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"芯を食った異端"の精神で時代の半歩先を進め! WOWOW Lab 映像担当が語る、眼福を提供するWOWOWクオリティ

技術企画部 篠田成彦

「技術的なことに関する“世話焼きおじさん”です」――。WOWOW Labにおける自身の役割をそんな言葉で説明するのは技術企画部の篠田成彦。WOWOW開局とほぼ時を同じくして入社し、長く技術畑を歩んできたが、近年は最先端の技術を駆使した番組の企画・プロデュースにも携わっており2018年にはドキュメンタリー「THE GREAT BELOW 世界最大の洞窟 ソンドン探検記」が「ルミエール・ジャパン・アワード 2018 UHD4K部門」にてグランプリに輝いたほか、連続ドラマW「コールドケース3 ~真実の扉~」「トッカイ~不良債権特別回収部~」などでも、彼の指南によって最新の技術が導入されている。

映像部門のスペシャリストとして、質の高い映像をお客さまに届けるべく日々探求を続けている篠田に、WOWOWが誇る最先端の映像技術についてたっぷりと話を聞いた。

2013年サザン茅ヶ崎公演でドローンによる空撮を敢行! 『トッカイ』のあのシーンでもドローンが

――まずは篠田さんが入社してからこれまでの歩みについてお聞かせください。

入社は1990年です。当時のWOWOWはJSB(日本衛星放送)といいまして、民放各局やNHK、JAXA(宇宙航空研究開発機構 ※当時はNASDA/宇宙開発事業団)といったところから技術者が出向してきた寄り合い所帯だったんですが、私は技術職の新卒の2期生で、そんな経験豊かな先輩方の薫陶を受けつつ、日本初の民間衛星放送会社の開局に携わらせてもらいました。

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入社後はマスター(放送の送り出し業務)を7年ほどやり、その後は制作技術部に18年ほど在籍し、ビデオエンジニア(VE)と呼ばれる仕事をしてきました。VEというのは説明のしにくい仕事ですが、スポーツや音楽ライブの中継に行くと、数十台のカメラが現場に出て、大きな中継車の中には壁一面にそれらのカメラ映像を映し出すモニターがあります。その前には切り替えボタンだらけのパネルがあり、スイッチャーと呼ばれる技術責任者は多くのカメラを同時に見ながらピアノを弾くがごとく映像を切り替えて紡いでいくわけです。もちろん出先には数十人のカメラマンが一生懸命いい画を撮ろうと頑張っています。そんな技術スタッフたちが気持ちよく仕事できるように現場を整えるのがVEの仕事です。

ミュージシャンやアスリートがスポットライトを浴びる仕事だとすると、スイッチャーやカメラマンは彼らにスポットライトを当てる仕事です。VEはさらにその後ろで、スポットライトの電球を交換したり整備する、裏方の中の裏方の仕事ですね。これまでにテニスや(当時WOWOWで中継していた)セリエAや総合格闘技のリングス、それからサザンオールスターズのライブなどの音楽中継にも関わってきました。

<ドローン技術の導入>

――その後、技術企画部に異動となり、現在のWOWOW Labで担当されているような、最先端の技術を駆使しての映像制作に携わられてきたそうですね? 具体的な取り組みについて教えてください。

まず、制作技術部にいた頃にまいた種が、時間をかけて実になったという事例がありまして、それはドローンを使っての撮影です。

制作技術部時代のVEの仕事の一つに、映像を現場から電波に乗せて飛ばすという仕事があり、FPU (Field Pickup Unit)という無線の伝送装置を使います。WOWOWではよくライブ中継で客席が盛り上がっている様子を映すときに、客席の中からお客さんを背中越しに撮った映像を流しますが、その時、コードがあると足を引っかけてしまうので、このFPUという無線の伝送装置を使います。これがすごく大きくて重い機材なんですが、これをドローンに乗せて空中に飛ばしたら、空中からの映像を生中継できるんじゃないかと考えました。

実際にそれをやったのが、2013年のサザンオールスターズの茅ヶ崎公演で、茅ヶ崎海岸からライブ会場の茅ヶ崎公園野球場までドローンを飛ばすというのを私が担当しました。もちろん日本初です。当時はまだドローンという呼び名ではなく "マルチコプター"と呼んでいたのですが、それがきっかけでドローンの会社さんともつながりができました。その後、翌年の氣志團万博2014やGLAY EXPO 2014 TOHOKUでも同様にドローンを飛ばして空撮を行いました。2015年にドローンが首相官邸に落下する事故が起こってからは、規制が非常に厳しくなってしまいましたが...。

