11月5日(木)、定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。
出席者:田中晃社長、黒水則顯副社長、山崎一郎専務、田代秀樹常務、大塚治夫執行役員、
青木泰憲エグゼクティブ・プロデューサー、片桐大輔チーフプロデューサー、岡野真紀子プロデューサー
1. ご挨拶(田中社長)
本日はお忙しい中、弊社定例会見にお越し頂きありがとうございます。
新型コロナウィルス感染者数も、再度世界的な広がりを見せています。その様な中、WOWOWで働く従業員も感染し、陽性が確認されました。立ち入った場所は消毒を済ませ、接触があったと思われる従業員は全員出社を控えさせております。本日の会見は、検温、各所の消毒等、いつもに増して万全の体制で行っておりますのでご安心ください。
さて、先日の日曜日、11月1日、ボクシングの井上尚弥選手の世界タイトルマッチを生中継した。素晴らしい試合を伝えられたことを嬉しく思う。この試合はラスベガスで無観客の中で開催された。このタイトルマッチに限らず、国内でも、プロ野球、Jリーグ、Bリーグが観客を増やしながら試合を継続している。今週末には体操の国際大会が開催される。海外から選手も来日している。一方で、Jリーグルヴァンカップの決勝が延期されるなど、新型コロナウィルスの収束が見えない中、国内外の大会関係者が、出来る限りの対策を講じて、様々な工夫をして、スポーツイベントを開催していることに深く敬意を表したい。同時に、このような閉塞した状況だからこそ行われるエンターテインメントの力と、その価値を伝えるメディアの役割を痛感している。
2. 加入分析(山崎専務)
10月の加入実績は、 新規加入43,139件、解約51,412件となり、8,273件の純減。累計正味加入件数は2,779,233件となっている。
上期はコロナの影響もあり加入が伸びず苦戦をしていたが、8月以降はライブコンテンツの再開と共にお客様が戻り、特に9月は、テニスやLPGAゴルフなど続々と再開したスポーツコンテンツにより加入を大きく伸ばした。また、音楽ライブも「X JAPAN」や先行配信を行った「気志團万博」など、大型ライブをお届けすることができ、9月の正味は約17,000件の大幅増となった。
10月も音楽ライブ、スポーツコンテンツ、特に11月1日に開催されたボクシング井上尚弥選手の生中継が大変多くの反響を呼び新規加入に貢献したが、正味については、8、9月での加入者数増の反動もあり解約が増え、 8,273件の純減で着地している。
3.今後の編成トピックス(田代常務)
① 「パラサイト 半地下の家族」 11月7日(土)夜9:00
今年のアカデミー賞で旋風を起こした映画「パラサイト 半地下の家族」を今週末、独占初放送する。ポン・ジュノ監督の代表作も合わせて一挙に放送する。そして、監督のこだわりで製作されたモノクロ版も合わせて初放送する。ポン・ジュノ監督は黒澤明監督など古典映画の監督を敬愛しておりモノクロ版を制作することが長年の夢だったとのこと。ぜひモノクロ版もご期待頂きたい。
② LPGA女子ゴルフツアー2020「畑岡・渋野 出場! メジャー 全米女子オープン」 12月10日(木)~13日(日)
畑岡奈紗選手、渋野日向子選手、河本結選手ら日本勢が、異例の12月開催となる「全米女子オープン」に挑む。10月に行われた全米女子プロ選手権で猛チャージの末3位となり調子をあげている畑岡奈紗選手、また渋野日向子選手がメジャー最終戦でどういった闘いをみせるのかお楽しみいただきたい。
③ 「開局30周年WOWOWテニスフェスティバル2020」 12月5日(土)午後1:00 無料放送、無料ライブ配信
錦織選手他、西岡選手、国枝選手等々日本のトップ選手が集結し、エキシビジョンマッチやトークセッションなど行うWOWOWならではのオリジナルイベント。テニスを見たいという視聴者に、エンターテインメントを届けたいWOWOWが今回イベントを開催し、無料放送する。詳細は後日発表する。
