9月7日(木)に定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。
出席者:田中晃社長執行役員、山本均副社長執行役員、井原多美専務執行役員、田代秀樹専務執行役員、横山誠一執行役員
ドラマ制作部 村松亜樹プロデューサー、小髙史織プロデューサー、映画部 企画ラインナップ統括 松永綾
7月の定例会見でご説明した個人情報漏えいに関して、その後の報告をする。
個人情報漏えいの可能性がある4万4,144人のお客さまに個別で対応させていただいた中で、二重請求が発生してしまう恐れがありながら、連絡が取れないお客さまの数は8月末時点で106人だった。この106人のお客さまについて、8月分の視聴料が誤って請求される可能性を抑えることを優先するため、こちら側で解約手続きを行なう判断をした。WOWOWを突然見られなくなり誠に申し訳ないが、106人のお客さまに関しては、お客さまからのカスタマーセンターへのご連絡あるいは手続きを待って、視聴契約の再開手続きをさせていただく。
この場を借りて、ご迷惑をおかけしたお客さまに改めておわび申し上げたい。
なお、現在、システム上の問題はなく、アクセス集中があった先月の音楽フェス「SUMMER SONIC」においても、安全に運用されたことを確認している。
7月の加入状況については、新規加入が3万6,779件、解約が6万6,701件となった。8月の加入状況は、新規加入が4万1,599件、解約が6万221件となっている。
新規加入に関して、7月はサッカーやボクシングなどのスポーツと、SUPER BEAVER、back numberなどの音楽コンテンツが、8月は全米オープンテニスやLPGA女子ゴルフ、音楽のSUMMER SONIC等の独占放送・配信が新規加入を獲得している。一方で、サッカー等の目的番組の終了に伴う解約が増加し、正味加入件数は7月で2万9,922件の減少、8月で1万8,622件の減少となっている。
「会員ファースト」と「独自性の追求」を今期の方針として掲げているが、本日は9月以降のマーケティングの取り組みについて、お客さまの声をコンテンツやサービスに生かす取り組みを2つ紹介したい。
1つ目の取り組みは、視聴者とともにオリジナルドラマの制作を行なう。2021年8月に放送・配信して好評を得たサスペンスドラマ「連続ドラマW 密告はうたう 警視庁監察ファイル」の続編の制作が決定した。続編制作に伴い、WOWOWドラマの視聴者の声をコンテンツ制作に生かしていく取り組みを実施する。視聴者へのアンケート、またはお客さまとの対面インタビューを通じて、作品の感想や、続編に期待する声を広く集めて制作に生かし、深掘りする予定である。会員の皆さまとクリエーターとともに、作る、つながる、育むといった取り組みを通じて、WOWOWオリジナルコンテンツのブランド価値向上を目指していきたいと考えている。
2つ目の取り組みは、UEFAチャンピオンズリーグ、UEFAヨーロッパリーグ2023-24シーズンパスを発売する。WOWOWオンデマンド上に、新たに都度課金制のTVODのサービス「WOWOWオンデマンドPPV(ペイ・パー・ビュー)」を実装した。9月1日からのサービス開始に合わせて、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのシーズンパスを販売開始している。かねてより「チャンピオンズリーグだけを見たい」という要望を多く頂いており、そのようなお客さまの声に応えるべく、シーズンパスを発売することとした。
シーズンパスは先着1万名さま限定で販売しているが、マーケティング調査の結果も踏まえて、市場のニーズが実際にどのぐらいあるのか、市場価値を今回の販売で確認したいと考えている。また、限定販売とすることで、熱量の高いお客さまの購入が推測されるため、そのようなお客さまの声と真摯(しんし)に向き合いながら、UI/UX、サービスの改善に生かしていきたいと思っている。
このシーズンパスは、9月20日に開幕するチャンピオンズリーグ、9月22日に開幕するヨーロッパリーグのグループステージから、6月に行われるチャンピオンズリーグの決勝までの全試合ライブ配信に加えて、アーカイブ、ハイライト、特集番組、過去の名試合など、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに特化したコンテンツのみを視聴可能なサービスとなっている。
また、「WOWOWオンデマンドPPV」というサービス名称だが、このシーズンパスは1試合ごとの課金ではなく、2023-24シーズンを通したパッケージ型の商品となる。見たい試合や決勝のみに課金する商品ではないが、1万1,900円をお支払いいただければ、シーズン開幕から6月の決勝までのシーズン期間中、最大10カ月において、商品に含まれる全てのコンテンツが見放題となっている。
