11月7日(木)、定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。
出席者:田中晃社長、黒水則顯副社長、山崎一郎専務、水口昌彦取締役、田代秀樹取締役、羽鳥健一チーフプロデューサー
1. ご挨拶(田中社長)
まず最初に、先の台風15号、19号で被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げる。一連の災害に際して、正確で迅速な報道の重要さを再認識する機会となった。昨日の民放大会においても、民放連の大久保会長から災害報道が重要な公共的役割であるという話があった。WOWOWは報道機関ではないが、免許事業を営む者として、公的な責任や公的な放送の役割を考える機会としたいと思った。と言うのもこの秋、スポーツイベントが目白押しであり、中でも、ラグビーW杯に列島が湧いた。ラグビーW杯によってラグビーの文化が日本において成長・成熟し根づいていく上で、放送が果たす役割はとても大きいということを痛感させられた。WOWOWはラグビーW杯の放送には関わっていないが、これからもWOWOWはスポーツやその他多様なエンターテインメントを通じて、公的な役割を果たしていきたい。
2.加入分析(山崎専務)
最新の10月の加入実績は新規加入は3万7,229件、解約は5万7,252件となった。
正味は2万23件の純減となり、累計正味加入件数は286万538件となった。加入の反響としては9月は例年通り全米オープンテニスがあり、音楽ライブでは吉田拓郎さんなどがあった。10月はWOWOWのオリジナルドラマ「悪の波動」や音楽ライブでは松田聖子さん、氷川きよしさんなどで加入が積み上がった。
音楽ライブなどを中心に訴求を行い一定の加入の反響があったものの、9月10月の結果としては、加入は低調に推移した月となっている。大いに盛り上がったラグビーW杯の影響も多少あったと感じている。スポーツコンテンツが全国的に注目を集めるということはとても良いことであると思うし今後の期待も高い。
3.WOWOWオリジナルドラマ×舞台プロジェクト「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」(田中社長、羽鳥チーフプロデューサー)
田中社長)WOWOWらしい取り組みをご紹介したい。WOWOWのオリジナルドラマと舞台(ステージ)の連動企画である。これについてドラマ制作部チーフプロデューサーの羽鳥からご説明する。
羽鳥チーフプロデューサー)
【はじめに】
私は約3年前、フジテレビからWOWOWに出向してきた。バリバリの社会派をやっているWOWOWのドラマが羨ましく、ぜひ作ってみたいと手を挙げて出向させていただいた。実際に来てみたらワンフロアに全制作セクションがあり、「色々なことが出来そうだ」と感じた。具現化した一つが、今回のこのプロジェクトである。「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」というタイトルで、ドラマと舞台で進めていく。ドラマと舞台の連動プロジェクトはWOWOWとしては初の試みとなる。
【マーズ・ワン・プロジェクトから着想】
実在する火星移住計画「マーズ・ワン・プロジェクト」に着想を得て、火星を舞台にしたシチュエーションコメディを作る。「マーズ・ワン・プロジェクト」とは、実在のプロジェクトで、オランダの財団が今計画・実行している最中のものである。2030年の実現に向けて計画は進められており、140か国から参加したいと20万人の応募があり、今約100人まで選考が進んでいる。最終的には4人組が3、4チーム選ばれるという。片道切符で送り込まれる人たちは一生火星で過ごさなければならないが、これだけの人たちが応募していて選考が進んでいる。これは気になるなと思い、ここから着想を得て、今回の企画になっている。
【クリエイターと出演者について】
今回のプロジェクトに賛同してくださったのが、鈴木おさむ氏。鈴木おさむ氏には、今回のプロジェクトのクリエイティブの核として動いてもらい、ドラマに関しては脚本、舞台に関しては、脚本と演出を手がけていただく。出演者に関しては、ドラマは全部で24人の方に出演していただく。ちょうど今キャスティング選考中であり豪華キャスティングが次々と実現している。もう少しで情報解禁するのでお楽しみにしていただきたい。舞台に関しては先んじて、三浦翔平さん、矢本悠馬さん、崎山つばささん、須賀健太さんが決定している。彼らはドラマの方にも出演していただく。ドラマと舞台のストーリーは連動する。
【ドラマについて】
あらすじについては先ほどお話した「マーズ・ワン・プロジェクト」の設定を利用する。4人で1チームとなって、計6チームの奮闘を描く。生活をしていく上で必要なことが各チームにミッションとして課せられ、奮起していく。食、水、服、ゴミ、エンターテインメント、健康というテーマに対して、彼らが研究をしていく設定で、オムニバスにはなっているが、仕掛けがしてあり、ちょっとした接点もあり、その接点は謎解きめいた作り方をする。その辺が何度も見たくなるというドラマになること間違いない。放送は30分全6話で1月24日スタート、毎週金曜深夜0時。脚本は鈴木おさむ、出演者は舞台の出演者とさらに20人の方々が追加されていく予定。
【舞台について】
舞台に関しては、なぜこの4人が選ばれたのか、ドラマの中でも描かれる。なぜ彼らが選ばれたのか、彼らはどんなミッションを課せられるのか、ということを楽しんでいただく舞台である。このプロジェクトの楽しみ方としては、まずはドラマを見ていただきたい。そうすると必ずこの舞台を見たくなる。1月からスタートし3月前には放送が終わる。4月に稽古をして5月の舞台となる。となると、その合間には必ず一挙放送など編成し、お客さまに楽しんでいただけるようにしたいと思っている。舞台だけ見ても成立するが、舞台を見た人は必ずドラマが見たくなるので、その辺の配慮もしていきたい。