4. 開局30周年番組の紹介(田中社長、ドラマ制作部 青木 泰憲エグゼクティブ・プロデューサー、制作部 片桐 大輔チーフプロデューサー、ドラマ制作部 岡野 真紀子プロデューサー)
田中社長)WOWOWは30年前、1990年の12月1日、無料のサービス放送をスタートした。そして翌年1991年4月1日に営業放送を開始した。この4月1日を開局記念日としており、2021年4月1日に30周年を迎える。加入者への感謝とともに12月より開局記念企画を続々と放送していく。その企画の中から3人のプロデューサーよりドラマとアニメを紹介する。
■ドラマ制作部 岡野 真紀子プロデューサー
田中社長)1人目は先週「2020年 五⽉の恋」で東京ドラマアウォード2020 単発ドラマ部⾨ 優秀賞を受賞した岡野プロデューサーである。
岡野プロデューサー)「2020年 五⽉の恋」はコロナ禍ですべての撮影がストップする中何かできないかと吉田羊さんと話している中で生まれたリモートドラマ作品。リモート作品がこういった賞を受賞するのは珍しいと聞いている。そしてリモート撮影だったため一度もキャストや監督と会ったことがなかったが、授賞式で初めて会えたというのが非常に感慨深く幸せな時間だった。
【WOWOW開局30周年記念 連続ドラマW コールドケース3 〜真実の扉〜】
12月5日(土)放送スタート(全10話)[第1話無料放送]毎週土曜よる10:00
アメリカの大ヒットクライムサスペンスシリーズの日本版で2016年にシーズン1を、2018年にシーズン2を放送し、大好評を頂いたことを受け、この度シーズン3を制作した。
今回のシリーズは、一言で言うならば、"成熟"。同じスタッフ・キャストで制作しているため、シナリオも演出も芝居もゲストも全てがパワーアップし、成熟した作品になっている。
技術面ではシーズン1は全編4K HDR制作、シーズン2では全編8K収録、今回全編8Kフルサイズ収録という、最新技術を全て投入。さらに、35ミリの白黒フィルムをアメリカから取り寄せるなど、コールドの魅力でもある過去と現代の時代感を大切にしている。
2月に撮影を開始し、まさにコロナの最中での撮影作品だった。3月下旬から6月まで撮影をストップし、スタッフ・キャストも不安な中、エンターテインメントを作ることの意義を話し合いながら、外出自粛明けに撮影を再開。撮影が出来ること、物づくりができることに感謝をしながら丁寧に作った作品であり、そのことは映像からも伝わると思う。
捜査一課の撮影場所がコロナ禍で借りられなくなったが、「会社(WOWOW)を捜査一課にしよう」と上司が言ってくれ、WOWOWの社内フロアを捜査一課につくりかえ、社内をスタジオにして撮影した。全社で応援して作り上げた作品と言える。
コロナ禍でさらに団結力が深まり、本物のエンターテインメントが出来上がったと自負している。
【WOWOW開局30周年記念 連続ドラマW トッカイ ~不良債権特別回収部~】
2021年1月、放送スタート(全12話)[第1話無料放送]
ノンフィクション作家清武英利の社会派ノンフィクションの映像化第三弾。2015年の第一作目は「しんがり 〜山一証券最後の聖戦〜」で山一証券の破綻の裏で最後まで会社に残り、原因追及を続けた社員たちを描いた。2017年の第二作目は「石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜」で外務省機密費詐取事件をテーマに二課刑事の葛藤を描いた。
そして本作・第三弾「トッカイ」は住専問題を描いている。1996年、政府は、住専破綻に伴う不良債権処理のため、税金6850億円を投入した。元住専社員や、出向を命じられた銀行マンたちが、国民の税金を守るため、悪質債務者たちから6兆以上のお金を取り返そうと回収劇を繰り広げる。本作は、バブルから崩壊、そして現代に至るまでの金融大河ドラマでもあり、コロナ禍で日本経済が不安定な今だからこそ、振り返るべきテーマであると考えている。