従来、このような1つのジャンルに絞った商品企画を行なっていなかったが、収益機会の創出、配信サービスの多様化、視聴スタイルの多様化といった生活者の変化に合わせて、より広く、多くのお客さまにWOWOWのコンテンツを楽しんでいただけるサービス展開が必要だと判断した。ぜひこれを機に、今までWOWOWに加入いただけなかったお客さまにも利用いただき、世界最高峰のサッカーコンテンツを楽しんでほしいと思っている。
また、「WOWOWオンデマンドPPV」では、柳家喬太郎さんの「にんげんこわい」の落語会といった商品も販売している。今後は、スポーツや音楽ライブなど、他では見られないコンテンツをラインナップしていく予定である。
メディア放送サービス以外の事業拡大として、今回K-POPアーティストのIPビジネスをスタートした。
K-POPアーティスト「xikers(サイカース)」の日本での単独公演について、WOWOWでの独占放送・配信のみならず、興行、物販、協賛の利用許諾も取得し、WOWOWとして新しい事業の取り組みを開始していく。
xikersは韓国のKQ Entertainmentに所属する10人組ボーイズグループであり、10代後半から20代前半の若いメンバーで構成されている。
デビュー半年で驚くべき成長を披露し、無限の可能性を持つ「グローバル スーパールーキー」と呼ばれ、最初のミュージックビデオは22時間で1,000万再生を超える結果を残している。そして、2023年3月のデビューミニアルバム『HOUSE OF TRICKY : Doorbell Ringing』では、オリコンデイリーアルバムチャート1位を獲得した。
10月には彼らの単独ライブを東京と大阪で開催する。
田代専務執行役員)本日は、オリジナルドラマと海外ドラマについて、3人のプロデューサーから紹介する。
まずは、ドラマ制作部の村松プロデューサーより、9月10日(日)に放送開始となる「連続ドラマW 湊かなえ 落日」について説明する。
【連続ドラマW 湊かなえ 落日 9月10日(日)放送・配信スタート 毎週日曜午後10:00 ※第1話無料放送(全4話)】
村松プロデューサー)これまでWOWOWでは、原作のないオリジナルドラマの制作はもちろん、人気作家の原作の映像化にも注力してきた。例えば、日本の小説界をけん引する山崎豊子、池井戸潤、東野圭吾、宮部みゆき、そして湊かなえというトップクラスの作家原作の映像化は、WOWOWのお客さまから高い評価を得ているとともに、原作者本人からも「WOWOWであれば映像化してほしい」という声を頂くことが多く、信頼を築いてきたと言えるのではないか。その中の1人が湊かなえさんであり、2012年には「贖罪」、2019年には「ポイズンドーター・ホーリーマザー」を連続ドラマ化した。そして今回、湊かなえさんの令和最高傑作とも名高い「落日」を連続ドラマ化する。「落日」は、湊さんが2019年に作家生活10周年を記念して書き下ろした特別な一作でもある。
本作は「事件」「裁判」「映画」がテーマであり、主人公の役が映画監督ということもあって、映像化に際しては映画監督にお願いしたいと考えた。そして、『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督にオファーし、快諾いただいた。主演は、「連続ドラマW ヒポクラテスの誓い」以来、WOWOWドラマ主演2回目となる北川景子さんである。女優として圧倒的な地位を築き、今年はデビュー20周年を迎える節目であり、この作品に熱量高く挑んでいただいた。さらに、共演には吉岡里帆さん、竹内涼真さん、黒木瞳さんといった主演級の俳優陣の出演が決定している。また、乃木坂46の久保史緒里さんがWOWOWドラマに初出演し、若手女優として今後頭角を現すであろう演技力を見せている。
本作のストーリーは、新進気鋭の映画監督である長谷部香が、ある事件の映画化を考え、新人脚本家に相談を持ちかける。その基となるのは12年前、ひきこもりの男性が妹と両親を死に至らしめ、死刑も確定している一家殺害事件である。この事件を追うことは、登場人物たちそれぞれが抱える、ある過去と向き合うことも意味していた。判決も確定しているこの事件を、なぜ香は映画化したいのか。男性はなぜ妹を殺したのか。事件を調べていくうちに衝撃の真実にたどり着く。誰もが悲しい過去や何らかの傷を抱えていると思うが、過去と向き合い真実を知るからこそ明るい未来がやって来るという、希望を感じられる作品となっている。
本作では主演の北川景子さんはじめとする俳優陣の新境地を見ることができ、心震える一作として自信を持ってお届けしたい。内田監督率いる、『ミッドナイトスワン』も手がけた多くのスタッフが本作にも参加しており、唯一無二の映像美と世界観にも期待いただきたい。海外からの注目度も高く、早くも韓国、台湾、ベトナムでの放送・配信が決定している。
