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2025年7月定例会見要旨

7月10日(木)に定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。

出席者:山本均社長執行役員、井原多美専務執行役員、口垣内徹執行役員、高嶋知美チーフプロデューサー、小髙史織プロデューサー

1. ご挨拶(山本社長)

私からは、いくつか賞を頂いたので紹介したい。
まず技術関連の賞を2つ紹介する。
当社の技術センターの社員が、ポストプロダクションの音響技術分野で優秀賞・グランプリを受賞した。そして、当社とTBSテレビが共同開発した映像伝送ソフトウェア「Live Multi Studio (LMS)」が放送文化基金賞 放送技術部門を受賞した。技術センターの社員の取り組みが評価されたことを大変うれしく思っている。

また、オリジナル作品も賞を頂いている。
衛星放送協会からは、テニスの番組宣伝映像が最優秀賞を受賞した。そしてドラマでは、「連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―」が審査員奨励賞を受賞している。さらに、3月の定例会見にて紹介したゾンビ×時代劇「連続ドラマW I, KILL」が、現在韓国で開催中のプチョン国際ファンタスティック映画祭に正式に招待され、特別上映を行なっている。今後の海外での反響を非常に楽しみにしている。


2. 事業概況(井原専務)


まず、前回の定例会見で発表した研究所「WOWOW 夢中のトビラボ」について、続報をお知らせする。
6月12日に第一弾の研究発表としてウェビナーを実施した。実際に参加して記事を執筆いただいた方もおり、改めて御礼申し上げたい。

20代から70代という幅広い年齢層での調査の結果、ほぼ半数の49%の方が「夢中なものがない」と回答している。さらに、年代別では50代男性および40代女性において、最も夢中になるもの持っている比率が少ないことも見えてきた。夢中を持つことが人生のウェルビーイングにつながる可能性があるという結果を見て、当社がエンターテインメント企業として「大人が夢中になれるもの」を提供し続けるとともに、その質を高めていきたいという思いをより深めた。

初めてのウェビナー開催だったが、当日は家電メーカー、デベロッパー、新聞社、大学など、想定を超えるさまざまな業界の約230名に参加していただいた。当社がパーパスを推進する上で掲げた「夢中」という、ウェルビーイングにもつながる可能性があるテーマについて関心の高い方が想像以上に多いことに改めて手応えを感じ、研究を推進する意欲がチーム全体で湧いてきた。研究所では今後、何をどのようにお届けすることで「夢中」という体験を活性化できるのかをより深彫りしていきたいと思っている。

次に、新しいECサービスの立ち上げを本秋に向けて進めている。
現在は「wowshop」を展開しているが、その名称を「WOWOW百貨店」に変更して一新し、「感性に従い、人生を楽しむ大人のための百貨店」をストアコンセプトにする。なお、実店舗は考えておらず、EC専門の店舗となる。
当社では、5月に発表した中期経営計画において「会員の日常に"夢中"を提供する企業」への進化を目指すことを掲げており、ECサービスはそれを具現化する一つの形となる。WOWOWの強みとなるコンテンツ連動の商品はもちろん、毎日のライフスタイルにエンターテインメント要素を取り入れることで彩りを添えるような、大人の遊び心を刺激する上質な商品展開を考えている。

最後に、5月と6月の加入分析について説明する。
5月は、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝やヨーロッパリーグ準決勝・決勝といった欧州サッカー、全仏オープンテニス、「連続ドラマW I, KILL」などが新規加入につながった。6月は、UEFAチャンピオンズリーグ決勝、全仏オープンテニス、SUPERBEAVERのライブ⽣中継などが新規加⼊につながっている。一方で、目的番組の終了などにより解約件数が増加し、正味加⼊件数は純減となった。
会員数の減少によって厳しい事業環境ではあるが、新たなECサービスをはじめとする多層サービスの推進により、会員一人一人のウェルビーイングに貢献するとともに、当社の収益構造の早期転換を図っていく。


3. プレゼンテーション(山本社長、ドラマ制作部 高嶋知美チーフプロデューサー、ドラマ制作部 小髙史織プロデューサー)


山本社長)本日は2名のプロデューサーからオリジナルドラマを紹介したい。2作品ともWOWOWが得意とする社会派ドラマであり、ぜひ記者の皆さまにお伝えしたい内容となる。
まずは高嶋チーフプロデューサーより、8月22日開始の30分ドラマ「塀の中の美容室」を紹介する。本作は、罪を犯した人の再生への姿を描くヒューマンドラマとなっている。

