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2024年3月定例会見要旨

3月7日(木)に定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。

出席者:田中晃社長執行役員、山本均副社長執行役員、井原多美専務執行役員、田代秀樹専務執行役員、横山誠一執行役員
エンターテインメント事業部 鷲尾賀代チーフプロデューサー、事業開発室 豊島豊


1. 社長交代と役員新体制について(田中社長・山本副社長)

田中社長)2月22日にリリースで発表した4月からの役員人事について説明する。
私は社長を退任し、新社長に現副社長の山本が就任する。そして、現常務の尾上は専務に昇格する。コンテンツ・クリエイティブ統括である専務執行役員の田代は執行役員を退任して理事となり、WOWOWエンタテインメントの会長に就任する。また、新たに3名の執行役員を登用した。再任と新任と含めて、執行役員11名の体制で取り組んでいく。

なお、グループ企業の取締役を担う理事に関しても新体制となる。WOWOWコミュニケーションズの現社長の山崎が会長に、同社副社長の郡司が社長に、そしてWOWOWプラスの現社長である大熊が会長になり、いずれも4月1日付での就任となる。

この背景と狙いとして、厳しい状況が続くWOWOWの事業環境に対応して、世代交代を図り、再び成長軌道に乗るための人事となる。新社長となる山本は59歳、新執行役員3名のうち最年少は49歳であり、若い人材を登用している。このような世代交代の下で大胆な改革に取り組む所存である。

新社長となる山本は、WOWOWの歴史の中で初のプロパー社長となる。
マーケティングから編成、制作、人事、経営戦略といった数多くの枢要な部署を経験しながら、それぞれの部署でリーダーとして活躍し、幾つもの社内イノベーションの先頭に立ってきた人材である。WOWOWの強みも弱みも熟知しているオールラウンダーと言える。当社の中でも類まれな存在であり、若者の声をよく聞いてその力を発揮させる能力に非常にたけている。以上の点から、この厳しい状況に直面している中で、山本が社長に適任だと判断した。

4月以降の役割として、執行部門に関しては山本新社長が全てを統括、所管する。私自身は会長の立場で新社長をサポートするとともに、資本政策等を担っていく。では、新社長となる山本から一言あいさつを申し上げる。

山本副社長)私、山本は4月1日付でWOWOWの社長に就任する。
私はWOWOW開局前の1990年10月に中途入社し、WOWOWに33年間勤める中でさまざまな部署を経験してきた。そして、WOWOWは開局当時からベンチャーであり、今も中小企業であるという思いを常に念頭に置いている。私が入社した時の社員数は約180人で、33年たった今でも320人ほどの会社である。この小さな会社が全世界から一流のコンテンツを集め、それを日本全国に届けていることは非常に面白いビジネスだと思っており、私自身も楽しく働いてきた。

中小企業が大企業に勝つためには、社員一人一人が腕を磨き、他社にはない独自の価値を提供し続けなければならないと考えている。その考えの下、オリジナルドラマ「ドラマW」や、WOWOWメンバーズオンデマンドの立ち上げなどをリーダーとして推進してきた。

現在はグローバルの外資系OTT事業者と戦う時代になっている。私はWOWOW初のプロパー社長となるが、この厳しい環境下での社長就任に高揚感はなく、あるのは緊張感のみである。どうすれば再びWOWOWを成長軌道に戻すことができるかについて意識を集中させている。幸いなことに、社員は成長のためにモチベーション高く一丸となって取り組んでいるため、4月からの新役員体制の下、一気呵成に挑戦していきたい。

なお、来年度以降の事業戦略および成長戦略については、5月15日に予定している決算説明会にて説明したいと考えている。ぜひ決算説明会にもご参加いただければと思う。新たなスタートを切るWOWOWにご期待いただきたい。

2. 加入分析(横山執行役員)


1月の加入状況について、新規加入は3万9,486件、解約は6万8,241件で、約28,000件の純減という厳しい結果になった。一方で、2月の新規加入は5万8,010件、解約は5万4,786件となり、11月以来の約3,000件の純増となっている。
各月の分析として、1月に関しては、スポーツでは大坂なおみ選手も出場した全豪オープンテニス、音楽では現在注目を集めているVaundyのライブ中継、ドラマではTVerでの見逃し配信も実施した「連続ドラマW-30 アオハライド Season2」が新規加入につながった。しかし、チャンピオンズリーグのグループステージが終了したことに伴って解約が増えている。また、音楽コンテンツによる加入が3Qにおいて非常に大きかった反動から、1月の解約件数が増加した。