また、9月10日の第1話放送スタートに先駆けて、WOWOWオンデマンドとYouTubeのWOWOW公式チャンネルで無料配信も行っているため、ぜひご覧いただけたればと思う。
田代専務執行役員)監督と俳優の出会いが新しいシナジーを生むとよく言われるが、今回の完成した作品を見て、北川景子さん、竹内涼真さんらが今までになかった圧倒的な演技を見せていると感じた。ぜひ期待してほしい。また、村松プロデューサーが担当している「連続ドラマW フィクサー Season3」も、いよいよ10月8日にスタートし、ついにフィクサーの野望が完結するのでそちらもご覧いただきたい。
次に、ドラマ制作部の小髙プロデューサーより、「連続ドラマ-W30 東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-」について説明する。
【連続ドラマW-30 東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-23年秋放送・配信】
小髙プロデューサー)これまでWOWOWでは、1時間枠の連続ドラマWにて社会派の重厚な作品を、30分枠の連続ドラマW-30ではチャレンジングで多様な作品をお届けしてきた。その中でも、「連続ドラマW-30 東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-」は、WOWOWが培ってきた社会派ドラマの系譜を継ぐ作品となっている。
本作は、東洋経済オンラインで1億5,000万PVを突破した連載を書籍化し、「Yahoo!ニュース!本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞」にノミネートされた「東京貧困女子。-彼女たちはなぜ躓いたのか-」が原作となる。原作は、貧困に陥った実際の女性たちの心の叫びを丹念に聞き続けたルポルタージュ本になっているが、本ドラマはこのルポ本に、貧困問題に迫る主人公の女性記者のオリジナルストーリーを加えて連続ドラマ化したものである。
今回、脚本を高羽彩さん、音楽を田渕夏海さん、監督を青木達也さんと遠藤光貴さんのお2人に担当いただいた。そして、主演には2023年10月スタートの朝ドラ、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の主演を控える、大注目の実力派俳優である趣里さんに担当いただいている。
ストーリーは、シングルマザーで経済誌の契約編集者が、女性の貧困に関する連載を担当する中で、自身もまた不安定雇用の中で生きる貧困の当事者であることに気付き、現実に打ちのめされながらも貧困問題に迫っていく社会派エンタメドラマとなる。劇中で趣里さんとともに貧困に迫っていくライターの役、取材する貧困女性たちの他キャスト陣、および特報映像に関しては近日解禁となるため、楽しみにしていただきたい。
本作の見どころとして、NHKドラマ「ここは今から倫理です。」の話題作を手がけ、タカハ劇団を主宰する気鋭の劇作家である高羽彩さんに脚本を担当いただいた。本作は、高羽さんとプロデューサー陣が実際の貧困活動家の方とともに貧困支援に参加し、当事者の声を取材して、そのリアルを反映したドラマとなっている。
また、本作はシングルマザーの記者である主人公の物語を縦軸に、さまざまな状況下に置かれた貧困女性のエピソードが繰り広げられる濃密な作品となっているが、タイトルの「東京貧困女子」という局所的に聞こえるかもしれないワードに反して、サブタイトルには、原作本のキャッチコピーにもある「貧困なんて他人事だと思ってた」という言葉をあえて制作陣のほうで付けている。これには、貧困が誰にとっても他人ごとではなくなる現代日本の問題であることを、ひしひしと感じていただければという思いを込めている。
重たいテーマ性に反して、高羽先生が描き出す、趣里さん演じる記者と劇中に登場する人物たちの群像ドラマは、非常にエンタメ性が高くなっている。ついキャラクターたちを最後まで見届けたくなる、老若男女に届くエンタメ作品として作り上げているため、ぜひご期待いただければと思う。
田代専務執行役員)小髙プロデューサーは、大好評を得た「連続ドラマW-30 ながたんと青と -いちかの料理帖-」をプロデュースしている。今回、WOWOWが得意とする社会派のドラマに挑戦するため、ぜひ期待してほしい。
次は、映画部の松永プロデューサーより、中国発の「SF超大作『三体』」について説明する。
【SF超大作「三体」2023年10月放送・配信スタート】
松永プロデューサー)世界が注目する大型海外ドラマとして、これまでWOWOWで放送してきた時代劇の中国ドラマの域を超えた、SF超大作「三体」を紹介する。