【連続ドラマW-30 「塀の中の美容室」 8/22(金)放送・配信】
高嶋チーフプロデューサー)本作は30分7話の連続ドラマであり、全国に数カ所実在する女子刑務所の中で、一般の方々を相手に営業を行なう「塀の中の美容室」をモデルに描いた物語となる。

■作品概要
刑務所の美容室で刑務作業を行なう美容師は、免許取得に年月が必要なため、軽微犯ではなく、累犯者や重犯罪者のような刑期の長い受刑者が多い。美容室の料金設定は破格で、男性や、保護者の同伴がない15歳未満の子どもは利用できない。また、中では通信機器を一切使用できず、携帯電話も持ち込めない。このような制約がある美容室を舞台に、さまざまな世代の女性たちの人生が交錯する。罪を犯して「塀の中の美容室」の美容師となった主人公の葉留は、訪れる女性たちとの交流や、刑務所の中で彼女を見守る人たちの支えを通じて、新たな人生へと歩み始めていくという物語である。

■企画のきっかけ
本作を企画したのは、桜井美奈先生の原作小説「塀の中の美容室」の紹介記事を偶然ネットで見かけたことがきっかけとなっている。キャッチーなタイトルに引き付けられ興味を持った。タイトルから、刑務所の中にある美容室の話ということは推察できたが、それが一体どのような場所で、どのように営業しているのか気になり、原作を手にして一気に読んだ。この小説は2018年に刊行されたが、私が読んだのは約3年前で、刊行から既に4年が経っていた。映像化について出版社の双葉社に問い合わせたところ、ぜひ開発してほしいとの言葉を頂いた。

■映像化に当たり
まずは松本佳奈監督、脚本の狗飼恭子さん、日活の荒川優美プロデューサー、そして私の4人で、原作のモデルとなった岐阜県笠松刑務所の「みどり美容院」を取材した。これが約2年前となる。原作者の桜井先生もこの美容室を取材し、小説を執筆された。
笠松刑務所では、美容院のみならず刑務所の中も見学させていただき、広報官、刑務官、技官の先生など、さまざまな方から話を伺うことができた。実在する場所をモデルにするため、可能な限りリアルを追求した脚本にしようとその時決意した。また、原作小説は美容室を舞台に、そこを訪れる人々との交流を中心に描いているが、ドラマでは主人公の葉留が美容室に立つ時間以外の、刑務所での生活にもフォーカスすることを試みた。

■見どころ
多くのスタッフが事前に笠松刑務所を訪問した上で再現したセットである。美容室のセットは、小説で描かれている「あおぞら美容室」をモチーフにしているが、天井に勾配をつけて青色のグラデーションにすることで、映る場所によって色が違って見えるように工夫している。
刑務所の居室も、スタッフの取材に基づいて装飾を細かく再現した。刑務官との面会の部屋は実際に椅子を床に固定するなど、映像に映っていないところまで細かく再現されている。
さらに、法務省矯正局の全面協力の下、普段は立ち入れない栃木女子刑務所の塀の中や、黒羽刑務所跡を撮影で使用しているため、居室、廊下、工場などは実在のものとなっている。現場でも刑務官の方々から非常に細かく指導いただき、監修の先生方にも細部までご教示いただいて所作等を再現している。
なお、物語のラストシーンは開放的な外光の中で迎えたいという思いがあったため、ドラマオリジナルの設定となっている。取材の際に、刑務官の方から「収容者が刑期を終えて外に出たとき、彼女たちが社会に居場所を得られるように、社会の一員として活躍できる技術を身に付けられるように、できる限りのことをしたい。そして、絶対に二度とここに戻ってきてほしくない」と強く訴えていたことがとても印象に残り、その思いを何とか表現したいと思った。ラストシーンにもぜひ注目していただきたい。
私自身、本作に関わるまでこのような場所があること自体を全く知らなかった。恐らく多くの方にとっても知らない世界だと思う。そのため、この作品を見て存在を知っていただき、何かを感じ、考えるきっかけになればうれしい。

■桜井美奈原作のドラマを2クール連続で映像化
WOWOWではこの夏、桜井美奈先生原作のドラマを2クール連続で映像化することになった。7月11日から、こちらも秀逸なタイトルの「連続ドラマW-30『殺した夫が帰ってきました』」の放送がスタートする。「塀の中の美容室」とは全く異なるサスペンスミステリーであり、桜井先生の作家としての幅の広さを体感できる作品となっている。ぜひ併せて取り上げていただければと思う。

山本社長)私も本作を視聴したが、このような美容室の存在を全く知らなかった。その意味でも、非常に興味深いドラマとなっている。なお、高嶋チーフプロデューサーは、1月の定例会見でも紹介した2026年放送予定のフィンランドとの共同製作ドラマ「連続ドラマW BLOOD & SWEAT」を手掛けている。本作を含めて、ぜひ取材いただければと思う。
続いて小髙プロデューサーから、9月14日より放送・配信開始の「連続ドラマW 夜の道標-ある容疑者を巡る記録-」について紹介する。

