5月28日(水)に定例記者会見を開催いたしました。概要は以下の通りです。
出席者:山本均社長執行役員、井原多美専務執行役員、口垣内徹執行役員、鷲尾賀代プロデューサー、大重直弥プロデューサー
当社は、5月15日に新たな中期経営計画を発表した。
新中期経営計画では、パーパスで掲げた「夢中で生きる大人」を増やすべく、見るだけではないさまざまなサービスの提供を通じて、「会員の日常に"夢中"を提供する企業」への進化を目指す。
B to Cの会員領域では、新たな配信サービスやECサービスの開始、さらなる多層サービスの推進や新規事業の開発を進める。会員領域以外のB to Bでは、マーケティング支援やコンテンツ制作、プロダクション業務の拡大を目指していく。
本日はその中でも、海外におけるプロダクション業務に関する件、および当社主催のリアルイベントについてプロデューサーより紹介する。新中期経営計画の取り組み事例として、ぜひ注目してほしい。
会員事業戦略では、顧客視点に基づいたサービス設計を進めている。その新しい試みの一つとして、研究所「WOWOW 夢中のトビラボ」を設立し、5月21日に第一弾の研究レポートを発表した。
まず、研究所を設立した目的について、当社は昨年に「日常をWOWで満たし、夢中で生きる大人を増やす」というパーパスを掲げた。人々の人生を感動や驚きで満たし、夢中で生きる大人を増やすことによって、日本中が明るくなるのではないかと考えている。そして、現会員の方も、まだ会員でない方も含めて、生活者をより深く理解することを目的として、大人の夢中を研究する「WOWOW 夢中のトビラボ」を設立した。会員事業戦略局長の河津が研究所所長を兼ね、その下に7名の研究員を配置している。
今回は、博報堂の生活者発想技術研究所と共同で研究を行なった。調査結果によると、20~74歳の男女の2人に1人が夢中になれるものを持っており、17.3%は「他人の評価に左右されない、自分軸の夢中」を持っていることが分かった。また、「自分軸の夢中」を持つ人は、夢中なものを持たない人との比較において「人生の満足度スコア」が約2倍も高かった。この結果から、夢中なものを持つことが、その人のウェルビーイングを大きく推進している可能性があることが分かった。
研究所設立の発想は、お客さまの潜在的なニーズや行動を深く理解し、考察を得たいというものだった。また、パーパスを推進するヒントを得たいという意欲も、議論の過程で生まれた。そして、経済格差、少子高齢化、環境、教育、医療といった現代の社会問題と向き合い、どうすれば世の中が明るくなるか、生活者のウェルビーイングには何が必要なのかを考えることに、視点が少しずつシフトしていった。
大人になると、さまざまな役割を果たす中で、自分の本心からの楽しみに時間を割けないことが多い。充実した人生を送るために必要な要素を探る中で、当社は「夢中」という言葉に注目した。WOWOWが提供してきたのは、番組やイベントという形ではなく、「夢中」という価値であり、これに焦点を当てることが、長期視点で見るWOWOWの成長にとって適切な研究テーマだと考えた。
最初の調査において多くの新しい発見があったことで、さらに深掘りする意欲が高まるとともに、発想も広がり、大変嬉しく思っている。今回の研究発表の詳細については、6月12日に開催するウェビナーにて説明する。私も出席するため、ぜひ参加いただければと思う。
続いて、加入件数について説明する。
2025年4月は、欧州サッカーチャンピオンズリーグ、東方神起の東京ドーム公演の生中継、L'Arc-en-Cielのライブなどによって、約6万件の新規加入につながった。一方で、目的番組の終了等で解約件数が増加したため、正味加入件数は純減となっている。
競争環境の激化などによって正味加入件数の純減が続いているが、事業の多層化による成長を加速し、お客さまへの提供価値を高め、加入者数の増減に大きく左右されない収益構造の転換を目指していく。
山本社長)本日は2つの案件を紹介したい。
【プロダクションサービス事業】
鷲尾プロデューサー)プロダクションサービス事業を始めるきっかけとなったのは、WOWOWがハリウッドと共同制作した「TOKYO VICE」である。この作品は2020年から2シーズンを合わせて、合計18話をほぼ全編日本で撮影し、ハリウッドでは「世界で一番撮影が難しい国として有名な日本で撮影できたのか」と話題になった。
私は2011年にLA駐在として、WOWOWの東京本社からLAに渡った。その後、2015年に加入したProducers Guild of America(全米制作者組合)の集まりなどに参加するにつれて、撮影に関するタックスインセンティブ制度がない国は先進国で日本のみであることを知った。その話をLA総領事館の方々に話すと、LA総領事によってタスクフォースチームが発足され、2018年には内閣府に提言書を提出するなど、撮影誘致に関するロビー活動を行なってきた。
「TOKYO VICE」撮影時は、シーズン1およびシーズン2の両方において、大型外国映像作品ロケーション誘致に関する実証調査事業の対象作品に選定され、内閣府から金銭的な支援を受けた。そして、改善点も含めて制作レポートを提出し、約2年前に正式にタックスインセンティブシステムに当たる「海外制作会社による国内ロケ誘致等に係る支援」が始まっている。まだ制度としては、他国と比較して使い勝手の良いものではないが、日本にとっては大きな第一歩となっている。