【最後に】
最後になるが、先ほど私がフジテレビから来ていると申し上げたが、こういった取り組みはいわゆる地上波ではスポンサーの関係などでなかなか難しい。WOWOWではそういうことを気にせずに、いろんなことが出来るということで、今回こういう座組み、プロジェクトをやることができて、本当に幸せだと思っている。これからもWOWOWだからこそ、こういうことが出来るということを打ち出していきたい。是非皆さんに期待していただきたい。
田中社長)ドラマが終わった後の映画化はよくある。それから、例えば一つの原作をあるクリエイターがドラマにし、あるクリエイターが映画にし、あるクリエイターが舞台にする、というような試みはなされているが、オリジナルの企画を1人のクリエイターあるいは一つのチームで、ドラマと舞台の企画を同時進行させて走らせるというのは、大変チャレンジングな企画だと思っている。今後とも放送のみならず、舞台のみならず、立体的でクリエイティブあふれる企画に取り組んできたい。今回の鈴木おさむさんのような外部のクリエイターたちと一緒に、面白いおかしい楽しいことを実現していきたい。
4.今後の編成トピックス(田代取締役)
【(1)シックス・ネーションズ】
冒頭田中の方からラグビーW杯の話があり、日本勢の快進撃もさることながら今回すごかったのは、外国勢同士の戦いが地上波で高い視聴率を獲得したこと。WOWOWはこのラグビーW杯の熱を借り、準優勝したイングランドも出場するシックス・ネーションズを来年2月より放送する。WOWOWは2016年からシックス・ネーションズを放送している。出場国は、テレビでお馴染みとなったヨーロッパの強豪ばかりである。日本と対戦したアイルランド、スコットランドや、決勝トーナメントでその強さを発揮した、イングランド、ウェールズが出場する。さらに、フランスやイタリアも入っての6か国での対抗戦となる。今回のW杯をきっかけに、ラグビーファンになった方も多いと思うので、2020年は気合を入れてプロモーションし、放送していきたいと思っている。
【(2)ヴァチカン国際音楽祭 2018 ~3Dオーディオ HPL版~ 】
ヴァチカン国際音楽祭2018 3DオーディオHPL版を12月26日に放送する。今年1月に辰巳で行った会見にて、記者の皆様にこの番組を3Dオーディオで聴いていただいた。この度、番組を普通のヘッドホンや普通のイヤホンを通すと3Dオーディオの臨場感が得られる最新技術、HPLによるミックスで放送する。試写室とたくさんのスピーカーを介して体験いただいた立体感のある音楽を家庭で楽しんでいただきたい。私も聴いたが、ヘッドホンをしていると、音が頭の上の方から飛んでくるようだった。
【(3)ネット同時配信】
WOWOWメンバーズオンデマンドについては、10月31日から11月3日に開催されたLPGA女子ゴルフツアーの台湾大会にて放送にあわせ渋野日向子さんのカメラをオンデマンド限定ライブで配信した。渋野選手は惜しくも39位に終わったがWOWOWに加入されている渋子ファンのみならず、新たな加入者にも楽しんで頂けた。特定選手のライブ配信はWOWOWメンバーズオンデマンドで今後もやっていく。ネット同時配信の番組カバー率については、9月・10月ともに94.4%と、多くの権利者様にご理解をいただき2018年12月の本サービス開始以降、過去最高となった。
5.事業局からのお知らせ 映画「森山直太朗 人間の森をぬけて」の製作と劇場公開が決定(水口取締役)
前回の記者会見時、有村架純さん主演ドラマ「そして、生きる」劇場版の話をしたが、それに続き「森山直太朗人間の森を抜けて」が12月13日から全国主要都市での公開となる。森山さんとWOWOWは縁が深く、2017年にデビュー15周年企画として、初主演ドラマ「絶対、大丈夫」の放送をはじめ、ツアーの生中継、さらには舞台公演など様々な企画を実施し、いいリレーションを保ってきた。その流れで、今年5月には森山直太朗さんのツアー「人間の森」に密着してのドキュメンタリーを放送した。放送後も、追撮を行い、再編集した90分版を完成させた。公開後は本人の舞台挨拶も予定しており、またWOWOWでは公開に合わせ関連番組を放送する。本社で試写会も複数回行うので、ご興味ある方はお越し頂きたい。
6.最後に(田中社長)
先ほどHPLという音の話を紹介した。会場にご用意しているデモ機で体験していただきたい。放送はステレオであるが、ヘッドホンやイヤホンを介して聴いていただければ、この立体的な音が楽しめるという技術である。スマホでコンテンツを見る多くの人はイヤホンを挿して見ている。コンテンツを放送と配信の両方で送る時代に、簡単にこの新しい立体的な音を提供することが技術として出来上がったということである。
最後に一つ宣伝を。来週から幕張で始まるInter BEEで私が講演をするように依頼を受け、「スポーツ中継のフィロソフィー~TOKYO 2020に向けて~」という講演する。この講演を引き受けた後にラグビーW杯が非常に盛り上がったので、日本テレビのラグビーを担当したプロデューサー、ディレクター、編成担当を呼んで、この成功の舞台裏で日本テレビがどんな取り組みをしたのかということを、ぜひお伝えしたいというのが一つ。もう一つはいよいよ来年に迫ったオリンピック・パラリンピックの中継で、特にパラリンピックにおいて我々メディアはどういう伝え方をすべきか、を長野パラリンピックの金メダリストでありIPCの教育委員も務めているマセソン美季さんをお呼びして、一緒にそれを考える機会としたい。お時間があればお越しいただきたい。