CORPORATE INFORMATION

2025年度 委員

<委員長>
福井 健策弁護士
<副委員長>
大日方 邦子パラリンピック金メダリスト
石川 光久株式会社プロダクション・アイジ― 代表取締役会長
<委員>
朝吹 真理子作家
宇多丸ラッパー/ラジオパーソナリティ
川田 十夢AR三兄弟 長男
木嶋 真優ヴァイオリニスト
鈴木 貴子エステー株式会社 会長
中山 淳雄Re entertainment 代表取締役
別所 哲也俳優/「ショートショートフィルムフェスティバル&
アジア 代表」
渡辺 千穂脚本家

■第346回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年11月27日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
福井健策、大日方邦子、石川光久、朝吹真理子、川田十夢、鈴木貴子、中山淳雄、別所哲也、渡辺千穂 (敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 小髙史織
議題
1)「連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-」第一話・第四話・最終話
2)12月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、12月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)「連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-」第一話・第四話・最終話
・社会派ドラマが強みであるWOWOWの真骨頂ともいえる作品で、社会課題を直視させながら当事者たちが抱える苦悩・葛藤への共感を呼び起こすような素晴らしいドラマだった。
・序盤から視聴者をぐっと引き込む展開で、最初は事件に関するさまざまな謎を解き明かす過程をミステリーとして楽しんでいたが、登場人物たちの人間性を垣間見るにつれ途中からヒューマンドラマとして見入っていた。胸を打ち心に染みわたるようなエンディングであり、自分自身の感情の変化も感じる作品だった。
・捜査と並行して主人公の刑事・平良自身の家族ドラマも描かれているが、ストーリーとして物足りず、物語に有機的に繋がっていないように感じた。
・過去に存在していた優生保護法をテーマに描いているが、現在の社会問題にも繋がる部分があり、改めて人権や尊厳について考えるきっかけになった。また時代性や当時に漂う空気感を忠実に映像として描いていると感じた。
・第一話はストロークが長く緊迫感も弱く感じたが、回を重ねるごとに面白くなりぐいぐい惹きこまれていった。
・ドラマ化にあたりサブタイトルを加えているが、ネット検索すると原作小説ばかりが引っ掛かり、上手く棲み分けられていないように感じた。
・優生保護法というとてもセンシティブなテーマに切り込んだ作品だが、ドラマとして扱って良い題材なのか、当事者が見たらどのように感じるのか、どうしても気になってしまった。
・コンプライアンス上でもエンタメ作品としてどこまで表現するかが問われ、葛藤する作品だと感じ、考査的な配慮をどのような点で行なったのか伺ってみたいと思った。
・俳優陣の自然な演技が素晴らしかったが、とりわけ容疑者を演じる野田洋次郎の演技が印象に残った。
・見る者に気づきを与え問題を提起するような挑戦的な作品だが、どのような視点でこの物語を見れば良かったのか、鑑賞後にもやもやした感情を抱いてしまった。
・WOWOWでしか見られない深さのある作品で大変満足する内容だったが、演出方法として新しいことにトライしても良かったのではと感じた。特に登場人物たちが抱える原罪・苦悩の描き方について違うアプローチ方法があるのでは、と思った。
・番宣映像が本編に比べライトに感じた。見終わったあとにもっとこの作品、題材を深堀りしたいと感じたので、内容を補完しうるようなドキュメンタリー番組などもあっても良いかと思った。
・最終話は大団円で終わるため爽快さもあったが、俗情的すぎる気がした。そうあって欲しいが現実では難しいだろうな、という印象が残った。
・精神障害を抱えるキャラクターが登場するが、頭の中で作られた障がい者像のように感じてしまった。
・本作に加え類似ジャンル、テーマの他の作品を特集して放送するなど編成で工夫出来る部分があると思った。
・複数の登場人物たちの視点から描かれる群像劇であるが、主人公もひとつの視点に過ぎずあまり印象に残らないのが残念だった。
・後半の畳掛けが唐突で最終話に向けて内容を詰め込みすぎた印象があり、勿体ないと感じた。
・一部登場人物の行動や言動で共感しがたい部分があった。もう少し共感できる人物像だとより物語に入ることができたかと思った。
・第一話で事件概要を説明シーンがあるが、小難しくなく誰にでも分かりやすい説明ですんなりと物語に入っていけたのが良かった。
・心に刺さる台詞に加え、「夜の道標」というタイトルにも帰着するようなクライマックスが秀逸だった。
・この作品を刑事モノ、社会派ミステリーという括り方にして本当に良かったのか、どのような切り口で作品を扱うか熟考する必要がある作品だと感じた。 ・現実だったらこのドラマのように事件は解決するのだろうか、という想いが拭えず、答えを明確に提示しない終わり方でも良かったのではと思った。最終話の先にある現実と地続きで不条理な世界も描いて欲しいと思った。
・子供たちの描写が虐待のシーン含めリアルで、撮影現場でどのようなケアがされていたか気になった。
・犯人像が少し綺麗すぎるように感じた。良い人を犯人にしないとこのようなテーマは描けないのかなと思ってしまった。
・地上波では扱えないであろうテーマに正面から真摯に向き合った制作陣に敬意を示したくなる素晴らしい作品だった。