原作は、中国を代表するSF作家の劉慈欣氏の小説であり、20カ国以上で翻訳され、世界累計発行部数が2,900万部超えの世界的ベストセラーである。この小説は、SF界のノーベル文学賞とも呼ばれるヒューゴー賞をアジア圏の作品として初受賞した。オバマ元アメリカ大統領、元Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグ氏、『アバター』のジェームズ・キャメロン監督、日本では池上彰さんや新海誠監督など、各界の著名人が原作小説「三体」のファンだと公言しており、世界中に熱狂的なファンを持つ現代中国文学最大のヒット小説となっている。
今回お送りするドラマは、これまでの中国ドラマの概念を覆すような全く新しい世界観となっており、2023年1月に中国の配信プラットフォーム「テンセントビデオ」で配信が開始されると、わずか1時間で、話題性の高さを表わす熱度指数が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録した。ホットランキングでも30日連続でランキング1位を独占し、評価参加数は過去最高となる220万を突破しており、ドラマも記録的なヒットとなっている。脚本執筆に4年、撮影に126日間をかけ、映像化不可能とも言われた原作の世界観を忠実に再現しており、その圧倒的なクオリティーに視聴者、原作ファンからも絶賛の声が上がった。
全30話の大作となり、WOWOWでの放送・配信は10月から12月の3カ月連続のイベント編成となる。10月の土曜と日曜に1~10話、11月の土曜と日曜に11~20話、12月の土曜と日曜に21~30話を放送・配信する。来年11月末まで見逃し配信もあるため、配信利用の面でも長く盛り上げていきたいと考えている。
これまでのアジアドラマの概念を覆す本作品を皮切りに、下期のWOWOWの中国ドラマは時代劇だけでなく、10年に1度の傑作として本国で呼び声の高かった極上ヒューマンノワール「ロング・シーズン、長く遠い殺人」や、大ヒットドラマ「陳情令」の原作者である墨香銅臭先生のファンタジーアニメ特集など、成長を続ける中国コンテンツの新潮流をお届けする。
田代専務執行役員)私も原作を読んでいるが、映像も圧倒的でエキサイティングな仕上がりとなっている。ぜひ期待してほしい。
3人のプロデューサーよりドラマ紹介したが、私からは「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」を紹介する。
【小津安二郎生誕120年記念 連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~ 11月放送・配信スタート 毎週日曜午後10:00 ※第1話無料放送(全6話)】
日本を代表する監督である小津安二郎さんは、世界中の監督に大きな影響を与え続けている。2023年は生誕120年、かつ没後60年の節目の年であり、松竹が中心となって生誕120年企画が実施されている。この120年興行・イベントと連動して、WOWOWでは小津さんの原点とも言うべき前期作品群から厳選した6本をドラマ化し、11月より放送・配信する。
100年近く前の作品だが、現代にも通じる普遍的なテーマがある。選定作品を6人の異なる映画監督が現代リメイクし、キャストは田中圭さん、柄本佑さん、前田敦子さんら実力派をそろえた。どんなに畏れ多くとも、現代の脚本家と監督がそれぞれに解釈して、現代の人に伝えることが一つの文化だと信じて制作している。
最後に、テニスについてお伝えする。
【東レ パン パシフィック オープンテニス 9⽉25⽇(⽉)~10月1⽇(⽇)連日生中継】
現在、全米オープンテニスが進んでいるが、国内最大の国際女子テニストーナメントである「東レ パン パシフィック オープンテニス」が9月25日から始まる。世界ランク1位のイガ・シフィオンテク選出が出場予定であり、WOWOWでは連日生中継を行う。
【⽊下グループジャパンオープン 10月16⽇(⽉)〜22⽇(⽇) 連日生中継】
男子についても、日本で唯一開催される男子テニスATPツアー「木下グループジャパンオープン」を10月16日から連日生中継でお送りする。錦織圭選手の日本凱旋に期待が高まっており、車いすの部には小田凱人選手も出場する。
当社が独占生中継する全米オープンテニス終了後も、引き続き圧倒的なボリュームで展開するWOWOWテニスをお楽しみいただきたい。
会員数の状況は厳しい状況ではあるが、これから自信を持ってお届けするドラマが続くとともに、人気急上昇中のK-POPアーティストxikersの取り組みや、スポーツにおいてもテニスの国内大会やサッカーシーズンが開幕するため、一度離れたお客さまが戻ってきてくれると思っている。取材等も含めて広く伝えていただければと思う。
以上