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――あの事件でドローンの存在が世間に一気に認知されましたが、それよりもずっと前の段階から、実際の中継でドローンを駆使した映像を撮影し使用されていたのですね。

いま、私たちがこれまでの経験や知見を活かしつつ、WOWOWのクオリティを守るために、やっているのは、地上で使っている画質のいい大きなカメラをドローンに乗せて撮影を行なうということです。

いまでは中国のDJI社などの小型のドローンで比較的簡単に良い画が撮れるようになりましたが、それでも映像で見ると「あぁ、これはドローンで撮った画だな」と見ている人にはわかると思います。それは空中で撮影されているからということではなく、ちょっとだけ画質が落ちるからなんです。

当然ですが普段、地上で使ってない小型のカメラを使用するということは、それだけ画質も落ちるということで、画質を落とさずに空撮をしようと思ったら、大型カメラをドローンで飛ばすしかありません。

「連続ドラマW トッカイ ~不良債権特別回収部~」の第1話の仲村トオルさんが出ている京都のお寺のシーンで、空中からスーッと降りてくる映像があったかと思いますが、あのシーンは私が担当しています。先ほど話に出たDJIの小型のドローンでもそれなりの画にはなりますが、監督とプロデューサーから「どうしても、地上と同じカメラを使いたい」とリクエストがありまして...。そんな要望を出す方も、対応しちゃうこっちも相当な"変態"だなと思います(笑)。

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京都のお寺で万が一、ドローンが落ちたら貴重な文化財にダメージを与えてしまうリスクもありましたが、「やりたい」という要望がある以上なんとか叶えてあげたいですし、これまでの実績もありましたので、安全面と法令順守、そして保険の体制も十分に整えつつどうにか実現させました。ちなみにこのシーンですが、よく見ると向かいに立つ和尚さんの袈裟の裾がパタパタとドローンの風で揺れています。オンデマンドでもまだ配信されていますので、気付いた方もいるかもしれません。

シーズンを追うごとに進化する『コールドケース』エンディングの横浜夜景

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「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~」

<ヘリコプターによる空撮>

――2013年から培ってきた実績、つながりが現在も活かされているのですね。

そうしたつながりや知見が活きたもう一つの事例がヘリコプターによる空撮です。先ほどのドローンでの撮影準備を前年からやったことで、空撮の楽しみを覚えてしまい・・・。ただ、WOWOWは報道部門がないので、ヘリコプターがありません。ヘリコプターで空撮した映像を伝送するということをやってみたいなと思っていたところ、2012年冬のWOWOWのイベント番組でライトアップされた東京タワーを生中継するという機会があり展望台に受信アンテナを置いてやってみたんですが、そこでヘリコプターの業者さんとも仲良くなりまして。

それが活かされているのが『コールドケース』のエンディングで流れる横浜の夜景です。このシーンに関しては、カメラの技術の進歩も大きく関わっています。そもそも夜景というのは撮影の条件としては非常に厳しくて、そういう意味で2016年から約2年おきに放送されてきた『コールドケース』のエンディング映像は技術的な部分での"実験場"とも言えます。

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非常にマニアックな見方ですが、2016年のシーズン1、2018年のシーズン2、2020年12月から放送が始まったシーズン3とエンディングの映像を見比べていただくと、どんどんキレイになっていくのがわかると思います。

シーズン1の時点でも「RED」という6Kのカメラを使用していましたが、シーズン2では8Kカメラを、さらにシーズン3では8Kフルサイズのカメラを使用しています。センサーの大きさが普通のテレビカメラの15倍(1500%)もあり、その分、多くの光を取り込むことができるので、暗い中でも明るい映像を撮影することが可能になりました。

ちなみにシーズン1の頃は、夜景を真上から撮影することはできなかったんですが、いまは真上から撮影するための機材をヘリコプターに装着できるようになり、みなとみらい地区の観覧車やランドマークタワーを真上から見た画も撮ることができます。これまでの経験、知見、人脈を活かしつつ、技術の進歩に合わせて、画もまたどんどん進化を遂げています。

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<4KHDRの普及>

――画質の話が出ましたが、篠田さんはWOWOW社内外で「4Kとは何か?」「HDR制作にはどんな意味や価値があるのか?」といった啓蒙活動を行なわれているそうですね?

