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今年はラグビーがアツい!  担当プロデューサーに聞く、欧州最強国決定戦「シックス・ネーションズ」&自国開催のワールドカップの

今年はラグビーがアツい! 担当プロデューサーに聞く、欧州最強国決定戦「シックス・ネーションズ」&自国開催のワールドカップの"楽しみ方"

スポーツ部平林武志プロデューサー

今年はいよいよラグビーワールドカップが日本で開催される。せっかくの自国開催、「ラグビーを普段あまり観る機会がない」という人にも楽しんでいただきたい! ということで、元ラガーマンでもあるWOWOWスポーツ部・ラグビー担当の平林武志プロデューサーに、WOWOWで全15試合を生中継する2月2日開幕のラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」の見どころをはじめ、ラグビーの魅力や注目すべきポイントについて話を聞いた。

30歳を過ぎて、営業職からスポーツ部への異動を経験

──まず、ご自身とラグビーとの出会いについて教えてください。

僕が生まれ育った大阪はラグビーが結構盛んな土地柄で、近所のお兄ちゃんたちもラグビーをやっていたという理由で僕も6歳からラグビーを始めて、大学まで続けていました。社会人になってもしばらくやっていましたね。hira1.jpg

──1998年、新卒採用でWOWOWに入社したとのことですが、なぜWOWOWを選んだのでしょうか?

「テレビの仕事がしたい」という思いからです。WOWOWでやりたかったのは、やっぱりスポーツ中継ですね。「スポーツの感動を伝えられる仕事がしたいなあ」と思って入社しました。

──入社してすぐ希望の仕事につくことができましたか?

最初の10年は営業の仕事をしていて、「スポーツにはもう縁はないかな?」と思っていたんですが、その後異動となって、2007年からずっとスポーツ部で仕事をしています。

──営業の部署にいた時期は、主にどのような仕事をしていましたか?

お客様がWOWOWに加入するルートとして、家電量販店を窓口とすることが当時は多かったので、量販店さんに向けての営業ですね。その後、ケーブルテレビを窓口としてWOWOWに加入していただくルートも増えてきて、僕もそちらの営業を担当することになったんですが、仕事としても結構楽しかったので「もう、ずっと営業でもいいかな」って思っていたんです。そうしたら急に「スポーツ部へ異動しなさい」と言われて...。

──ご自身で異動を希望されたわけではなかったのですね。

はい、戸惑いはなかったというと嘘になりますね。当時30歳を超えていましたから、「知識ゼロの状態から制作の現場に行くのはしんどそうだなあ」と思いつつ......実際のところ、本当になにもわからなかったですからね。「収録ってなにを準備するんですか? なにが必要なんですか?」って、まるで新入社員のような状況でしたから。

──最初に担当したスポーツは?

ボクシング番組の「エキサイトマッチ」です。2007年の夏から2012年の春ぐらいまで「エキサイトマッチ」を担当して、そこで基礎から全部学びました。最初は本当にしんどかったですね。30歳も超えていましたし、営業ではある程度の権限や予算を与えてもらってやれていたものが、スポーツ部ではゼロからのスタートでしたから。アシスタントとしてつかせてもらっている先輩プロデューサーに、ひとつひとつお伺いを立ててから動く、みたいな感じですよね。休みを返上して働いたり、夜中まで仕事することもあったので、最初は「しんどいなあ」と思っていました。kumi.jpg

WOWOW開局以来続く人気番組「エキサイトマッチ~世界プロボクシング」を担当

──そこから、徐々に意識が変わっていった?

そうですね。仕事に慣れてきたというのが大きかったと思います。我々が作っている番組は、当然"試合ありき"で、そこにどうやって演出をつけていくか、どういう要素を足していくかなので、そのスポーツがわかってきたら面白いんですよね。

そもそも僕はボクシングというスポーツをあまり知らなかったんですが、番組を作っていくうちに「ボクシングって面白いな」と思えるようになってきて、かつ、仕事のこともわかり始めてきたら、やれることも増えるし、任されることも増えていくので、どんどん面白くなっていった感じですね。

個人よりもチームを重んじる、ラグビーという競技の魅力

──ボクシングの後にはテニスを担当されていたということですが。

そうですね。2012年の春から2016年の春先ぐらいまでテニスを担当していました。なので、2014年の全米オープン準決勝、錦織選手がジョコビッチ選手に勝って決勝進出を決めた試合のときも現場にいましたし、もちろん決勝もプロデューサーとして現場に立ち会いました。ああいう瞬間に携わらせてもらえたというのは、スポーツの仕事をやっている人間としては最上級の幸せだと思います。日本中が注目したあの試合に携われたというのは、嬉しかったですね。nisikoriafuro1909.jpg

──その後、WOWOWがラグビーを扱うことになった際に、立ち上げから関わったのですか?

