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2024年11月定例会見要旨

11月7日(木)に定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。

出席者:山本均社長執行役員、井原多美専務執行役員、口垣内徹執行役員、馬詰真実、樋浦悠真プロデューサー

1. ご挨拶(山本社長)

まずは私から、927日にリリースにて公表した、4Kチャンネルのサービス終了について改めて報告する。
急速に変化する外部環境や競争激化により、当社は大変厳しい環境下にある。このような状況下において、20213月に開始した4Kチャンネル「WOWOW4K」のサービスの継続可能性について慎重に検討を重ねた結果、20252月末をもって終了することを決断した。これは、不採算事業からの撤退によって経営資源の選択と集中を行なうという判断である。今後は「WOWOWプライム」「WOWOWライブ」「WOWOWシネマ」の3チャンネルと、「WOWOWオンデマンド」、および会員に向けた多層的なサービス展開に注力していく。

 

2. 事業概況(井原専務)

当社は今年度、新たな収益の創出に取り組んでおり、1024日にはTNLメディアジーングループとの事業提携を発表した。
TNLメディアジーングループは、GIZMODOBUSINESS INSIDERSirabeeといった20を超えるメディアブランドを運営しており、月間ユニークユーザー数が約4,000万を超えるアジア最大級のメディアである。TNLメディアジーングループが保有する約4,000万人のリーチを活用して、当社のコマース事業の販売を強化していきたいと考えている。TNLメディアジーングループとは、マーケティングの観点からの取り組みや、トラフィックにつなげる取り組みを行なっていく。

次に、LPGA女子ゴルフの配信チケットについて紹介する。
来シーズンの出場権をかけた戦いとして、現地時間125日から5日間行なわれる「LPGA2025最終予選会」の配信が決定した。今年の配信は、「WOWOWオンデマンドPPV」にて販売するチケットを購入することで、生配信や見逃し配信が視聴できる。チケットは、大会の全日程が見放題の「全日程チケット」、4日間の「予選ラウンドチケット」、最終日のみを視聴できる「決勝ラウンドチケット」の3つを用意している。なお、最終予選会のダイジェストは1月にWOWOWで放送・配信予定であるため、既存のお客さまはチケットを購入しなくともダイジェスト版が視聴可能となっている。最終予選会には、山下美夢有、岩井明愛と岩井千怜の姉妹、原英莉花といった日本人選手6名の参加が既に決定している。かつてない数の日本勢が挑戦する最終予選会にぜひ注目してほしい。

最後に、加入状況について説明する。
既にリリースにて発表しているが、10月は正味加入が約44,000件となり、大きな純増となった。8月から3カ月連続の純増となっている。今後もさまざまな取り組みによって収益につなげていきたい。

3. プレゼンテーション
(山本社長、技術センター R&Dユニット 馬詰真実、コンテンツプロデュース局 ドラマ制作部 樋浦悠真プロデューサー)

山本社長)本日は2つの案件を紹介したい。1つ目は、最先端の映像伝送ソフトウエアについてである。当社とTBSテレビが共同開発した映像伝送ソフトウエア「Live Multi Studio」が、第1回テクニカルディレクションアワードのデジタルサービス部門銀賞に続き、民放連賞の技術部門最優秀も受賞した。このソフトウエアについて、本日は技術担当の馬詰より紹介する。

WOWOWTBSテレビが共同開発した映像伝送ソフトウェア「Live Multi Studio」】

馬詰)本日は、TBSテレビと共同で開発した最先端の映像伝送ソフトウエア「Live Multi StudioLMS)」について説明する。LMSは、映像・音声・制御信号の伝送ソフトウエアである。遠隔地同士をつないで映像を伝送するのに使用し、主に中継番組の制作で使われるケースを想定している。

●開発の経緯
まず、開発に至った背景として、WOWOWをはじめとする放送局では、放送だけでなくオンデマンド配信やYouTubeなど、中継番組の出し先が多様になっており、なるべく多くのコンテンツを制作したいという思いがある。同時に、業務をできる限り効率化し、よりクリエイティブなことにリソースを充てるという変革も求められている。このような状況を受け、映像制作の品質を維持したまま最大限に効率化して、これからの制作スタイルを変えていきたいという思いから、このソフトウエアの開発が始まった。
当社とTBSテレビとの共同プロジェクトは、2014年にアプリケーション「Live Multi Viewing」を開発したことが始まりである。その後、2019年からのリモートプロダクションの技術開発でも一緒に取り組む中で、LMSが誕生した。