【連続ドラマW 夜の道標-ある容疑者を巡る記録- 9/14(日)放送・配信】
小髙プロデューサー)本作は日本推理作家協会賞、長編および連作短編部門を受賞した、芦沢央先生のミステリー小説が原作の社会派ミステリードラマとなる。芦沢先生は、近作の「噓と隣人」で第173回直木賞にもノミネートされている注目の作家である。

■スタッフ・キャスト
本作の脚本は、今年にNHKの「バニラな毎日」が話題になった倉光泰子さんと、『見えない目撃者』や『重力ピエロ』を手掛けた映画監督の森淳一監督による共作となっている。森監督は全5話の監督も務めている。
キャストは、「連続ドラマW トクソウ」以来11年ぶりの当社主演作品となる吉岡秀隆さんが主演刑事役を務める。そして、その吉岡さん演じる刑事が追う逃亡犯役を、RADWIMPSのボーカルとしても活躍する野田洋次郎さんが演じている。

■企画のきっかけ
企画のきっかけは、2022年に原作小説を手に取ったことである。この原作小説は、自身の人生の中でも1、2を争う衝撃を受けた作品だった。ネタばれの観点から本作のテーマに関しては説明できないが、実際にニュースでも係争中の裁判が報じられており、特集番組が組まれていたにもかかわらず、私はこの本に触れるまでそのテーマについて詳しく知らなかった。読後は本を抱えたまま立ち上がることができず、その余韻を今も深く覚えている。そして、この作品をどうしても映像化したいと考えて、すぐに原作権を問い合わせた。
コンテンツがあふれる時代において、何を作るべきかを制作者として日々悩む中、他社では取り上げにくい題材だからこそ、今まで数々の社会問題をドラマで届けてきたWOWOWでつくりたいと思い、制作を開始した。

■ストーリー
舞台は1996年、横浜市内で学習塾を経営する塾講師の戸川が殺害される。野田さん演じる、被害者の元教え子で軽度の精神障害を抱える阿久津が早々に容疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年が経過しても足取りがつかめない。捜査が縮小する中で再捜査を行なうことになったのが、吉岡さん演じる窓際刑事の平良と、若手刑事の大矢である。悪いうわさが一つもない、人格者の戸川がなぜ殺されたのか。平良たちは、戸川を知る関係者や、容疑者である阿久津の家族、知人に日々聞き込みを続けるが、謎は深まっていく。
しかし、殺人犯が同級生の女性にかくまわれていることが分かり、その同級生、そして阿久津と出会う小学生、関係がないように見えた者たちが阿久津を中心に動き出した時、ばらばらに思えた点と点がつながり、思いもよらぬ展開を見せていく。
阿久津の殺人と逃亡の理由、平良たちがたどり着く真実、殺害の動機の奥にある社会問題、なぜ犯人が信頼する人間を殺したのか、そのたった一つの真実に迫っていく本格社会派ミステリーとなっている。また、時代が1990年代に設定されていることにも大きな意味と仕掛けがある。

■みどころ
本作は、WOWOWが得意とする刑事のものが入り口となっており、ミステリーサスペンスとして物語が始まる。しかし、1話から3話にかけて点と点を追っていったものが、4話と5話で怒濤につながっていくため、じわじわと真実に近づいていくさまを最後まで必ず見届けてほしいと思う。

原作の芦沢先生は、小説を執筆していた当時のインタビューで「今自分が正しいと思っているものが、本当に正しいのかということも揺らいできた。この数年でどんどん価値観がアップデートされ、かつて容認されていたことが断罪されるケースも増えている。価値観がアップデートされるのはもちろん良いことだが、その際に取り返しがつかなくて振り落とされたり、踏みにじられたりする人もたくさんいる」と述べていた。

現代では、過去の出来事を今の価値観で推し量ることがあふれている。われわれドラマ制作陣の挑戦は、この芦沢先生の姿勢を胸に刻み、今回のテーマに白黒を付けるのではなく、いかに多角的な視点でフラットに取り組み、視聴者に提示できるかということだった。過去の日本における社会問題として考えられている出来事が、実は今も私たちが生きる社会に無縁ではなく、むしろ人間社会の中で消えない問題として残っている。そのような思いでこのドラマを制作した。

