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2024年9月定例会見要旨

9月19日(木)に定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。

出席者:山本均社長執行役員、井原多美専務執行役員、口垣内徹執行役員、大原康明プロデューサー、石垣裕之クリエイティブ・オフィサー

1. ご挨拶(山本社長)


まずは私から、当社の新技術ソフトウェアについて紹介したい。
当社とTBSテレビが共同開発した映像伝送ソフトウェア「Live Multi Studio (LMS)」が、第1回テクニカルディレクションアワードのデジタルサービス部門で銀賞を受賞した。LMSは一般的なインターネット回線を用いた、これまでにない放送局クオリティーの映像伝送ソフトウェアとなっている。超低遅延および簡単接続の特長を有しており、瞬時に簡単に映像を伝送することが可能である。当社では既にスポーツ中継等でLMSの活用を始めている。映像制作分野はもちろん、Vtuber事業、イベントやメディアアートなど、多くの分野から注目を集めている。ぜひ「LMS」に注目してほしい。
なお、テクニカルディレクションアワードは、アイデアや表現だけでなく、それらを実現するためのテクニカルディレクションの重要性を伝えることを目的としており、当社としてはそのような観点から評価していただけたことを大変うれしく思っている。

2. 事業概況(井原専務)


7月は、L'Arc~en~Cielやラグビーのテストマッチ2024インターナショナルシリーズ、LPGA女子ゴルフツアーなどが新規加入につながったが、正味加入件数は純減となった。一方で、8月は音楽フェスのSUMMERSONIC 2024、大型音楽ライブのCOMPLEXやNewJeansなどが新規加入につながり、正味加入件数が純増となっている。

次に、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)のシーズンパス多層サービス展開について紹介する。当社では、2024年度の重点戦略として「メディア・サービスの構造改革」を推進しているが、新シーズンが開幕したばかりのCL、そして9月26日から開始されるELにおいて、お客さまの視聴スタイルに合わせた商品ラインアップを展開している。

今シーズンより、CLとELは大会フォーマットが大きく変更された。出場クラブ数が32から36に増え、試合数についてもCLは60試合以上増加して189試合となる。また、ビッグクラブ同士の対決が各マッチデーで必ず実現する方式になり、大会規模も注目度もスケールアップしている。

当社では、さらに魅力的な大会となった今シーズンから、新たな商品ラインアップでお客さまのサッカーの楽しみ方の選択肢を増やしている。

全試合を視聴したい熱狂的なサッカーファンに対しては、189試合すべてを視聴できるシーズンパスを設けている。シーズン中に台頭するニュースターやユニークな戦術で注目を集める中堅チームまで完全に網羅したいコアなサッカーファン向けの商品となっている。

従来の月額サービスでは、リーグフェーズの注目試合と、決勝トーナメントの全試合をお届けする。サッカーの注目試合をしっかりと楽しみながら、映画や音楽、ドラマなど、サッカー以外のエンタメも全面的に視聴したい方向けの商品設定となる。

また、その中で全試合の視聴を希望する場合は、試合追加パスも用意している。リーグフェーズ期間中に、各マッチデーにおいて視聴対象とならない試合は、WOWOWオンデマンドPPVにてマッチデー単位の試合追加パスを販売する。このように、どうしても見逃せない推しチームの試合は、マッチデー単位での購入が可能となっている。

これまでは定額月額サービスの一コンテンツとしてCL/ELを提供してきたが、今回はその間口を広げて、お客さまのニーズや視聴スタイルに合わせた選択肢を提供することで、さらに多くの方々に楽しんでいただきたいと考えている。外部プラットフォームのWOWSPOでもパッケージを展開しており、これら4つのスタイルで商品の提供を開始している。

3. プレゼンテーション(山本社長、ドラマ制作部 大原康明プロデューサー、音楽事業局 石垣裕之クリエイティブ・オフィサー)


山本社長)本日は2つの案件を紹介したい。1つ目は、10月にドラマ版がスタートする「連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―」に続く、WOWOWの大型企画となる「水滸伝」である。この制作が決定したため、ドラマ制作部の大原プロデューサーより紹介する。