わかりやすく言えば、現在は軽自動車でも高速道路を時速100キロで走行することが可能ですが、軽自動車と大型車では、同じ時速100キロでも、車内での体感スピードというか乗り味は全然違ってきますよね。同じことが画質にも言えて、いまどきスマホでも4Kで撮影することはできますが、やはり最終的に上がってくる映像の質が違ってきてしまいます。

これは以前、先輩社員から言われたことなのですが「WOWOWのお客さまは目が肥えていらっしゃるんだ」と。近所の一般的なスーパーではなく、「ちょっと高めだけど、ここでしか手に入らないものがある」といった成城石井のような存在として、おいしいものを提供し続けないと生き残れない――。そのためには急成長している他の動画配信サービスなどに比べたら予算は限られるかもしれないけど、伍していくための努力を怠ってはいけないと思います。私は"眼福"という言い方をしていますが"眼のご馳走"という意味です。目の肥えたお客様に常に眼福を提供することを突き詰めていかなくてはいけないと思っています。

そういう想いもあって、4K普及のための活動をしていまして、まずは社内から、ドラマ制作部など、いろんな人たちに「4Kとは何ぞや?」「解像度が上がるとどんなメリットがあるのか?」「HDRで何が変わるの?」といったことをお話しています。

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正直、プロデューサーの立場からしたら「なんか"4K"とかいう余計なものがきちゃったな。HDで十分じゃない?」と思うかもしれないです(笑)。機材は高いし、重いし、おまけに編集するにもデータが大きいので時間を食うし...。4Kをやる必要ってあるの? と思われているかもしれません。

ただ、この流れを私は過去にも経験していまして、それは1990年代のSD(標準解像度)からHD(フルハイビジョン)へ転換された時のことですが、その過程で全く同じ議論がなされていたんです。時代は巡るわけです。その経験を踏まえて言えるのは、その流れがしっかりと芯を食っているなら、遅かれ早かれ、必ずその流れに傾いていくことになります。なぜならそれは時代が求める必然だから。

だからこそ、その流れを少しだけ先取りして、時代の半歩先を歩いていく形でやっていくことが、有料衛星放送のWOWOWの役割なのではないかと思います。

技術者の自己満足で終わらずビジネスにつなげていくことの重要性

――WOWOWメンバーズオンデマンドのリニューアル(=WOWOWオンデマンドのスタート)もありましたが、視聴者がコンテンツを見るデバイスが多様化し、スマホなどでコンテンツを楽しむ人がより増えていくかと思います。こうした小さな画面でも映像のクオリティの差は出てくるのですか?

クオリティの差は如実に表われると思います。直観的な言い方になってしまいますが、高画質のカメラで撮影されていたものを小さな画面で見るとギュっと詰まった画になるので、HDで撮影された映像とは、実際明らかな差がありますね。

ただ、そこに"価値"を感じるかどうかというのはまた別の議論ですね。つまり、オーバースペックにならないように、技術面だけでなくビジネス面においても芯を食った方向に持っていくというのも放送局の技術者の大切な仕事だと思っています。

芯を食っていなければ、高い技術も技術者の独りよがり、ただの自己満足になってしまいます。私は「芯を食った"異端"」という言い方をしていて、また自動車で例えるとするなら、トヨタやホンダ、日産ではなく、スバルやマツダのような存在。フルラインナップの大手と比べて、規模は小さめかもしれないけど、光るものがある――お客さまが「私はこれが好き」と言ってくださるような存在。WOWOWはそういう存在なんじゃないかと思います。そうあるためには、WOWOWはお客さまを裏切ってはいけないし、失望させてはいけないんです。ごく普通のスーパーと同じ商品を並べるだけなら、WOWOWがWOWOWである意味がないと思います。

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社内の番組企画募集への応募で実現したドキュメンタリー『BLUE HORIZON』

――ここまでお話しいただいたドラマへの技術面での参加に加えて、アニメコンテンツに関して、技術的な面でのアドバイスもされているそうですね?

<アニメの4Kリマスター>

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「あしたのジョー」

アニメに関しては3月から「あしたのジョー」の4Kリマスター版が放送されています。現存していた35ミリのフィルムを4K化したのですが、最終的なカラーグレーディングなどに関して、WOWOWが判断を下すので、そのための助言をさせてもらいました。今回に関しては優秀なポスプロさんに間違いのない仕事をしていただいたんですが、必要であれば時に苦言を呈すこともありますし、「こうしてはどうでしょうか?」と助言させていただくのも私の仕事です。

――さらに、ドキュメンタリー番組に関しては、ご自身が企画・プロデューサーをも務められています。どのような経緯で携わることになったんでしょうか?