「連続ドラマW 夜の道標-ある容疑者を巡る記録-」は9月14日に放送開始となる。今後も実力派役者陣が解禁されるため、楽しみにしていただきたい。

山本社長)小髙プロデューサーは、人気作となった「連続ドラマW-30 ながたんと青と -いちかの料理帖-」を手掛けたプロデューサーである。社会派ドラマとしては、2023年の「連続ドラマW-30 東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-」以来の企画となるため、ぜひ取材していただければと思う。


4.今後の番組&サービス(口垣内執行役員)


7月と8月の音楽コンテンツについて紹介する。
まず来週には、鈴木雅之、DA PUMP、杉山清貴&オメガトライブ、新しい学校のリーダーズのライブ生中継が予定されている。

【生中継!Mrs. GREEN APPLE 「MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~」7月27日(日)午後6:00放送配信】

7月27日には、デビューから10周年を迎えるMrs. GREEN APPLEのライブ公演を生中継でお届けする。神奈川県山下ふ頭で約10万人を動員予定の2DAYSのライブであり、15社の配信プラットフォームの他、劇場でのライブビューイングも行なわれる。
WOWOWは、10周年の彼らの活躍を少しでも体感していただきたいと考え、27日のステージの模様を生中継でお届けするだけでなく、過去ライブも併せて7月と8月にお届けする予定である。Mrs. GREEN APPLEが大好きなファンの方々に楽しんでいただけるラインナップとなっている。

【SUMMER SONIC 8月生配信】
8月には、毎年恒例でお届けしている「SUMMER SONIC」の生配信を予定している。ZOZOマリンスタジアムと幕張メッセで行われる東京会場の模様を、8月16日と17日の2DAYSで生配信する。今年も洋楽、邦楽、アジアのトップアーティストが出演する注目度の高いイベントとなっており、WOWOWでもさまざまなアーティストを生でお届けできるように調整している。

【WOWOW×WEST. "WESSION"#2 7月26日午後9:30~放送配信/WESSION FESTIVAL 2025  10月12日、13日大阪・万博記念公園 東の広場】
昨年からWEST.との取り組みを進めているが、今年は6月からレギュラー番組「WESSION」の放送を開始している。第1回の放送が好評を得る中、7月26日にはゲストにwacciを迎えて第2回の放送を予定している。
そして、10月12日、13日には大阪の万博記念公園で「WESSION FESTIVAL 2025」を開催する。レギュラー番組にゲスト出演していただいたアーティストを呼び、フェス形式でイベントを行なう。初回ゲストのMONGOL800、そして第2回ゲストのwacciだけでなく、今後もイベントを盛り上げていただけるアーティストの方々の参加が発表されていくため、ぜひ楽しみにしていただきたい。
なお、本イベントのチケットに関しては想定を超える応募を頂いている。現在、一人でも多くの方に参加いただけるように、チケット枚数の追加などを調整しているところである。

【JAZZ NOT ONLY JAZZ Ⅱ 9月18日 東京国際フォーラム ホールA/劇場版JAZZ NOT ONLY JAZZ 9月19日ロードショー】
次世代を担う若手の実力派ミュージシャンと豪華ゲストが織りなす一夜限りの特別ライブ企画として、「JAZZ NOT ONLY JAZZ Ⅱ」を9月18日に開催する。
昨年6月に実施した第1弾の公演は、チケットが即日完売となった。
今回の「JAZZ NOT ONLY JAZZ Ⅱ」では、第1弾に続いて、若き天才と呼ばれる石若駿さん率いるグループ「The Shun Ishiwaka Septet」が集結し、ゲストは海外からはグラミー賞を5度受賞した世界的ジャズピアニスト、ロバート・グラスパーの来日が決定。さらに国内からはアイナ・ジ・エンド、岡村靖幸、KID FRESINO、椎名林檎、中村佳穂をお呼びして展開するイベントとなっている。
既に一般チケットは完売しているが、一人でも多くの方に見ていただきたいと考え、一部カメラ席も含めて開放席を設けた。7月18日の正午12時より抽選販売の受付を開始する予定である。
また、本イベントの翌日9月19日から、劇場版『JAZZ NOT ONLY JAZZ』が全国公開される。昨年の伝説となった第1弾の公演を、放送・配信や実際の現場で見た方もいると思うが、Dolby Atmosよる圧倒的な臨場感と没入感という新しい体験をお届けできる企画となっているため、ぜひご覧いただければと思う。


5. 締め・挨拶(山本社長)


最後に、当社のオリジナルドラマとして6月に放送した『おい、太宰』の劇場版が明日7月11日から公開となる。三谷幸喜さんが脚本・監督を務めた、一度もカメラを止めない完全ワンシーン・ワンカットドラマが映画館の大スクリーンで展開される。ぜひ劇場でご覧いただき、話題にしていただければと思う。


以上

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