●LMSは一般的なインターネット回線を使用
クリエイティブで効率的な映像制作を行なうには、リモート化、ソフトウエア化、クラウド化がポイントであり、そのためにはインターネットをベースにした映像制作を行なう必要があると考えた。通常の中継では、高品質だが費用も高額な「専用線」を用意することが多いが、LMSは家庭で使うような一般的なインターネット回線でも中継が成立するように設計されており、コストを大きく抑えることができる。

プロトコルを開発
われわれは一般的なインターネット回線でも中継を成立させるために、プロトコルに注目した。
プロトコルとは、コンピュータやデバイスがネットワーク上でデータをやりとりする際の約束事やルールを指す。人間が会話するとき、互いに同じ言語を話す必要があるのと同様に、コンピュータ同士が正しく通信するためには共通のルールとしてプロトコルが必要になる。既存のプロトコルには求める基準を満たすものが無かったため、われわれは独自のプロトコルを開発してLMSに搭載した。この点が他のサービスと一線を画す強みだと考えている。

●主な特長「簡単接続」
LMS
は既に全国の放送局などで使用されており、放送や配信の現場では「使いやすい」との評価を得ている。その中でも特に評価されている特長が2つあり、1つ目は「簡単接続」である。LMSは専門的な知識がなくとも、IDとチャンネルを入力するだけで接続が可能である。お客さまからは、これまでの機器に比べて簡単に接続できるとして高い評価を受けている。

●主な特長「超低遅延」
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つ目の特長は「超低遅延」であり、LMS100ミリ秒以下の超低遅延で映像を伝送することができる。
既存のプロトコルでは0.5秒の遅延があるが、たった0.5秒でも遅延があると対象を追うことが難しい。一方でLMSは、0.1秒以下の超低遅延によってスムースに操作できる。
ただしLMSは、所々にカクつく部分がある。カクつきがなぜ起こるのかというと、LMSが一般的なインターネット回線で利用できる点にある。インターネットは低コストだが、通信品質の保証がないため、データが相手先へ届く間に欠落してしまう「パケットロス」が起こる。また、安定性に揺らぎがあるというデメリットもある。
操作性のみを考えると超低遅延の映像が最良だが、インターネットを使う以上、パケットロスや揺らぎがどうしても発生してしまう。しかし、カクつきのある映像をお客さまに見せるわけにはいかないため、リモートプロダクションでは、遅いけれども安定したオンエア用の映像も用意して、作業用とオンエア用を使い分ける必要がある。LMSには、この2種類の映像を同時に出力できる機能「Multi Latency」を搭載しており、この技術はTBSテレビが特許を取得している。

使用事例
TBSテレビも当社も、主にスポーツ中継を中心にLMSを使用している。
WOWOWでの使用事例を一つ紹介すると、テニスの国際大会である男子の国別対抗戦「デビスカップ」の配信と国際映像の制作にLMSを使用した。「デビスカップ」では、カメラ映像を兵庫県から東京まで伝送し、東京側でスロー、CG、スイッチング、カメラ操作などを実施している。LMSにより、インターネット回線でもリモートプロダクションが可能になったことで、回線費、機材運搬費、オペレーターの宿泊費および交通費などを約50%抑えることができた。この形式で、これまで3件の番組制作を行なっている。実際の映像を見ると、映像伝送やCG、スローなどの制作システムの全てがLMSで作成されているが、通常の国際映像と比較しても遜色ない品質となっている。

クラウド化
また、さらなる効率化を目指し、LMSをクラウド上で起動して番組制作も行なった。現地のカメラ映像をクラウドまで伝送し、リモート拠点からもクラウド内でスイッチングなどの映像処理を行ない、直接クラウドから配信プラットフォームへ配信している。これによって、現地とリモート拠点の機材を削減することができ、現地側はわずか2名で制作することができた。

製品化
このような開発と運用を繰り返すうちに、社外、さらには放送局以外の映像業界や、遠隔操作が必要とされる業界での利用が見込めると考え、今年3月には製品化と一般公開に至っている。現在は無償で全機能を解放しており、全国の放送局、配信、通信企業などに利用されている。また、当社も予想外だったVtuber業界での採用が続き、利用が広がっている。その他、MIXIのアワードイベントの配信でも使用された。今後もより多くの場面で活用されるように展開を継続していく。
最後に、LMS1130日よりサービスの一部有料化を予定している。引き続き無料で使用できるプランも残す予定のため、ぜひ試してほしい。