■第345回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年10月23日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
福井健策、大日方邦子、石川光久、朝吹真理子、宇多丸、川田十夢、木嶋真優、鈴木貴子、別所哲也 (敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 高嶋知美
議題
1)連続ドラマW-30「塀の中の美容室」 第1話、第2話、第6話、最終話
2)11月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、11月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)連続ドラマW-30「塀の中の美容室」 第1話、第2話、第6話、最終話
・女子刑務所の中で営業を行なう美容室が実在するということを含め、知らないことが多く新たな発見と気づきがある作品だった。またドラマ化にあたり事前取材を行なったという笠松刑務所への興味関心が強まった。
・印象的な台詞やエピソードが数多く意味深かった。
・終始重苦しく切ないトーンで進むものの、雰囲気を和ませてくれるような登場人物の存在やキャスティングの采配もあって、身近な自分たちの世界へと引き寄せられるところを感じた。
・刑務官同士の会話がたどたどしく不自然に思える部分があり、気になってしまった。また、刑務官の姿勢や言動が一方的で受刑者と対話をしていないと感じる部分があった。
・出演者のメイクがほぼノーメイクに近く、役に相応しくなるよう工夫されていて、表情による演技がより際立っていた。
・モデルとなった実際の刑務所を取材した内容が物語に活かされていて、変な誇張がなくリアリティがあるドラマだった。制作陣の真摯な姿勢が素晴らしく今後のWOWOWドラマ制作においても参考にしてほしいと思った。
・主人公と家族のエピソードが薄いように感じ、罪を犯した経緯や心情が読み取れなかった。
・「連続ドラマW-30」という30分尺で見やすくありながら、視聴者に考える余白も与えるような作品だった。今までWOWOWが手掛けてきた社会派ドラマとも一線を画しており、普段このようなジャンルを見ない人間でも惹きこまれる感動的な人間ドラマだった。
・俳優陣の演技が素晴らしかったが、特に主演を務めた奈緒の魅力が光っていた。彼女が演じる真面目で無垢な主人公が、どのような罪を犯し今に至ったのかが気になり自然と物語に惹きこまれていった。
・難しい題材に丁寧に取り組んだ姿勢が感じられ、今まで見たドラマの中でもとても心に残る作品となった。
・原作では描かれていない刑務所内のシーンが追加されているが、映像化する上でとても重要な描写だと思った。同じく原作にはない、他の受刑者も変化していくエピソードも描かれており、人間ドラマとしてより深みが増していると感じた。
・「刑務所もの」というジャンルでは罪の部分をある種デフォルメした演出が多い中で、極端な描き方がなく主人公に自然に感情移入しながら楽しめる作品だった。
・女性からの共感を意識したような作りに思える部分があり、描く視点が女性に偏っているように感じた。
・被害者家族や加害者側の心情などももう少し肉付けして描いて欲しいと思った。
・罪を犯した主人公が美化されている印象を受けた。
・設定上あり得るのか気になる描写もあり、その他のシーンも一つ一つはとても良いものの、整合性が合わないようなところがあり少々リアルさに欠けていた。
・最終的に良い話になりすぎているように感じ、ドラマの中だけで良い気分になった気がしてしまった。
・生きる喜びが静かに溢れるようなラストシーンがとても良かった。
・音楽が華美ではなく作品に合っていた。控えめなピアノの伴奏も良かったが、音楽を敢えて付けないという選択肢もあったのではと思った。
・今社会にある問題意識に基づいた作品で、加害者への偏見を解く一歩になる作品だと思った。
・WOWOWドラマに多い社会派作品とは別で様々な視点で考えさせられ、このような作品こそWOWOWが手掛けるべきドラマだと感じた。
・類似作品もあわせて特集するなど編成を工夫することで、この作品の放送・配信をきっかけにさらに現実に目が向くような流れを作れると、社会的意義が増すと感じた。
・社会派作品でありながら敷居が高すぎず、第1話から見やすかった。
・散髪という人を幸せにする行為を通して主人公自身も救われていくという構図を感じた。
・描かれる主人公の不完全さ、そこからの社会復帰や再生の大切さを考えさせられるとともに、誰しもが抱える普遍的な問題も扱った作品だと感じた。