そのような状況と経験から、海外大型プロダクションを誘致するプロダクションサービスを始めるアイディアを会社に提案したところ承認され、今回の新規事業が始まった。
基本的にWOWOWは制作会社に発注する立場であり、受注して撮影を行なうとことには慣れていない。そのため、ある程度時間をかけて新規事業の準備とLAでの営業を行なう予定だった。しかし、本格的な営業を始める直前に、アメリカの大手スタジオSkydanceが手がけ、来年にApple TV+で配信予定のドラマ「Neuromancer」の日本撮影の発注を受けた。
さらに、その案件の撮影が終わらないうちに、ユニバーサル・テレビジョンが制作し、アメリカではCBSで放送されているドラマシリーズ「FBI:インターナショナル4<最終章>」の最終話について、日本国内での撮影業務を受注した。本作品は撮影後1週間でアメリカにて放送され、日本でもWOWOWで8月末に放送される。
WOWOWで放送する関係もあり、宣伝のために主演のジェシー・リー・ソファーから撮影現場でコメントをもらうこともできた。このような宣伝協力は一例だが、WOWOWは放送もあるプラットフォームのため、他のプロダクションサービスには無い付加価値をつけることができると考えている。
今後WOWOWのグループ会社としての強みを生かしながら、日本での撮影を行なうために、クリエイティブ面や助成金の申請や手続きなどのサポートに加えて、宣伝、そして最も重要な撮影内容においても日本で一番だといわれる集団に成長していきたい。
山本社長)鷲尾プロデューサーは普段LAに駐在しているが、現在は「FBI:インターナショナル4<最終章>」の業務も含めて日本に来ているため、この機会にぜひ取材いただければと思う。
また海外以外にも、国内のプロダクション事業の展開が着々と進んでいる。当社が企画した、NHK戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」の制作プロダクション業務もWOWOWが受注した。本作品は8月13日にNHK総合で放送予定のため、こちらにも注目してほしい。
続いて2つ目は、リアルイベントについて紹介する。ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケン氏を招聘して作るリアルイベントをWOWOW主催で開催する。WOWOWのプロデューサーが直接ライセンサーと交渉し、日本向けに企画した演目となる。本件について、プロダクション事業部の大重プロデューサーより説明する。
【ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンを招聘したイベント開催】
大重プロデューサー)今回WOWOWにて、ディズニー音楽の巨匠であるアラン・メンケン氏を再び招聘し、コンサート2件を実施する。本日は、7月に東京で開催する「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ feat. アラン・メンケン」、および大阪で開催するアラン・メンケンのソロコンサート「ホール・ニュー・ワールド・オブ・アラン・メンケン」について紹介する。
「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」では、2023年に初めてアラン・メンケン氏を招聘した。この時より、アラン・メンケン氏のエージェントや事務所と良好な関係を築いてきたことで、今回東京で再演を行なうだけでなく、一夜限りのソロコンサートも大阪にて開催する予定である。
WOWOWはこれまで、ミュージカル分野において放送・配信を行なってきたという自負がある。近年では「芳雄のミュー」や、アカデミー賞とグラミー賞に並びアメリカ演劇界の権威とされるトニー賞の放送を継続してきた。
またWOWOWは、放送分野においてミュージカルのファンを獲得できていると考えており、それと連動するように、プロダクション事業部においてもリアルイベントをお客さまに提供し続けている。トニー賞コンサートや、ブロードウェイミュージカル「ジャニス」の日本語版制作の興行も行なってきた。
「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」もその一つであり、初開催の2019年1月から回数を重ね、今年で4回目の開催を迎える。ニューヨークのブロードウェイに本社を置くディズニー・シアトリカルと協議を重ね、アラン・メンケン氏の招聘を決断した。
前回は東京国際フォーラムのホールAにて3回公演を行い、全席完売となったが、今回も伝説的な作曲家を招聘する。さらに、本場のディズニー・オン・ブロードウェイからキャスト4名を迎えるとともに、日本人ゲストに京本大我さん、MCにハリー杉山さんを迎えて、東京国際フォーラムのホールAにて開催する。新たに演出家としてエイドリアン・サープルを迎え、これまで披露したことがない楽曲や新たな演出を加えるなど、よりパワーアップした内容をお届けしたいと思っている。
日本人ゲストの京本さんは、公演に先がけて人生初となるニューヨーク渡航を敢行し、今ニューヨークで上演されている「アラジン」や「ライオン・キング」といったディズニー・オン・ブロードウェイを鑑賞した。本場の作品を鑑賞して刺激を受けた京本さんのパフォーマンスにもぜひ注目してほしい。
