11月10日(木)、定例記者会見を本社・ディスカバリーで開催しました。概要は以下の通りです。
出席者:田中社長、橋本専務、牧野取締役、大高取締役 データマーケティング部 河津部長 イベントビジネス部 石垣部長
趣旨説明
1.上期振り返り・最新の加入状況について(田中社長)
2016年上期は、4年一度のサッカーの祭典「UEFA EURO 2016TM サッカー欧州選手権」や錦織選手が準決勝進出を果たした全米オープンを中心としたテニス、氷室京介のファイナルライブ、開局25周年記念「連続ドラマW 沈まぬ太陽」などが新規加入を牽引した結果、加入、収支とも順調に推移した。正味加入件数は36,852件の純増、累計正味加入件数は上期としては過去最高の284万1526件となり、連結の収支も前年同期に比べ増収・増益をおさめることができた。
下期のスタートとなる10月の加入実績は、 新規加入31,145件、解約52,516件となり、加入件数は21,371件の純減となり累計正味加入件数は2,820,155件となった。
引き続き、強力な番組ラインナップとプロモーションを徹底し、2016年度通期では、目標である6万件の正味加入純増を達成すべく取り組んで行く。
2.9月、10月の加入実績について(大高取締役)
9月、錦織選手が準決勝進出を果たした全米オープンテニスが加入を大きく牽引した結果、正味加入者数は25,303件純増という形で上期を締めくくることができた。
10月は、同じく錦織選手が出場した楽天ジャパンオープンテニスやLPGA 、NBAなどのスポーツコンテンツ、GACKT、ポルノグラフィティ、ビジュアルジャパンサミットといった音楽コンテンツを中心に加入を獲得。なかでもビジュアルジャパンサミットについては12月の放送に先駆けて、WOWOWメンバースオンデマンドでの先行生配信を行った結果、想定を上回る加入があり、12月は更なる加入獲得を期待している。個別の権利状況やアーティストの意向もあるが、こうした形での展開については、お客様にコンテンツをお届けし、加入を獲得するための新たな手法として前向きに取り組んで行きたい。
一方で、16年のグランドスラム全大会の終了などの理由で、テニス加入者の解約が大きく増加し、10月は正味21,371件の純減となった。
11月は、TV初登場となる最新作「フォースの覚醒」を含む7作品を、日本初となる一挙放送でお届けするスター・ウォーズシリーズを軸に加入獲得を行っていく。明後日の12日(土)には「10時間WOWOW無料放送! 覚醒せよ!スター・ウォーズ一挙放送直前スペシャル!」と題し、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」を無料でお届けするほか、関連ドキュメンタリー満載で、映画史上に残るメガヒットシリーズの魅力を訴求し加入獲得を目指していく。
年末年始を控え、注目の集まる12月には、 11月の無料放送に続き、2カ月連続の展開で12月3日(土)に無料放送を実施。年末年始特別編成の強力なラインナップを訴求し、加入獲得を狙っていく。
3.「WOWOW DMP」について (田中社長、データマーケティング部河津部長)
今年度冒頭にあたり、これからのWOWOWの戦力として「コンテンツ」、「人」、そして「会員データ」を重点的に育てていきたいと申しあげた。なかでも「会員データの活用」については、これからのWEB全盛時代に向けより重要だと考えている。WOWOWでは、この冬新たな顧客データマネージメントプラットフォーム「WOWOW DMP」の本格運用を開始する。本日はその「WOWOW DMP」についてデータマーケティング部河津部長よりご説明する。
以下、河津部長)
■導入の狙い
WOWOWが「総合エンターテインメント・メディア企業」として、放送局からの飛躍を目指すにあたり2つの軸が重要。一つは顧客の心を動かす「コンテンツを開発する力」、一方で、会員制企業としてその感動を届ける為の「深い顧客理解」である。今回のDMPはその「深い顧客理解」を支える為の仕組みとして、社内の様々な顧客データを統合的に分析するシステム。
■構築コンセンプト(1)
2013年5月から3年半かけて開発を行うなかで、大きなコンセプトとしてまずは、番組視聴履歴やWEBサービスへの接触、コールセンターへの入電履歴など、各業務単位、サービス単位で個別に認識されてきた様々なデータを個人単位で統合し、個々の特性や嗜好を把握できる仕組み作りを目指した。顧客の行動をID単位で把握することで得られる顧客理解に基づいた施策を、各チャネルに連携することで顧客接点をカスタマイズするという一般的なDMPとしての役割を、WOWOW仕様に最適化することを1つめの大きな開発の軸としておいている。