2月については、チャンピオンズリーグ決勝トーナメントの開始によって大きく加入を伸ばしている。また、スポーツではラグビー欧州6カ国対抗戦のシックス・ネーションズ、音楽ではBUCK-TICKといったコンテンツが大きく新規加入につながり、正味加入件数が純増している。

3. 事業からのお知らせ(井原専務、事業開発室 豊島豊)

【スポーツSNS「FANUP」サービス開始】

井原専務)事業開発室では、新たなる収入源となる事業の開発や、アライアンス、M&Aなどを含めた新規事業の推進を行っている。このたび、2月にMIXIとの共同リリースを発行し、予想バトルで熱狂するスポーツSNS「FANUP」のサービスを開始した。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグが盛り上がりを見せる中、それらのリーグをご覧のお客さまに、サッカーの新たな楽しみ方を提供したいと考えている。スコアを含めた勝敗、試合展開の予想、戦術、フォーメーションの分析などをファン同士で熱く深く語り合い、盛り上がることができるサービスとなっている。スポーツ観戦の新しい楽しみ方を提案する「FANUP」について、新規事業開発担当の豊島より説明する。

豊島)
■「FANUP」概要
「FANUP」は、試合予想を楽しめるスポーツSNSである。また、ログイン時に配布される無料のチップを用いて勝敗を賭け、オッズによってチップを増やしていく予想バトルゲームでもある。現在、2月から6月までの期間中、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの予想でランキング上位になった方には、ヨーロッパサッカー旅行が当たるキャンペーンを実施している。

■「FANUP」のポイント
これまでも予想ゲーム等はあったが、「FANUP」には3つの新しいポイントがある。
まず1つ目は、個人&チーム予想として、1人のみでなく、3人1組でチームを組んで参加できるようになっている。
そして、2つ目はリアルタイム予想である。事前の勝敗予想や大会の優勝予想に加えて、試合中のプレー、ファール、ゴールといったプレー展開自体も予想することができる新しい取り組みになっている。3つ目は、ファン同士の交流であり、単に個人やチームで賭けるだけでなく、戦術やプレー展開についてファン同士で盛り上がりながらサービスを楽しむことができる。この3つのポイントを意識してサービスを開発してきた。

特に今回意識したのは、リアルタイム性とソーシャル性である。これまでスポーツはどうしても1人で見る機会が多いものだったが、友人や知人と一緒に盛り上がりながら観戦する体験を、デジタルの力を用いて生み出すことが大きな狙いとなっている。

そして今回、パートナーとしてMIXIと共にサービスに取り組む。MIXIは「モンスターストライク」をはじめ、さまざまなソーシャルサービスの経験があり、そのノウハウを多く提供いただいたことが「FANUP」の実現に結び付いたと考えている。
WOWOWとしては、予想することによって試合を視聴したくなるという好循環を生み出していくことを一つの狙いとしている。

■実績紹介
現在、サービスの開始から約1カ月がたち、着実にユーザー数が伸びてきている。特にWOWOWオンデマンド上でのプロモーションが最も効果を発揮しており、動画配信サービスと予想ゲームの相性が非常に良いことを感じている。今後さらにデジタル上でスポーツ観戦をより深く楽しむ体験を生み出せるように、サービスの改善を続けていきたい。

【映画『ミッシング』5月17日全国公開】

井原専務)私からもう一点、映画について紹介したい。1月19日に公開された『ゴールデンカムイ』は、興行収入30億円目前の大ヒットとなっている。WOWOWが主幹となって関わった映画においては、これまで21億円強の『ヘルタースケルター』が一番だったが、既にその記録を塗り替えている状況である。

そして、WOWOWの次の主幹作品として『ミッシング』が公開される。『ゴールデンカムイ』のような大型の映画ではないが、石原さとみさんの出産後、初の主演映画作品となり、非常に話題と関心を引いている映画となっている。「失くしたのは、心でした」というキャッチコピーの下、本人が心をなくすだけでなく、そこに関わる全ての人たちが各々の立場で少しずつ心をなくしていく様子が非常に鮮明に描かれている。少し重たい内容だが、石原さとみさんの演技力に脱帽し、今こそ見ておくべき映画ではないかと思っている。ぜひご覧いただきたいと思う。


4. プレゼンテーション(田中社長、エンターテインメント事業部 鷲尾賀代チーフプロデューサー)


田中社長)ハリウッドと共同制作したオリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」について、鷲尾チーフプロデューサーより説明する。