2015年ごろのことですが、WOWOW社内でドキュメンタリーを含め、番組制作の企画募集がありまして、聞いてみたら技術職の人間も応募してもいいということだったので、出してみたら企画が通ったんです。

先ほども話しましたように、技術職として仕事をする中で、多くの出会いがあります。その中の一つがソニーPCLさんという会社で、そこに越野創太というなかなか変わった男がいまして(笑)。

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越野創太氏

彼が温めつつも、なかなか社内で通らないという企画をWOWOWでの企画募集で応募して作らせてもらいました。それが、ジェット戦闘機に搭載した4Kカメラで、音速突破の瞬間や成層圏から見た地球の様子を撮影した「BLUE HORIZON 成層圏から見た地球」です。最新技術や機材の実地検証という趣旨に賛同いただき、ソニーさんの全面的な協力も得たからこそできた案件です。

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「BLUE HORIZON 成層圏から見た地球」
(ルミエール・ジャパン・アワード 2017 UHD部門 特別賞受賞)

この作品が思いがけず賞をいただき評価されたことで、2本目は世界最大と言われるソンドン洞窟を撮影した「THE GREAT BELOW 世界最大の洞窟 ソンドン探検記」を作り、権威ある技術賞のグランプリまでいただきました。そして満を持した3本目はバヌアツの火山を撮りに行くことができました。これらの作品は全てメーカーさんの最新機材の性能評価も兼ねており、Inter BEE という日本最大の映像機器展示会でソニーさんブースの大型LEDで上映し、多くの放送・映画関係者に見ていただいています。

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「THE GREAT BELOW 世界最大の洞窟 ソンドン探検記」
(ルミエール・ジャパン・アワード 2018 UHD4Kカテゴリ グランプリ受賞)

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「VERMILION 赤く輝く神の山"ヤスール"」

ここでもやはり伝えたいのは、ビジネスとしてつなげていくということの大切さです。WOWOWとの関連で言いますと、「WHO I AM HOUSE Powered by TOKYO GAS」が豊洲に造られましたが、ここで展示される大型スクリーンに関して、どこかいいところはないか? という相談を受けまして「それならソニーPCLさん提案の大型LEDがいいのでは?」とつなげさせてもらいました。技術ベースで入りつつ、ビジネスにつなげていく――技術的に「正しい」からそれでないと絶対にダメなんだという考え方ではない俯瞰の視点が必要なんです。

プロダクトアウトの発想だけでは原理主義に陥ってしまいます。マーケットインの発想、市場が何を求めているのか? がわからなければ自己満足で終わってしまいます。

こういう視点を持つようになったのは、やはり自分がドキュメンタリーの制作を通してプロデューサー的なことをやらせてもらったからだと思います。もちろん自分がやったのは"なんちゃって"プロデューサーなんですけど(笑)、それでも「プロデューサーって、番組を作るって、こんなに大変なのか!」と感じましたし、だからこそ「これだけのお金と時間をかけてこの企画をやる意味はあったのか?」ということを考えさせられ、プロデューサーの視点というのを教えられました。こんな50過ぎたおじさんが通常の番組作りとは全く違うルートで突然、プロデューサーみたいなことを経験させてもらえるんだから、WOWOWって面白い会社ですよ(笑)。

<カメラマン山田康介氏によるフィラー制作の支援>

もう一つ、最新の事例として紹介するのが、山田康介さんという素晴らしいカメラマンとの新しい仕事です。先述の『コールドケース』シリーズをはじめ、「坂の途中の家」「そして、生きる」等々ずっとお付き合いがありまして、この方の新しい技術への探求心、テクニカルな部分でのレベルの高さ、そして作品への愛に応えたいなと思っていました。

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ALEXA 65と山田康介氏

もうひとり、これまで一緒に仕事をしてきたWOWOWのドラマプロデューサーの中で、岡野真紀子という非常に活きのいい女性プロデューサーがいて、『コールドケース』をはじめ、作品ごとに彼女もさまざまな新しい技術チャレンジに興味を持っていて、それに合わせて「こんな撮り方もできるよ」「こんな編集の仕方もありますよ」、「HDRというものがあって...」と提案させてもらいながら二人三脚でやってきました。その彼女が「がんばれ!TEAM NACS」というTEAM NACSが出演する番組を山田さんをメインカメラマンに迎えて作りました。