【北方謙三「水滸伝」製作決定】

大原プロデューサー)この度、WOWOWが総力を挙げて贈る巨編ドラマ「水滸伝」について情報を解禁した。原作は、日本を代表する作家の北方謙三先生による歴史大河小説である。中国に従来伝わる「水滸伝」を、北方先生が独自の解釈やオリジナルの設定を加えて、よりリアルに、よりイマジネーション豊かに執筆した作品であり、多くのファンの支持を集めている。全19巻の長さを誇る「水滸伝」をWOWOWで映像化し、これまでのWOWOWドラマとしても最大級の規模で描く予定である。
本作の舞台は北宋末期(12世紀初頭)の中国である。日本では鎌倉時代以前、平安時代以後に当たる。同じ志を持つ漢たちが「梁山泊」という山城に集い、腐敗した世を正すべく立ち上がる物語となっており、未来を切り拓くため、想像を絶する困難に挑む登場人物たちの生き様を描く人間ドラマである。

●キャスト
梁山泊の頭領である宋江が物語の中心人物となり、この役を織田裕二さんに演じていただく。まさに大作の主役に相応しい方だと考えている。さらに、今後情報解禁をしていくが、日本を代表する豪華キャストが勢ぞろいしているため、ぜひ期待してほしい。

●制作陣
映画『沈まぬ太陽』や『Fukushima 50』など数多くの人間ドラマや大作を描いてきた、名匠の若松節朗さんが監督を務める。脚本は、舞台「キングダム」など数々の作品を手掛け、現在最も注目を集める劇作家の一人、藤沢文翁さんが担当する。映像の経験は多くないが、藤沢さんの手掛けた舞台を北方先生が称賛するほどであり、本作は藤沢さんでないと描くことができなかったと思っている。

●制作の背景
北方先生の原作「水滸伝」は、理不尽と戦い、未来を切り開こうとする者たちの生き様を描いている。この作品を通じて、閉塞感のある現代を生きる人々に光を当てたいという思いから、今回の映像化に至った。WOWOWの制作力、コンテンツ、そしてクオリティーの高さを、「水滸伝」を通じてより多くの方に認知いただき、WOWOWのプレゼンスを高めていくとともに、国内外を問わず映像マーケットにおいて存在感を高め、世の中に話題を生み出したいと考えている。現在、シナリオ開発やロケハン、衣装・小道具合わせを連日行なっており、制作準備も佳境に入っている。今年の12月からクランクインし、来年半ばまでの長期間で国内外での撮影を行なう予定である。

●原作者の北方謙三氏
北方先生とは何度もお会いし、お話しする機会をいただいた。北方先生は、シナリオやキャスティングに関してほとんど意見せず、「作家の仕事は本になった段階で完結している。原作は映像を構成する素材の一つに過ぎない」という言葉を頂いた。さらには、「原作と全く同じに作っては意味がない」とまで述べている。そのため、監督、キャスト、スタッフの総力を結集して、それぞれのイマジネーションを飛躍させ、北方先生の想像を超える作品にしたいと思っている。ただし、私自身も原作ファンの一人である。従って、「ここを外してはならない」「この台詞は変えてはいけない」といった視点で、原作ファンの期待を裏切らないようにも制作していきたい。

●プロデューサーメッセージ
私は「水滸伝」に取り組むために、この業界を志した。「水滸伝」との出会いは10代までさかのぼる。高校生の頃、新宿の紀伊国屋書店で行なわれた北方先生の握手会に参加し、「いつか、この作品の映像化に携わりたい」と伝えた。その際、北方先生が「漢の握手だ」と言って、固い握手をしてくださったことを昨日のように覚えている。WOWOWに入社したのも、当時の映像制作業界において、この大作を制作できるのはWOWOWしかないと思ったからである。「水滸伝」の壮大なストーリーは、映画では尺や時間が足りない。