■構築コンセプト(2)
DMPにWOWOWの独自性を持たせるためにこだわったのが、顧客の「熱量」を捉える仕組みを作ること。定性的な指標としてアンケート調査を通じて一部しか把握できない「熱量」を、DMPの機械学習を通じ全数推計を行うことで、全てのお客様を対象として把握、可視化を行うことで、様々な対策を講じて、会員制企業の生命線である顧客接点の最大化に役立てたいと考えた。
■熱量を可視化する
では熱量の可視化とはどういったことなのか、これまでのテスト運用の具体例を用い説明する。下記の図はWOWOWのお客様を「視聴・サービス接触時間」と映画やスポーツ、音楽など「視聴ジャンルの幅」の傾向によってグループ化しプロットしたもの。丸の大きさはその人数、数字がそれぞれの熱量を表している。ご覧頂くとわかるが、右上のプロット程、熱量の数値が相対的に向上していく傾向が見て取れる。視聴時間が大きな要素というのは当然だが、重要な示唆として視聴ジャンルの幅が熱量向上に及ぼす影響が大きいということが、DMPのテスト運用を通じて捉えることができた。こうした傾向は、これまでの個別の調査では把握できず、統合的にデータを認識し、全数推計を行うことができるDMPを用いて初めて得られた知見。今後はこの知見をもとに、それぞれのプロット毎に最適化した施策を行うことで熱量の向上につなげていきたい。
■DMP2つの狙い
「WOWOW DMP」は、今年暮れから来年初頭にかけて本格運用となる。本格活用にあたっては2つの軸を中心に展開を図りたいと考える。その一つが、正確な顧客理解とそれにもとづくコミュニケーションによるマーケティングの効率化・最適化。さらにメインとして活用を図りたいのが、お客様の熱量を的確に把握することで展開可能な新しいコンテンツやサービスの開発である。
■マーケティング効率化事例紹介
マーケティングの効率化・最適化については、これまでのトライアルでも明確に検証ができている。事例をあげると、番組関連商品のメールを送る際、DMPを用いてより効果的な顧客リストを抽出しターゲティングすることで、WEBサイトへの遷移率が向上するケースがあった。具体的にはテニス関連商品では約2.7倍、サッカー関連商品では約1.9倍という効果が検証された。
■熱量を向上させる要素
新規開発という軸については、これまでの運用を通じ、顧客の熱量の向上に繋がる4つの切り口があると既に認識をしている。これまでも関連性が強いと思われていた(1)「視聴ジャンル数」、(2)「視聴時間」に加え、オンデマンドやメルマガ、プレゼント申込みなど(3)「利用サービスの数」、そして実際の観戦やイベント参加など(4)「リアル接触量」が顧客の熱量の向上を刺激することが新たに発見できている。この切り口を中心に顧客にアプローチすることで、リアルイベントの開催など今後の新たな展開・開発に繋げていきたい。
■課題
これからの課題としては、DMPはビックデータの活用にその力を発揮するので、まずはDMPを活用することで様々なデータを蓄積していきたい。さらに、外部データ連携などにも取り組み、データに深さと広がりをもたらし、その価値を上げながら、「WOWOW DMP」の特長である「熱量の把握」といった独自性をより強めていきたいと考えている。
以下 田中社長)
WOWOWには2つの大きな武器があると考えている。その一つが魅力的な番組を作る「プロデュースの力」。そしてもう一つが280万世帯の強固な「顧客基盤」である。今回、ご説明した「WOWOW DMP」を徹底的に活用し「顧客の気持ちに寄り添う」ことで、エンターテインメントを愛する加入者との絆をより深め、我々がもつ顧客基盤の強化を図っていきたい。さらに「WOWOW DMP」を活用することで可能となる、会員ビジネスの拡大や新規ビジネスの立ち上げなど、有料放送外での事業拡大への取り組みは、WOWOWが掲げる「総合エンターテインメント・メディア企業」への進化への大きな武器となると考えている。
4.「トニー賞コンサート IN TOKYO」について(田中社長、石垣部長)
世界最高峰の演劇界の祭典トニー賞授賞式を毎年生中継をしているWOWOWが、今回、日本初となるトニー賞公認のミュージカル・コンサートを主催することが決定した。本コンサートは、2017年3月18日に東京国際フォーラムにて開局25周年記念企画として開催される。イベントの詳細についてはイベントビジネス部の石垣部長よりご説明する。
以下、石垣部長)
