう一度、考えるべきかなと思いました(笑)。現役時代が懐かしかったです」と話した。

マールー選手も家族やパートナーの存在の大きさについて「私の場合、恋人も同じアスリートで、支え合い、共感できます。私がナーバスになっていても、心をほぐしてくれるんです。家族は、常に私を私として見てくれます。そういう支えがすごく大きいです」と同意。松岡さんが「語弊があるかもしれませんが、パラスポーツの選手は、健常者スポーツ以上に家族との絆、一緒に戦っているという感じが強い」と指摘。マールー選手は「パラリンピアンの場合、家族と歩むことは必要不可欠です。(健常者の)オリンピアンがそうじゃないというわけではないですが、自分勝手で自分のことばかり考えていてはやっていけません」と語った。

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また松岡氏は、パラリンピアンの多くが、人生において障がいと向き合う経験をしていることから「言葉は悪いですが、一度、どん底に落ちて、挫折から前に行く力にはとんでもないものがある。メンタルが強い」と分析。9歳の時、脊髄腫瘍で車いす生活となった国枝選手は「生死にかかわることを乗り越えると、一度、ある意味で死んでいると思える。あとはチャレンジするだけだと、思い切り何でもチャレンジしていこうと思える」と語った。マールー選手の場合、障がいは生まれつきのもので「子どもの頃から他の子と同じようにスポーツはしていました」と語るが「でもアスリートとして勝ったり負けたりしてメンタルは強くなりました。またパラリンピアンの場合、健常者が施設などを簡単に使える一方で、遠回りしないと手に入らないもの、乗り越えなくてはいけないものがあるのは事実。そこでメンタルが強くなると思う」と語った。

競技引退後にパラアスリートと一緒に活動する機会を持つようになったという朝原氏はマールー選手の言葉に「施設や設備だけではなく、人々の考え方もそう。僕も障がい者の方々と関わる前は、距離があったり、同じ競技をする者として見られていなかった部分があった。一緒にやるようになって、努力もアスリートとしての気持ちも同じだと知りました。いろんなところに心の壁がある。それが良くならないと施設も良くならない」と訴えた。

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そして、約1000日後に控えた2020年の東京大会の話になると、まず松岡氏は国枝選手に「正直、東京まで(現役で)やると思ってなかったです」と率直な思いをぶつけた。国枝氏は「オリンピック招致前は、16年のリオで終わりと思っていました。でも、東京開催が決まった瞬間から、東京に向けて頑張るんだという気持ちがわき上がってきた」と告白した。マールー選手は国枝選手のこの決断を「まだやれる、伸びがあると感じるなら、やらない理由がない! だって自国開催でしょ?」と後押し。国枝選手からは「金メダルを獲れるぞと思います。まだ進化できる実感があるし、この調子で行けば東京大会の金メダルは僕だろうと思います」と金メダル宣言も飛び出し、会場は期待を込めた熱い拍手に包まれた。

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東京開催に向けて、施設や設備はもちろん、受け入れる日本の側の心の準備も大切になってくるが、マールー選手は「東京に向けて、オリンピックとパラリンピックが別々のものではなく、同じものとして盛り上がってきているのを感じます。その考えがすごく大事です。ロンドン(2012年)はパラリンピックの知識を持っている人々が多くいました。リオ(2016年)は、みんなとにかくスポーツが大好きなんだという声援を感じました。意識が高まっていく中で、東京はまた違った形になるんじゃないかと感じます」と期待とエールを口にした。

ディスカッションの最後に改めてマールー選手と国枝選手に、「あなたにとって『WHO I AM」とは?』と松岡氏が問いかけると、マールー選手は「私はオランダ人。弱いところは気にしない。負けても流して、先に進む。弱さやマイナスは無視します! 私にとっての『WHO I AM』は、他のアスリートと同じ、毎日練習を重ねて、金メダルのために頑張る。それが私です」と力強く語る。国枝選手は「チャレンジすることが生きがいだし、そうしている自分が一番楽しい。常にそれを続けていくことが僕の『WHO I AM』」と笑顔で語った。

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イベントの最後に、番組ナビゲーターの西島秀俊さんが登場し、マールー選手と国枝選手に花束を贈呈。西島さんは「おふたりは、競技のレベルを上げ、競技自体を変えてきた存在。強さ、美しさ、強烈な個性を感じました」と2人を称えた。

西島さんは、アスリートとしてだけでなく、ひとりの人間として人生をエンジョイするパラリンピアンたちの姿に感銘を受けたそう。「人生を楽しんでいて、情熱と信念を持って、夢を語られている姿やパートナーと過ごされている姿を見て、『自分は人生をこんなに楽しんでいるかな?』と嫉妬を覚えるほどでした。試合の姿ももちろん感動しますが、家族の話――多くの選手のご両親がすごくポジティブで、逆境をはね返す明るさがあって、可能性を常に信じている。(国枝選手が)奥様とゆっくり食事をしている姿や、その会話は胸にくるものがあって感動しました」としみじみと語っていた。

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