山本社長)技術センターに勤める馬詰は、入社4年目の社員である。新しいテクノロジーに非常にアンテナを張っており、期待の若手社員であるため、ぜひLMSについて馬詰に取材してほしいと思う。
続いて2つ目はドラマについてだが、通常の連続ドラマではなく、当社で初めて制作する「生ドラマ」である。ラジオ局のニッポン放送と共同で製作し、配信プラットフォームで有料配信する企画となっている。本件について、ドラマ制作部の樋浦プロデューサーより紹介する。

【ニッポン放送開局70周年×WOWOW 共同製作生配信ドラマ
「ゴースト・オブ・レディオ〜バチボコ怖い⼼霊バスツアー〜」11/17(日)と11/29(金) 開演午後8:00

樋浦プロデューサー)今まで多様なクリエイターとテーマの深いドラマを届けてきたWOWOWから、一味違ったコンテンツとして、生配信ドラマ「ゴースト・オブ・レディオ~バチボコ怖い心霊バスツアー~」を1117日(日)と29日(金)の午後8時にニッポン放送と共同製作でお届けする。

企画の経緯
この企画の開発は、2022年、新型コロナウイルス感染症の影響でライブエンターテインメントが大きく打撃を受けた際に、ニッポン放送が実施した舞台演劇生配信ドラマ「あの夜を覚えてる」が発端となっている。ニッポン放送の社屋を丸ごと使ったこの作品は、ラジオが培ってきた文化の大きな要素であるライブ性や、リスナーとの近い距離感をそのまま映像作品に落とし込み、ラジオリスナーを中心に大好評となった。
私自身もラジオ好きの一人として、この作品に強く感動した。そして、舞台や音楽ライブ、スポーツの生中継を日々放送しているWOWOWならではの作品ができるのではないかと考え、生配信ドラマの企画開発をニッポン放送に提案したところ、新たなイベントの形として快諾を得た。そして今回、WOWOWとラジオ局のニッポン放送でライブの可能性を追求するコラボレーションが実現することとなった。

スタッフ
今回、生配信ドラマという耳なじみのない挑戦に、ラジオを愛する最高のクリエイターたちが参加している。本作品は完全オリジナル脚本である。監督・脚本は、ラジオのヘビーリスナーで、お笑い芸人との作品も多く経験している大九明子監督にオファーし、快諾を得た。大九監督は、NHKBSプレミアムにて昨年放送されたドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の脚本・演出を担当し、ギャラクシー賞奨励賞等を受賞している。また、同じく監督・脚本を担当した映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』が、先日ワールドプレミアを迎えている。大九監督の笑って泣ける独特な演出を、今作でもぜひ期待してほしい。
さらに、かつてラジオ局で働き、元有名ハガキ職人でもあるお笑い芸人、ザ・マミィの林田洋平さんが大九監督とともに脚本を務めている。この2人によって、ラジオ愛あふれるストーリーとオマージュが、今までお世話になったラジオへのラブレターのごとく詰め込まれている。

キャスト
また、舞台と映像のどちらでも活躍する小関裕太さんが主人公を務め、元お笑い芸人で現在は三四郎のマネジャーとして働く山本を演じる。そして、小関さんとプライベートでも親交の深い佐藤寛太さんが、小関さん演じる山本の元相方を熱演する。その他、本人役で出演する三四郎をはじめ、ラジオパーソナリティを務めるお笑い芸人や個性的な俳優陣も勢ぞろいしている。

ストーリー
本作品では、心霊スポットを巡るバスの中で起こるドラマを生配信する。物語は、実際にニッポン放送で毎週金曜27時から生放送されている、人気ラジオ番組「三四郎のオールナイトニッポン0ZERO)」の特別企画である心霊バスツアーとなる。それぞれの事情を抱えた乗客たちが1つのバスに乗り込み、心霊バスツアーを経て、生放送を行う予定のニッポン放送に向かう。ホラーやオカルト的な楽しい演出もありながら、それぞれの乗客が思いをはせ、取りつかれている感情に向き合っていく、笑いながらも心に響く作品となっている。