EGOT(E=エミー賞、G=グラミー賞、O=オスカー(アカデミー賞)、T=トニー賞)といわれるアメリカの4大アワードのなかで、アカデミー、グラミー賞と共に毎年WOWOWで生中継を行っているトニー賞の協会公認のコンサートを日本で初めて開催する。昨年「キング・アンド・アイ(王様と私)」で渡辺謙と共演しトニー賞を獲得した、ケリー・オハラ、日本でも「gleeグリー」のシュー先生役で人気のマシュー・モリソン、そして、日本のミュージカル界のスター井上芳雄、この3名の一日限りの夢の競演がWOWOWのオリジナル企画として実現する運びとなった。トニー賞公認ということでスタッフ陣も協会から派遣される形となり、本場ブロードウェイで活躍するディレクター、プロデューサーも来日し、今回のイベントに参加する。チケットは11月2日より、WOWOW先行販売がスタートしているが、好調に推移している。先ほどDMPの下りで、熱量を元にした新たなリアルサービスをより強化していきたいと話があったが、今回のイベントをWOWOWミュージカルファンのコミュニティに向け、きちんとお届けすることができた手ごたえを得ている。これからはリアル分野についてもDMPを駆使し、そのデータにアイデアやクリエイティヴを加える形で、よりWOWOW視聴者の熱量があがるようなリアルイベントの開発に積極的に取り組んで行きたいと考えている。
以下 田中社長)
開局25周年となる今年、「沈まぬ太陽」「UEFA EURO 2016TM サッカー欧州選手権」など番組面で様々な取組みを行ってきた。「トニー賞コンサート IN TOKYO」は、多彩なステージを放送し続けてきたWOWOWが、日本初のトニー賞公認のミュージカル・コンサートを、オリジナルで立ち上げようというチャレンジ。「本物」のスタッフ・キャストによるブロードウェイの熱気を日本のミュージカルファンへと届けていきたい。"総合エンターテインメント・メディア企業"を目指すWOWOWとしては、今後も、こういった「プラスαのエンターテインメント体験」を会員へとお届けする取組みに注力していく。
5.11月、12月の番組について(牧野取締役)
まずは11月の目玉番組「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」TV初登場!シリーズ全7作品一挙放送」について。明後日の「10時間WOWOW無料放送!覚醒せよ!スター・ウォーズ一挙放送直前スペシャル! 」では歌舞伎俳優の尾上松也さんがMCとして登場する。彼は幼少期の夢が「歌舞伎俳優になること」と「ジェダイになること」の2つというくらいのスター・ウォーズファン。今回、スター・ウォーズの見どころや紹介はもちろん、自らのコレクションでもある2本のライトセーバーを用いて、番組内で殺陣を披露するなど様々な形でシリーズの魅力をお伝え頂くので、是非ご注目頂きたい。
注目度の高いテニス番組については、12月は「インターナショナル・プレミア・テニス・リーグIPTL」、そして1月は今回、新しい取組として、2つの大会の放送を行う。1月1日の元日より開催されるATPツアー「ブリスベン」、さらに1月8日より開催の「シドニー」の2大会を中継する。16日からは17年最初のグランドスラム「全豪オープンテニス」も控えており、1月からテニス番組が充実している。「ブリスベン」大会には錦織選手やナダル、ワウリンカ選手などが出場予定。2017年は、今年急激にその才能を開花させたホープ大坂なおみ選手に注目していきたい。そんな彼女の2016年の活躍を、元日にお届けする毎年恒例のWOWOWオリジナルのテニスドキュメンタリー「それぞれの世界挑戦」にてこれまでお届けしてきた錦織、伊達選手、車いすテニスの国枝、上地選手に加え初めて特集する。
6.オリジナル番組の各賞受賞について(田中社長)
11月7日(月)の東京ドラマアウォード授賞式にて「連続ドラマW 沈まぬ太陽」、「ドラマW この街の命に」がそれぞれ優秀賞を受賞。11月9日(水)には、平成28年日本民間放送連盟賞の授賞式があり、「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」がテレビ教養番組部門最優秀を、「ドラマW この街の命に」がテレビドラマ番組部門最優秀をそれぞれ獲得。2部門にて最優秀を獲得したのはWOWOWでは初となり、関係者に感謝の意を表したい。「ハリー三村のヒロシマ」は第44回国際エミー賞の芸術番組部門にもノミネートしており受賞作発表および授賞式は、現地時間11 月21 日(月)にニューヨークで行われる。ドラマWはもちろん、長らく取り組んで来たドキュメンタリージャンルでも、高い評価を頂く番組が出てきたことを嬉しく思う。今後もオリジナル番組をWOWOWのコンテンツの一つの柱として更に大きく育てて行きたい。