2015年のラグビーワールドカップで日本代表が活躍したことを機に、「ラグビーをやってみようか」ということになったのですが、実はそれよりも前に一度、WOWOWでラグビーを放送しているんです。2009年の10月に日本で開催されたニュージーランド対オーストラリアの「ブレディスローカップ」と呼ばれるテストマッチです。地上波では放送しないような試合だとは思いますが、ラグビーが強い国同士の戦いということもあって、周囲が予想していなかったような反応がありました。

それで「WOWOWでラグビーをやりませんか?」と企画を出したんですが、当時は2015年のようなブームもなかったので、「難しいだろう」ということで企画が通らなかった記憶があります。そのまま「WOWOWでラグビーを放送することはないのかな?」と思っていたんですが、五郎丸選手のブームも相まって「じゃあ、WOWOWでもラグビーをやってみようか」ということになりました。

──最初に扱ったのはどういった試合でしたか?

ラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」ですね。今年も2月2日から放送しますが、イングランド、フランス、アイルランド、イタリア、スコットランド、ウェールズの6カ国で欧州最強の座を争う、ラグビー国際大会の中で最も古い歴史を持つ大会です。当初、WOWOWで放送することに関して「反応はあるのかな?」と不安だったんですが、加入面、視聴面それぞれでお客様からの反応をいただけて「レベルの高い海外ラグビーに関しては需要がある」と実感できた番組でした。6nations-2019.jpg

──ラグビー経験者であり、WOWOWではボクシングやテニスも担当されていた平林さんからみて、改めてラグビーの魅力とはどこにあると思いますか?

人間と人間が生身の身体でぶつかり合うところが一番の魅力だと思います。それに、ラグビーは1チーム15人ということで......おそらくボールを扱うフィールド競技で一番人数が多いスポーツだと思いますが、15人もいれば色んなポジションがあるので、例えば「個人競技だと活躍できない」という選手でも、ラグビーの"15人のなかのひとり"だったら活躍できる。ほかの14人がいることで、ひとりの能力を補うこともできるし、ひとりの能力を上げることができる競技なんですね。そこが面白いところだと思います。

──身体が大きい選手だけではない、というのも"15人のなかのひとり"だからこそ活きるのかもしれませんね。

そうですね。当然身体が大きいに越したことはないんですが、それでも小さい選手がいたり、足が速い選手がいたり、いろんなタイプの選手がいるのがラグビーの良さでもありますよね。

それに、チームスポーツではどうしても得点した選手がフィーチャーされがちですが、ラグビーはチームのために、メンバーのために、一人ひとりがプレーしている意識がとても強いスポーツなんです。結果的に目立つ選手もいるんですが、目立つ選手は「自分が目立てているのは、まわりの選手のおかげ」だと思っているし、みんながみんな、チームメイトのために身体を張れる。それがラグビーの魅力だと思います。hira3.jpg

「世界最高峰のラグビーを観るならWOWOW」が理想の姿

──現在、WOWOWでは「シックス・ネーションズ」以外にレギュラー放送として「フランスリーグ TOP14」を放送していますが、番組づくりで意識しているところはありますか?

日本では、サッカーでしたら海外リーグの試合を観る文化が根付いていますが、ラグビーにはそういったことがなかなかないものですから......お客様に馴染みがないリーグではありますよね。ただ、世界的に見ると、ラグビーのフランスリーグって世界中から有名な選手がたくさん集まっていて、個人的には世界一のリーグだと思っています。

ですから、フランスリーグに出場している選手のすごさをしっかりと伝えられるように、常に意識はしています。選手の紹介VTRを作ったり、ワンショットのスーパーにもそういった情報を入れたり。それから、今年は日本でラグビーワールドカップが行われるので、「このチームの15人のうち、半分ぐらいは代表選手なんですよ」といった情報も入れたりしています。top14.jpg

──先ほどもお話に出てきましたが、2月2日より開幕となる「シックス・ネーションズ」の見どころを教えてください。

繰り返しになりますが、「シックス・ネーションズ」は本当に昔からやっている、歴史と伝統のある大会なんです。1987年にワールドカップが始まるまでは、世界一を決めるような大会ってラグビーにはなかったんですが、そんな中でも最も格があると言われていたのは欧州NO.1を決める「シックス・ネーションズ」でしたから。

6カ国のうち、フランスとイタリアは少し後から入ってきたので事情が異なりますが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドは複雑な背景もあって......やっぱり「憎っくきイングランド」といいますか、その対立の図式はまさに"戦争"のようなものでもあるんですね。みんな「イングランドをぶっ潰してやる!」と思っているし、「どこにも負けられない!」と思っている。そういう意味でも、国の威信を背負った選手たちのぶつかり合いは見どころだと思います。

──あまりラグビーのことを知らない人が「シックス・ネーションズ」を観るとしたら、どのチームに注目するとよいでしょうか?