【「TOKYO VICE Season2」4月6日より毎週土曜日夜9時放送・配信】 

鷲尾チーフプロデューサー)ハリウッド共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」が4月6日から放送・配信となる。
2年前の会見では、「TOKYO VICE」を共同制作するに至った経緯を入社時からさかのぼって詳細に説明した。2年前の会見において、日本は世界で最も撮影が難しい国と言われ、先進国で唯一タックス・インセンティブの制度がなく、いかに日本の映像産業が世界基準から遅れているかについて説明したが、昨年、今年にようやくタックス・インセンティブ制度が日本で発表された。各国と比べてまだ非常にいびつな形ではあるが、制度のスタートを切ることができたのは大きな一歩だと思っている。

本日は、また違う問題点として、働き方改革を交えて説明したいと思う。「TOKYO VICE」は、昨年にストライキで大きな話題となった脚本家組合や俳優組合とのルールを順守するユニオンのプロジェクトとなっている。例えば、週休2日、1日12時間以内の撮影、終了から翌日の開始まで最低12時間空けること、温かいホットミールを必ず提供することなど、人間らしい生活を維持するためのルールが設けられている。

私がLAに駐在する前、2010年ごろに韓国ドラマの撮影現場を訪ねた時、当時は日本のほうがまだ良いスケジュールだと思うほど過酷な労働環境だった。しかし、私がLAにいる10年間で韓国の労働環境は様変わりし、それに伴って日本をメインマーケットとせず、世界に打って出るコンテンツを作り始めた。日本では年間約500~600本の映画が作られているが、日本においても映適(日本映画制作適正化機構)というシステムが発足したため、適正な働き方環境を目指して、量より質を目指す方向になればと思っている。

また、日本の制作方法に関しても、あらゆる面で曖昧な部分がある。アメリカでは契約に署名するまで開始されず、細かい部分まで開示する。そのアメリカの制作方法に慣れてしまった私は、日本の慣習に違和感を抱いており、多少変えたほうがよいのではないかと思っている。

例えば、昨年のアカデミー賞歌曲賞にノミネートされた『私たちの声』は、7つの短編からなるアンソロジー映画である。その短編の一つである『私の1週間』を日本で制作する際に、アメリカ方式で進めたところ、経理方法と契約書のタイミングが全く異なった。私自身も、LAに行くまでは日本の方式に疑問を持たなかった。また、ハリウッド方式が全て良いとは思っておらず、アメリカにもユニオンルールにとらわれないインディペンデントな作り方がある。そのため、韓国の方式も真似しながら、日本に合うハイブリッドな方式をつくっていければと考えている。

ただ、環境を整えると制作費が上がる。慈善事業ではないため、赤字を出してまで制作する必要はない。そうなると、必然的にマーケットを広げなければならない。人口が減少する日本のみをターゲットにしていると、大ヒットする作品以外の制作費を上げることができないため、やはり日本以外のマーケットにも目を向けるコンテンツを作るしかないと考えている。私も、日本のコンテンツ力を上げること、および世界に向けたコンテンツを作ることを手助けしたいと願っており、今後も「TOKYO VICE」のような日本に関連のある大型プロジェクトを手がけていきたいと思っている。

「TOKYO VICE」の現場は、95%が日本のローカルスタッフとなっている。私は、彼らがハリウッド方式の良い部分を抽出し、次の日本のプロダクションにも生かしてくれると信じている。それによって、日本のコンテンツの質の底上げにもなる。

また、海外プロダクションの欠点の一つとして、日本の不思議な描写が挙げられる。「なぜ日本人スタッフが関わっているにもかかわらず、おかしな描写があるのだろう」と思っていたが、「TOKYO VICE」を通じてその原因が分かった。例えば、メガバンクの取締役が名刺を出すというシーンがあるとする。いきなりスーツのポケットからそのまま名刺を裸で出すと日本人は驚いてしまう。この場合、名刺入れをすぐに用意し使えばいいのだが、おかしいと指摘し、声を上げるハードルが意外にも高いのである。大量の予算が投下され、作り込まれた撮影現場を目の前にして、何か1つおかしい点があるとして撮影を止めるには勇気が必要である。私自身、煙たがられながらも指摘できる部分は指摘したが、数カ所は直らずに悔しいシーンも残っている。私の性格上、そして立場上も日本人として指摘できるほうだが、それでも大きなプレッシャーを感じたため、普通の日本人がスタッフとして入って直せるものではないことが分かった。

しかし最近は、日本人を演じるのは日本人というように、全てをオーセンティックに撮ることがハリウッドでトレンドとなっている。それが追い風になるとともに、Season2ともなれば顔なじみの日本人スタッフが声を出してくれたりするようになり、環境も大きく改善されているし、今後少しずつ良くなっていくと考えている。