見どころ
本作品の見どころの1つは、ワンシチュエーションではなく、実際に移動するバスや、多数のロケーションを横断しながら行なう、まるで生とは思えない演出である。これを実現するために、撮影や中継技術のさまざまなノウハウを検証しながら準備している。さらには、生配信だからこそできる演出として、同じ物語でもラストの演出を変えて2回の生配信を行なう。全く同じ作品は二度と生まれないという、ライブの面白さを感じてほしい。現在もまさにリハーサル中であり、今、同じ時に世界の別の場所で起きているドラマを一緒に楽しんでもらえればと思っている。

1117日(日)と29日(金)の午後8時から、約120分の生配信ドラマがスタートする。配信視聴チケットも絶賛発売中である。本番に向けて、新たな情報も控えているため、今後の告知にもぜひ注目してほしい。

山本社長)当社は今まで放送局との共同ドラマを経験しているが、ラジオ局であるニッポン放送とは今回が初めてのコラボとなる。この企画を立案し、ニッポン放送にプレゼンして実現に結び付けた樋浦プロデューサーは、入社5年目の若手プロデューサーである。普段はドラマ制作部でドラマ「ゴールデンカムイ」のアシスタントプロデューサーを務めており、多忙な中でこのチャレンジングな企画に取り組んでいる。ぜひ樋浦プロデューサーにも取材いただければと思う。

 

4.今後の注目番組とサービス(口垣内執行役員)

●『WEST. 10th Anniversary Live "W" -Film edition-』  11月22日(金)全国ロードショー
10月に放送・配信したWEST.10周年を記念したWOWOWオリジナルライブが、お客さまから大きな好評を得た。「#WOWOWESTやねん」というハッシュタグを展開したところ、放送開始5分で日本トレンド1位、30分後には世界トレンド1位を獲得するほど話題となった。1130日(土)には、そのライブの裏側をメンバーのインタビューを含めて見ることができる「Behind The Scenes - WEST. 10th Anniversary Live "W"」をお届けする。
さらには劇場版の展開も予定しており、1122日(金)から公開となる。劇場版は全編を通じて、WOWOWの放送・配信版と編集が異なっている。そして新たに、放送にはなかった2曲も追加されている。また、劇場ならではの迫力ある音「Dolby Atmos/5.1ch」で体験できる。ムビチケを含めて好調なスタートとなっており、ファンの皆さまの期待も高まっている。

ドキュメンタリーシリーズWHO I AMパラリンピック(全4回) 12/7(土)〜放送・配信
定例会見でも何度も説明している「WHO I AM」プロジェクトだが、過去にお届けした日本人選手の中から、2024年パリパラリンピックに出場した4名に改めて追加取材を行ない、パリパラリンピック完全版として、彼らのこれまでの歩みを含めた4番組を127日から全作品無料で放送・配信する。

また、昨年に放送・配信した「WHO I AM パラリンピック」および「WHO I AM LIFE」の両作品が、1125日(月)にニューヨークで開催される第52回国際エミー賞において、スポーツドキュメンタリー部門と芸術番組部門にノミネートされている。日本時間の1126日(火)午前9時ごろに結果が発表されるため、こちらも併せて期待してほしい。

連続ドラマW ゴールデンカムイ北海道刺⻘囚⼈争奪編オーディオコメンタリー版 20251月放送・配信
最後に、「連続ドラマW ゴールデンカムイ北海道刺青囚人争奪編」についてである。さらにファンの期待に応えるべく、オーディオコメンタリー版を20251月に放送・配信することが決定した。牛山役の勝矢さんがMCを務めるとともに、各話に出演者の方をゲストとして迎えて、ここでしか聴けない話や、撮影秘話などを聴きながら映像を楽しむ企画となっている。新しい取り組みとなるため、引き続き「ゴールデンカムイ」を楽しんでいただければと思う。

 

5. 締め・挨拶(山本社長)

202410月の加入件数が9万件を超えており、これは20216月に119,000件を獲得して以来の大きな数字となっている。20216月は、新型コロナウイルス感染症によって1年遅れた、サッカーのヨーロッパ選手権が開催された月である。202410月においては、「ゴールデンカムイ」やWEST.を含めて、非常に手応えのあった月であり、下期の良いスタートが切れたと考えている。

最後に、前回の定例会見で案内したスピッツの展覧会「SPITZ,NOW! ~ロック大陸の物語展」が明日118日から開幕する。この展覧会はチケットの事前予約も非常に好調であり、時間帯によっては売り切れとなっている。皆さまもぜひ六本木ヒルズの東京シティビューに足を運び、体験いただければと思う。

以上

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