ワールドカップで日本と対戦することが決まっているアイルランドとスコットランド、この2チームの試合は観てほしいなと思います。それから、前回のワールドカップで日本代表を率いたエディー・ジョーンズさんが、今はイングランドのヘッドコーチをやっていますので、イングランドにも注目していただきたいですね。かつ、WOWOWでは「フランスリーグ TOP14」を放送しているので、フランスも(笑)......フランス代表のほとんどがTOP14の選手なので、普段TOP14を観て下さっている方はとくに楽しめるんじゃないかと思います。

──ずばり、平林さんの優勝予想は?

優勝候補筆頭はアイルランドです。アイルランドは去年の大会で優勝していますし、毎回、上位にくるチームです。しかも、現在の世界ランキングはニュージーランドに次ぐ2位なんです。特徴としては、無茶なことをやらない、できないことをやろうとしない、堅実なチームです。できることを"できない"チームが多い中で、できることを"しっかりできる"チームですから、ワールドカップで戦う日本も相当厳しいと思います。ireland.jpg

──自国開催のワールドカップで世界最高峰のラグビーに触れるチャンスがあるということで、とくに子供たちにはどのように観てほしいと思いますか?

ルールを理解できるようになるには結構時間がかかるスポーツだと思うので、もうルールはわからなくていいと思うんですよね(笑)。なので、最初にもお話ししたように、単純に選手たちのぶつかり合いを楽しんでいただければと思います。

やっぱりワールドカップに出場する国の選手たちって、身体がデカい選手が圧倒的に多いので、デカい選手同士のぶつかり合いや、デカい選手がものすごいスピードで走る姿とかっていう、パフォーマンスのすごさに加えて、そのなかで彼らにぶつかっていく、そこまで大きくない日本人選手の頑張りも注目して観てほしいですね。

──ワールドカップを観に世界中からファンもやって来ますし、期間中はにぎやかになりそうですね。

そうですね。日本ではそこまで注目されていないのかもしれませんが、ほかの国で開催する際は各会場がほぼ満員になるような大会なので、今回もおそらく外国人がワールドカップを観にたくさんやって来ると思います。そういった状況を目にして「なんか外国人がたくさん来てるけど、ラグビーワールドカップってすごいんだね」って興味を持っていただければいいなと思いますし、たまたまワールドカップを観た子どもたちが、「面白そうだからラグビーやってみたいな」って増えてくれたらいいなと思います。

──WOWOWとして、今後ラグビーの分野で広げていきたいことはありますか?

個人的には、現在扱っている「フランスリーグ TOP14」や「シックス・ネーションズ」のほかにも色々な試合を放送できるようになるといいなとは思いますが、そんなに簡単なことではありませんので。それでもやっぱり「海外の最高峰のラグビーを観るならWOWOWだよね」となっていけたら......というのが個人的な思いです。

──お仕事を続けていくなかで、やりがいや手応えを感じるのはどんなときでしょう?

仕事をやっていて「100点だったな」っていうことはないと僕は思っているんです。なにをやっても反省点や課題は残るものなので。ただ、そういう中でも数字として明確にみえる結果が出れば......ある程度の充実感は得られるのかもしれませんが、ラグビーはまだそこまで行っていないというのが正直なところです。ただ、やっぱり"自分が好きなスポーツに携われる幸せ"っていうのはありますね。

──最後に、お仕事をしていくなかで、こだわっているところやご自身の「偏愛」について教えてください。

僕らが世に出すものに対しては、僕らに責任があると思っているので、視聴者の数が多かろうが少なかろうが丁寧に作る。100万人だろうが、100人だろうが、差をつけることはない。それは「WOWOWだから」でもあるのかなと思います。地上波ほどの媒体力はないチャンネルですが、やっぱりWOWOWとして世に出すものは、丁寧に作っていきたいという思いが強いですね。

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取材・文/とみたまい 撮影/祭貴義道  制作/iD inc

■シックス・ネーションズ写真:ジョナサン・セクストン(IRL)、アラン・ウィン・ジョーンズ(WAL)、グレイグ・レイドロー(SCO)、マチュー・バスタロー(FRA)、セルジョ・パリッセ(ITA)Getty Images、オーウェン・ファレル(ENG)写真:アフロ

■エキサイトマッチ写真:(写真左より)ホルヘ・リナレス、マニー・パッキャオ、ゲンナディ・ゴロフキン、カネロ・アルバレス、ワシル・ロマチェンコ (C)NAOKI FUKUDA、アンソニー・ジョシュア 写真:ロイター/アフロ

■錦織選手写真:AP/アフロ

■TOP14写真:(左上から時計回り)モルガン・パラ、マチュー・バスタロー、リアム・ギル、リッチー・グレイ、ルイ・ピカモール、ジュリアン・デュモラ、レオネ・ナカラワ/Getty Images 

■アイルランド代表写真:ロイター/アフロ

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