なお、京本さんはトニー賞受賞式のスペシャル・サポーターも務めており、授賞式に向けたプロモーション番組「ハロー・トニー!in NY」をWOWOWオンデマンドで配信中である。番組では「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」にも触れており、キャストのインタビューや、「アラジン」と「ライオン・キング」の舞台裏ツアーなど、貴重な映像から構成されている。ぜひ「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」やトニー賞の放送前にご覧いただければと思う。
そして、大阪でもアラン・メンケン氏のソロコンサート「ホール・ニュー・ワールド・オブ・アラン・メンケン」を開催する。WOWOWでは、東京でのリアルイベントの開催が大半を占めているが、今後は売り上げ・利益の拡大を狙い、東京以外の都市でも興行を目指したいと考えている。
2019年の「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」の初演時は、横浜にて約8,000名程度のお客さまに楽しんでいただいた。その後、創意工夫を重ねて、今回は最大規模となる約2万名に向けて4回公演を実施する予定である。加えて、アラン・メンケン氏の大阪ソロコンサートも1公演開催するなど、規模を拡大し続けており、両公演とも全てチケットが完売している状況となっている。
良いクオリティの公演をお客さまにお届けできるように、チーム一丸となって取り組んでいきたい。
山本社長)大重プロデューサーは、ブロードウェイミュージカル「ジャニス」の日本語版を実現したプロデューサーである。彼の知見や人脈、プロデュース力を生かして、このようなWOWOWオリジナルイベントを手がけて、放送・配信にとどまらないエンターテインメントを提供し、収益の拡大を図っていきたいと考えている。
また、トニー賞授賞式についても6月9日に生中継を実施するため、ぜひ期待してほしい。
【チャンピオンズリーグ決勝 パリ・サンジェルマンVSインテル 6月1日(日)】
また、友だちやチームのファンと一緒に劇場に集まって観戦できるライブビューイングの企画を今シーズンに展開してきたが、ファイナルにおいても全国のイオンシネマと連携してライブビューイングを実施する。サッカーの醍醐味を大きなスクリーンと迫力ある音という新しい形で体験できるため、こちらもぜひ注目いただければと思う。
【ドラマW 三谷幸喜「おい、太宰」 6月29日(日)放送・配信】
2011年の第1弾「short cut」では、関係が冷え切った夫婦が葬式の帰り道に山で迷子になり、口げんかをしながら、最後には2人の関係が変化していく様子を約100分で描いた。
2013年の第2弾「大空港2013」は、グランドホステスの主人公が、天候不良で着陸した飛行機に乗っていた客の面倒を見る中で、さまざまな人間模様を描いていくワンシーン・ワンカットのドラマだった。
そして、今回の「おい、太宰」では、主人公が妻と一緒に出席した結婚披露宴の帰り道に、太宰治が心中未遂を犯した浜辺タイムスリップする。実際に太宰に会う流れで、さまざまな展開があるだけでなく、タイムスリップをワンシーン・ワンカットでどのように描くのかも楽しんでいただける作品となっている。
脚本・監督を務める三谷さんは、「理想のワンシーン・ワンカットとは、舞台と映像の面白さを良いとこ取りすることだ」と述べていた。演劇的でありながら、演劇では絶対に描けないことをワンシーン・ワンカットの手法で描いている。ぜひ本作を中心に、過去作も一緒にご覧いただけければと思う。
【「連続ドラマW 怪物」(全10話)7月6日(日)~】
7月には、韓国サスペンスの金字塔と呼ばれる「怪物」をWOWOWがリメイクする。韓国版は16話で描かれた作品だが、今回のリメイクでは10話でお届けする形となっている。
WOWOWとしても、韓国ドラマのリメイクは新たな取り組みになる。韓国版はキャストや脚本で話題をさらったが、今回のリメイクにおいても、W主演の安田顕さんと水上恒司さんの素晴らしい演技が展開されているため、ぜひ注目してほしい。
【WOWOW×WEST. "WESSION"/WESSION FESTIVAL 2025 6/29(日)午後9:00スタート(全5回)】
WEST.のデビュー10周年を記念し、WOWOWとタッグを組んだ新しい展開として、6月からレギュラー音楽番組の「WESSION」をスタートさせる。さらに、10月には初の野外フェスもWOWOWと一緒に取り組む。番組だけではなく、イベントまで一気通貫で共に今年を駆け抜けていくため、ぜひ注目いただければと思う。
最後に、当社のもう一つのオリジナルイベントについて紹介したい。
当社が主催するキャンプインフェス「FUJI&SUN」を、静岡県富士市の富士山こどもの国にて5月31日(土)と6月1日(日)の2日間開催する。
このフェスは、2019年に当社初主催の野外フェスとしてスタートし、今年で6回目の開催となる。富士市唯一の野外フェスであり、音楽はもちろん、キャンプやアクティビティが楽しめ、小さなお子さま連れのお客さまも多く参加している。リピーターが多いフェスのため、ぜひ会場に足を運び、話題にしていただければと思う。
以上