先日、北方先生にインタビューした際には、「夢は語るものではなく、追うものである」という言葉を頂いた。本プロジェクトでは、夢を追う仲間がたくさんいる。若松監督は75歳だが非常に元気で、常に少年のように目を輝かせている。20代のスタッフも全員が対等に意見を交わし合いながら作品を作っている。この夢を追う仲間たちと駆け抜けて、最高のエンターテインメントを届けたいと考えている。WOWOWが送る「水滸伝」にぜひご期待いただければと思う。

山本社長)ドラマ「水滸伝」は大きな予算をかけて制作する、まさにビッグプロジェクトとなっている。それを、若くて熱意のある大原プロデューサーに委ねたいと思う。「『水滸伝』を制作したい」と言い続けてきた彼に、この実現に向けて中心となって取り組んでもらう。ぜひ大原プロデューサーに取材していただければと思う。

【「SPITZ,NOW! ~ロック大陸の物語展~」2024年11月8日(金)~2025年1月15日(水)東京シティビューにて開催】

山本社長)続いて2つ目の案件は、アーティストを軸に、放送・配信を越えた多層的な接点を設ける取り組みである。人気アーティストであるスピッツを軸にした共感体験の展開について、音楽事業局の石垣クリエイティブ・オフィサーより紹介する。

石垣クリエイティブ・オフィサー)WOWOW初の幹事展示会となる「SPITZ,NOW! ~ロック大陸の物語展~」について紹介する。
現在、WOWOWはこれまでの放送・配信を中心にした事業だけでは不十分な状況にあり、よりお客さまに満足いただけるような新しいサービスと、その多層化についての開発が急務だと考えている。私自身もクリエイティブ・オフィサーとして、今までにないものを開発し、今後のWOWOWの強みになるような新ジャンルのエンターテインメントを作りたいという思いから取り組みを開始した。そして、この1~2年でさまざまなテーマを探していたところ、スピッツとの出会いがあった。

今回の展示会のきっかけとなったのは、「優しいスピッツ」という番組および映画である。これは音楽事業部の内野プロデューサーが手がけたものであり、彼の熱意によって実現した。実はスピッツがWOWOWのライブ番組に正式な形で登場したことは、三十数年のキャリアの中で一度もなかった。そこをNHKの朝ドラの舞台になった帯広にて、内野がロケハンによって小さなお遊戯館を見つけたことで、「この場でコロナ禍の無観客ライブを実施してはどうか」というアイデアに共鳴いただき、オリジナルの無観客ライブを制作しことがすべてのきっかけとなっている。

「優しいスピッツ」は、オリジナルライブを放送・配信した後、それが映画になった。映画においても、この規模では大ヒットと呼べる成果が出ている。また、先日にはDVDおよびブルーレイが限定発売され、すぐに売り切れた。従来はこの展開をもってWOWOWの業務領域は終わっていたが、今回のチャレンジにおいては、まず展示会を開催し、ここからVR映像、MD、さらには地方展開、通販事業、独自ライブ興行を目指したいと考えている。
WOWOWはこれまで各社主幹の展示会に部分出資で入ったことも多々あるが、当社が幹事の展示会は初めてとなる。展示会を開催するに当たって、VR映像も制作している。今後はマーチャンダイジングの領域まで入り、内野が手がけたスタジオライブのような形を興行として実施する企画も開発したい。また、恒常的な通販事業や、地方での継続的な展開など、IPをうまく展開してファンやお客さまに喜んでいただきたいと思っている。

展示会はどうしても懐古主義になる傾向にあるが、「SPITZ,NOW!」の「NOW」はスピッツの現在地を意味しており、メンバーや事務所の方々と協議しながら、バンドの現在を見せる内容にしている。昨年のツアーセットをそのまま展示したり、バンド台を再現したりするだけでなく、メンバー自身が音声ガイドを務め、メンバー4人が展示物についてファンの皆さまにささやき続けるような演出になっている。また、衣装や楽器に加えて、レギュラーラジオ番組のスタジオの再現、直近約10年のアルバムジャケットを飾ったモニュメント、グライダー、「モニャモニャ」の実物なども多々展示している。