主演の伊藤英明さん、そして若松節朗監督率いるスタッフと共に、現在も絶賛撮影中である。
■青木 泰憲 エグゼクティブ・プロデューサー
【WOWOW開局30周年記念 連続ドラマW「華麗なる一族」】2021年4月放送予定
2016年、開局25周年に「沈まぬ太陽」を制作し、全20話というWOWOW史上、最も長いドラマとなり、加入者の方からも多くの支持を得ることが出来た。とても苦労した作品だっただけに、やりがいも大きく、今でも鮮明に記憶に残っている。それからしばらくして、開局30周年のことを考えたときに、また山崎作品に挑戦したいという想いが沸いてきて、今回制作の運びとなった。
山崎さんの作品は全てが名作と言っても過言ではない。その中でも「華麗なる一族」に惹かれたのは、銀行を舞台にした企業ドラマであると同時に、家族を軸にしたドラマだったからである。WOWOWでは視聴者の好みに合わせて、事件捜査のドラマを数多く制作している。私も、「マークスの山」、「レディジョーカー」、「震える牛」など、数多く制作してきたが、家族を軸にしたドラマは制作したことがなかった。今回、この原作の持つ圧倒的なパワーを借りて、「華麗なる一族」を成功させ、WOWOWとしても私自身としてもジャンルの幅を広げていきたいと思っている。
原作は1960年代後半の日本を舞台に、万俵家の繁栄と崩壊を描いた作品である。50年前に書かれた作品だが、そこに描かれた政財界を巻き込む企業間闘争、人間の欲望と欲望のぶつかり合い、家族の愛憎渦巻く壮大なストーリーは、時代を超えて人々の心を打つ普遍性を持った作品である。主演は、先日、紫綬褒章を受章された、日本を代表する俳優の中井貴一さん、脚本は「沈まぬ太陽」でご一緒した前川洋一さん、監督は「劇場版コードブルー ドクターヘリ緊急救命」の西浦正記さんと、日本テレビドラマ界のトップクリエイターが集結した。
また今回特に力を入れてるのが美術、衣装、キャスティングである。「華麗なる一族」というタイトルが示す通り、衣装、美術、キャストは、最高のものでなければ、視聴者が納得しないだろうと思っていたので2年ほど前から準備をしてきた。衣装は日本映画界を代表する宮本まさ江さん、美術・撮影は「沈まぬ太陽」と同じチームが参加してくれている。主演の中井さんからも、セットに入ったら役作りができてしまうと感謝されるほど、しっかりとした美術になっている。これから続々と豪華なキャストを発表していくので、ご期待頂きたい。
■制作部 片桐 大輔チーフプロデューサー
これまでもWOWOWは「ブレンパワード」「松本零士「オズマ」」などといったアニメ作品を贈り届けてきた。今回30周年という記念の年を迎えるにあたり、アニメ作品でもオリジナルの大型番組を作ろうと4年ほど前から準備を続けてきた。本日2企画をご紹介させて頂く。
【WOWOW オリジナルアニメWOWOW開局30周年記念 「神山健治監督書き下ろしによる新作長編アニメ」】
2022年放送予定
数々のヒット作を贈りだし、日本だけではなく、海外でも非常に注目を集めている神山健治監督による書き下ろしの長編アニメ-ションで一作品単発の企画である。
神山監督はご存じの方も多いかと思うが「攻殻機動隊SAC」や「東のエデン」シリーズなど数々のヒット作を生み出すなど大活躍されている監督。アニメーションの制作は、岩井俊二監督の長編アニメ映画『花とアリス殺人事件』を制作しているクラフターさんである。この企画については現在神山監督が脚本を執筆中につきタイトルも含め詳細は言えないが、素敵なエンターテイメント作品が生まれると思っている。ご期待頂きたい。
【日向理恵子による長編ファンタジー小説「火狩りの王」WOWOWのオリジナル企画としてアニメ化】
放送が先の作品となり30周年番組ではないが、WOWOWでは初となる完全に100%WOWOWが制作費を用意し取り組む大型のアニメ企画。こちらはシリーズとなっている。この「火狩りの王」は日向理恵子氏の長編ファンタジー小説「火狩りの王」を原作としたアニメーション企画で、人類の最終戦争後の混沌とした厳しい環境の中で懸命に生きる子供たちが主人公の作品である。独創性がありスケール感のある物語の中で家族の絆や生きていく事の大切さが丁寧に描かれている作品である。