なお、「TOKYO VICE」において、渡辺謙さんや菊地凛子さんなどは既に海外でも有名だったが、Season1に出演した笠松将さんについては、撮影中から海外スタッフに「グレートサプライズ」だと言われ、アメリカでの配信と同時に、アメリカ最大手のCAAというエージェントが付いた。また、山下智久さんについても、日本ではスーパースターだが、この作品のオーディションに合格するまでは多くのオーディションに落ち続けていた。「海外は1枚目の扉を開くのがとても難しい」と言っていたが、「TOKYO VICE」の後も『神の雫』が世界中で評価されている。このように、日本の才能を世界に紹介できることも私の喜びである。

先述のアンソロジー映画『私たちの声』に関しても、昨年のアカデミー賞歌曲賞にノミネートされたため、呉美保監督と杏さんをアカデミー賞授賞式にお連れすることができた。杏さんを「Ken Watanabeの娘です」とレッドカーペットで伝えると、インタビューしてくれる世界の媒体が数社あり、2人を世界に紹介できたことが非常にうれしかった。今後も機会を見つけて、ストーリーとコンテンツと才能ある人たちの、日本と世界の架け橋になりたいと願っている。

田中社長)「TOKYO VICE」には、日本の作品・役者・クリエーターたちを世界に押し出そうという鷲尾チーフプロデューサーの強い思いが込められている。WOWOWのお客さまからも、Season1の終了後から「Season2はいつ始まるのか」という問い合わせが続いていたため、ようやく4月から届けられることを非常にうれしく思っている。
なお、鷲尾チーフプロデューサーは、2023年のハリウッド・リポーター誌が選ぶ「国際的なテレビ業界で最もパワフルな女性35人」に選出されている。ハリウッド・リポーターからは2021年、2022年に続いて3年連続でパワフルな女性に選ばれており、ハリウッドに人脈を持ち評価されたプロデューサーであることを私も誇りに思っている。

5.今後の編成トピックス(田代専務)


【生中継!第96回アカデミー賞授賞式 3月11日(月)放送・配信】
日本時間の3月11日にアメリカ・ロサンゼルスで行われるアカデミー賞授賞式を独占生中継する。日本の作品も3作品ノミネートされており、非常に注目されている。山崎貴監督『ゴジラ-1.0』は日本映画で初めて視覚効果賞にノミネートされ、宮崎駿監督の新作長編アニメーション映画『君たちはどう生きるか』は長編アニメ映画賞に、役所広司さん主演の映画『PERFECT DAYS』は国際長編映画賞にノミネートされている。
また、鬼才クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』が最多13部門にノミネートされている。原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーの半生を映画化した作品で、今回の大本命とされており、日本人としても重要な意味を持つ題材だと考えている。

【連続ドラマW ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編】
1月19日から劇場公開した映画『ゴールデンカムイ』は、興行収入30億円が目前の大ヒットとなっているが、3月4日にリリースを発行したとおり、映画の待望の続編をWOWOWでドラマ化する。WOWOWドラマ史上最大の作品となり、SNSでも大反響があった。今年の秋ごろに放送・配信する予定となっている。今後の展開の詳細については、決定次第随時発表するため期待してほしい。

6.最後に(田中社長)

WOWOWのようにコンテンツのプロデューサーがプレゼンテーションをする社長定例会見は、他局にあまりないのではないかと思う。これは私が社長に就任してすぐに、最強のプロデューサー集団になることを掲げて、このような会見方式にした。皆さまにWOWOWのコンテンツを理解していただくとともに、プロデューサーを売り込みたいという意図から始まったものである。本日も新しい取り組みとして、「FANUP」について豊島が、「TOKYO VICE」について鷲尾がプレゼンテーションを行った。鷲尾に至っては、「TOKYO VICE」の宣伝以上に、日本の制作体制をいかに世界基準にすべきかについて思いを語っている。ぜひ追加取材をしていただき、紹介してほしいと思う。なお、先ほどもご紹介したとおり、鷲尾は2023年のハリウッド・リポーター誌が選ぶ「国際的なテレビ業界で最もパワフルな女性35人」に数少ない日本人として選出され、3年連続で選ばれている。その点も取り上げてもらえれば、社長就任以来、プロデューサーがプレゼンテーションを行う会見方式を行ってきた成果になると思っている。
私の会見出席は本日が最後となる。これまでの御礼を申し上げるとともに、新体制の変わらぬご支援をお願い申し上げたい。

以上

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