その中でも、VR映像がある種のキラーコンテンツとなっており、4台のVRカメラで360度、8Kで収録した映像を、ゴーグルとヘッドホンをかけて視聴していただく。目の前で演奏しているような感覚になり、このような立ち位置でライブが見られる体験は私自身も経験がないほど貴重な映像となっている。

今まさに展示物など内容の準備中だが、各アイテムの精査、および展示や運搬の仕方については細かく確認しながらデリケートな作業を行なっている。WOWOWだけでも10人以上動員して準備中である。これが実現できれば、音楽ジャンルはもちろん、映画、スポーツ、芝居など、さまざまな分野でこのような企画が開発できると考えている。

山本社長)WOWOWならではの多層的な展開に今後チャレンジしていきたい。その意味で、この展覧会が第1弾になると考えていただければと思う。

4.今後の注目番組(口垣内執行役員)


9月および10月も、引き続きスポーツが熱い状態になっている。サッカーはチャンピオンズリーグが開幕し、ジャパンオープンテニスには錦織選手が登場予定である。また、NBAも10月開幕となるため、盛り上げていきたいと考えている。

【WOWOW presents WEST. 10th Anniversary Live "W" 10月26日(土)午後7:00~放送・配信】
音楽に関しては、デビュー10周年を迎えたWEST.と一緒にオリジナルライブを制作している。ヒット曲から、ライブで初披露する楽曲まで、全19曲をお届けするスペシャルなプログラムになっている。さらに11月には、舞台裏とインタビューで構成した番組もお届けするため、2カ月連続でお楽しみいただければと思う。

【「劇場版 Vaundy LIVE in London」 10月10日(木)劇場公開】
9月7日に放送・配信したVaundyのライブについてである。このライブはオリジナルでロンドンにて撮影したものだが、新しい取り組みとして、劇場版を10月10日から10月16日の約1週間にかけて、全国25館の劇場で限定上映する。WOWOWの放送・配信では見せることができなかった密着映像も含めて、より彼の魅力に迫る内容を、大画面かつ迫力ある音の中で楽しんでいただく体験を提供する。さらに、11月からはVaundyのツアーが開催されるが、ツアーが始まる神奈川から最終地の九州まで、ツアーに帯同する形で31館での上映を連携する企画も用意している。こちらもぜひ楽しんでいただきたい。

【「連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―」10月6日(日)より放送・配信スタート】
210万人以上の動員をした映画『ゴールデンカムイ』の続編となるドラマ版が、10月6日から放送・配信される。既に9月においても、お楽しみいただけるコンテンツを用意しており、映画を9分程度に編集したダイジェスト版や、27名の豪華キャストのインタビュー、アニメ版「ゴールデンカムイ」といった充実したコンテンツを設けている。また「ゴールデンカムイ」のグッズとしてたくさんのグッズ販売にも取り組んでいる。ぜひこちらも紹介していただければと思う。


5. 最後に(山本社長)


10月18日に全国公開となる映画『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』について紹介する。本作は当社の出資作品であるとともに、グループ会社のWOWOWエンタテイメントが出資および制作プロダクション業務を請け負った作品である。WOWOWエンタテイメントの定評ある音楽ライブ撮影技術の下で、小松莊一良監督や外部スタッフの協力も得て、WOWOWエンタテイメントが制作全般に関わることになった。
この作品は、コロナ禍が始まった2020年から日常を取り戻すまでの4年間で、フジコ・ヘミングさんに寄り添ったドキュメンタリーである。残念ながらフジコ・ヘミングさんは今年4月に92歳で亡くなられたが、最後まで現役ピアニストとしてコンサートでの演奏を続けた彼女の姿や生き方を、素晴らしい演奏シーンの数々と共に堪能できる作品となっている。演奏シーンは大変見応え、聴き応えがあり、特にフジコ・ヘミングさんが愛したパリでのラストステージとなったコンサートにおける名曲と名演奏は必見である。ぜひご覧いただき、話題にしていただければと思う。

以上

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