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「がんばれ!TEAM NACS」

その流れの中で、このドラマのメイン撮影が北海道になると聞き、ドラマと連動する形で北海道で4Kフィラーを撮っていただいたらどうか、いう話になりました。このフィラーというのは4K放送の間に挟む短い番組のことで、何度も流されるので、多くの人の目に触れることになります。厳冬期の北海道での撮影という点に関しても、彼は『八甲田山』や『劔岳 点の記』で有名な日本映画界の至宝である木村大作さん直系の方であり、山岳撮影の第一人者でもある。それならば、最高の機材を持ってこようということで、ドイツから「ALEXA 65」というカメラを取り寄せました。

これは『ジョーカー』や『パラサイト 半地下の家族』などでも使われたカメラなんですが、日本ではまだ誰も使ってないものなので、初登頂の"旗"を立ててやろうと。岡野プロデューサーに相談したところ、北海道で番組と一緒に撮影すればコストも安価になり効率よく撮れるのでは、という話もあり、みんなで話し合った結果それならやってみようということになりました。

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「4K HEALING 41°-45°north latitude」

ここでもやっぱり、山田さんとの信頼関係を前提にしつつ、大切なのは「芯を食ってるかどうか」ということです。それをWOWOWがやることに果たして意味はあるのか? 社内でもさまざまな議論はありましたが、各所にご理解いただき無事に企画は実現。圧倒的に素晴らしいコンテンツが出来上がりました。

こういう流れを踏まえても、やっぱり私は「技術的なことに関する世話焼きおじさん」なんだと思います(笑)。

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ちなみに本日持ち込んでいるこちらは、SONYのVENICEカメラとZEISSのSupreme Primeレンズで、この最強の組み合わせから『坂の途中の家』『そして、生きる』『蝶の力学』そして最新作の『あんのリリック』が紡ぎ出されました。

WOWOW Labで技術を"ちょい足し"して番組をよりリッチに!

――今後、WOWOW Labで実現したいこと、新たな技術を駆使して挑戦してみたいことはありますか?

WOWOWと新しいクリエイターをつなげて、どんな新しいコンテンツを生み出せるのか? プロデューサー陣の耳元で「ここはこんな技術があって、ここと一緒に仕事すればこんな化学反応が起こるよ」ということをどんどんささやいていきたいですね。

VRであったり、新しい武器や⾶び道具を探っていくのはすごく⼤事だし、その⼀⽅でWOWOWにおけるど真ん中であるドラマやスポーツコンテンツのクオリティを磨き上げていくことは同じくらい⼤事なことだと思います。コロナ禍で制作環境的に大変な時期でもあり、今私たちは下りエスカレーターに乗っていると思っています。下る流れにあらがって上るイメージで、世間で起こっていることをしっかりとリサーチしキャッチアップしつつ現場にフィードバックをして、やっとギリギリ遅れずにそのスピードに追いつき踏みとどまれる感じでしょう。その場所からさらに頑張って登って、ようやく時代の半歩前に⾏けるものだと確信しています。

今や世界的な潮流として、映像技術を抜きにして魅力的なコンテンツを創り出す事は難しくなっています。そんな中、万一そこで頑張るだけの余裕が予算的にも時間的にも不⼗分であるなら、"ちょい⾜しグルメ"のような感じで、我々がさまざまな現場で技術⾯のサポートすることでクオリティを上乗せさせることができたらいいなと思います。それで出来上がった番組が少しでもリッチになるのであれば、お客さまのためにもWOWOWのためにも幸せなことだと思うので。そして特に若い⼈たちには、映像を支える最後の砦としてWOWOWクオリティを守る矜持も引き継いでいければと思います。

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撮影/曽我美芽



■番組情報
※下記ページにて放送スケジュールおよびWOWOWオンデマンドでの配信についてご確認いただけます。

・「あしたのジョー」 
・「連続ドラマW トッカイ ~不良債権特別回収部~
・「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~
・「連続ドラマW 坂の途中の家
・「連続ドラマW そして、生きる
・「連続ドラマW 蝶の力学 殺人分析班
・「ドラマWスペシャル あんのリリック -桜木杏、俳句はじめてみました-
・「BLUE HORIZON 成層圏から見た地球
・「THE GREAT BELOW 世界最大の洞窟 ソンドン探検記」
・「VERMILION 赤く輝く神の山"ヤスール"」
・「WOWOW開局30周年記念 WOWOWオリジナル『がんばれ!TEAM NACS』」
・「4K HEALING 41°-45°north latitude

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