アニメーション制作は、神山監督の映画「ひるね姫~知らないワタシの物語」などを手がけるシグナル・エムディさんが担当する。詳細は、後日お伝えしたい。WOWOWオリジナルアニメは優れた多くのクリエイターの方々と一緒に広くたくさんの皆様に楽しんで頂ける作品をお届けしていきたいと考えている。
5.新サービスについて(田中社長)
30周年を機に新しいサービスも提供する。
【WOWOWオンデマンド】
開局以来30年間、WOWOWに加入するには、BCASなどのCAS番号を登録し、BS放送の視聴確認をすることが必要だった。ネット全盛のこの時代に、お客様にとってはハードルの高い入り口だった。
来年1月13日にローンチする「WOWOWオンデマンド」は、CAS番号の登録をしなくても、他の多くの配信サービスと同じように、WEB・IDを取得するだけでWOWOWに加入できる。WOWOWへの入り口をWEB単体にも用意し、ご加入の利便性を高めた。勿論、その後にCAS番号を登録すれば、今と同じようにテレビ放送でも楽しめる。
これで、WOWOWのサービスは、放送と配信の垣根がなくなる。テレビがあってもなくても、衛星アンテナがあってもなくても、放送でも、配信でも、テレビでも、スマホでも、家でも、外出先でも、すべてのサービスを、現在と変わらない統一料金で、お客様に提供できることになる。コンテンツも、放送同時配信、見逃し視聴、ライブラリコンテンツ、オンデマンド専用コンテンツなど、充実させていく。
【「電波少年W」】
この企画は、放送・配信だけでは成立しない。コミュニティが番組を作っていく、新しいスタイルのコンテンツである。一般視聴者と一緒に「アポなし突撃リポート」をする企画ではなく、視聴者と一緒に、日本のテレビの歴史を振りかえるというもので、あのT部長、土屋プロデューサーのことであるから、何が起きるか楽しみでもあり、心配でもある。
WOWOWの番組はこれまで、観る「視聴」だけのサービスだったが、これからは、「視聴」に加えて、「参加・体験・応援」型の会員コミュニティ創りを目指す。様々なコンテンツを通じて、お客様同士、お客様と制作者、お客様と出演者やアスリートが繋がり、生活がより楽しくなる、そんなコミュニティをつくりたい。
【4K放送】
配信だけでなく、テレビ放送の高度化にもエネルギーを注いでいく。放送開始は3月1日、チャンネル名は「WOWOW4k」、追加料金なく、会員の皆様にご視聴いただける。主な4Kコンテンツは、オリジナルドラマと、海外のトップスポーツと、映画である。
「ドラマW」は、今年の4月以降の作品はすべて4Kで制作している。スポーツは4Kで制作されている「ラ・リーガ」(スペインリーグ)の主要な試合、来年6月に延期になったサッカーの「ヨーロッパ選手権」も4k放送を予定している。テニスのメジャー大会も、「ウィンブルドンテニス」を始めとして、4Kでの制作が続々と増えている。映画もアカデミー賞受賞作品「パラサイト 半地下の家族」を始め、注目作品の4k版をお届けする。その他、音楽ライブ、ドキュメンタリーなど、幅広く4K作品の調達、オリジナル制作に取り組んでいく。
【大型企画:水滸伝】
30周年を機に、大型企画、北方謙三さんの「水滸伝」のドラマ化に着手する。シリーズ累計発行部数1000万部突破の大人気作品であり、「水滸伝」だけで19巻の大作、舞台は中国・梁山泊、登場人物は多数である。現在、集英社さんと詰めの作業に入っており、また改めて発表の場を設けさせていただく。
6.最後に(田中社長)
本日は盛りだくさんの内容でお届けした。まずは、30周年記念企画のドラマとアニメにご期待いただき、ご取材いただきたい。30周年を機に取り組むさまざまなチャレンジの詳細については、12月に発表会を開催する予定である。本日はご参加いただき、感謝申し上げる。