■第344回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年9月25日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
朝吹真理子、川田十夢、木嶋真優、中山淳雄、渡辺千穂(敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 松本太一
議題
1)「連続ドラマW 怪物」第一話~第四話
2)10月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、10月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)「連続ドラマW 怪物」第一話~第四話
・WOWOWでしかリメイクできないクオリティの作品で面白かった。オリジナルの韓国版も見てみたいと感じる出来だった。
・日本でのリメイクが発表された時から楽しみにしていたドラマだったが、いざ第1話を視聴すると冒頭でのインパクトが弱く物足りなさを感じた。
・宗教・文化の違い、演出意図もあると思うが、オリジナルから意訳した表現や演出が気になった。特に物語の題材である猟奇的殺人事件の演出で異なるアプローチを用いていたが、原作で大事にされていた「死生観」を表す要素など、間引いてはいけない要素を省いてしまったように感じた。
・国を越えてリメイクする難しさを感じる部分もあったが、オリジナルが全16話であるのに対し本作は全10話とコンパクトかつスリリングな仕上がりで見やすかった。
・冒頭から分かりにくいシーンが多々あり混乱してしまった。第1話の中盤で殺人事件の詳細が解説されるシーンがあるが、序盤である程度内容を示してくれたほうが物語に入り込みやすかったのではと思った。
・番組紹介文章が面白く見るまではとても楽しみにしていたが、本編はその期待を超えなかった。話のテンポが悪く緩急の付け方にも違和感があるため途中で離脱してしまいそうになった。
・事件の捜査を共にする富樫(安田顕)と八代(水上恒司)の刑事バディものの要素もある作品だが、2人がバディになる経緯が描かれていないため、最初は対峙していたはずなのになぜそのような関係性に至ったのかという違和感があった。
・韓国語から日本語に置き換えたセリフに違和感があり、全てをそのまま表現すると陳腐に感じてしまうと思った。
・登場する町の架空感が強かった。架空であっても知っていると思えるような感覚になれず気になってしまった。
・絵面としてキャッチ―なシーンが多く面白かった。
・安田顕さんの演技が大変素晴らしくオリジナルを超えたのではと思った。特に「笑い」の演技を通してさまざまな感情が伝わってきて表現の幅に驚かされた。 ・脇を固める俳優陣の演技も惹き込まれるものがありオリジナルにも増して各キャラクターの個性が際立ち怪しさが滲み出ていた。一方で一部のキャラクターの印象が強すぎて登場シーンが終わると見切った感があった。
・主演ふたりの対峙感が弱かったように感じた。
・「怪物」というタイトルが普遍的かつ他作品を連想させるため、サブタイトルを付けても良かったと思った。
・登場人物たちの関係性の描写が表層的に感じ、感情移入があまり出来なかった。
・演出や映像に重厚さがある一方、内容的には重厚さが感じられず何かが足りない印象だった。
・全体を通し同じテンションの音楽が続くため、飽きてしまった。
・後半にかけての間延び感が否めず、ラストに他ドラマでも度々見られるような既視感があるシーンも気になった。
・現在と過去、時代が変わるシーンや、子役と大人役が入れ替わるシーンの演出が分かり辛いと感じた。絵替わりがもう少し必要だと思った。
・第1話から第2話へ繋がる展開のひっぱりが弱く勿体ないと感じた。第1話のラストが音楽の煽りが強い割に内容が伴っておらず空振り感があった。一方で第2話以降の後半の展開は効果的で次話以降に期待が高まる内容だった。
・オリジナルを知っている人がリメイク版を見てどこをどのように楽しむのか、という部分をリメイクする側が意識し工夫したうえで制作することが大切だと思った。

■第343回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年7月24日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
福井健策(委員長)、大日方邦子(副委員長)、石川光久(副委員長)、宇多丸、川田十夢、鈴木貴子(敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 村松亜樹
議題
1)ドラマW 三谷幸喜「おい、太宰」
2)8月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、8月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)ドラマW 三谷幸喜「おい、太宰」
・ワンシーンワンカットの演出がこの作品のポイントだが、舞台と映像の良いとこ取りというよりは舞台演劇をそのまま映像に収めたような印象が強かった。
・地道な映像処理の努力が見られたが、それが視聴者に伝わるのは難しいと感じた。
・ワンシーンワンカットで97分の尺を持たせることはかなり実験的でハードルが高いと思うが、観ているうちに尺の長さを忘れさせる作品だった。
・肩肘張らず気軽に楽しむことができ、面白かった。
・冒頭の会話劇シーンが長く話の本筋に入るのが遅いと感じた。
・会話劇として不自然な展開が続き、物語に没入できなかった。
・俳優陣の演技が大変素晴らしく、他の方では置き換えられないと感じるキャスティングだった。
・俳優陣の芸達者ぶりに頼りすぎているようにも感じた。
・演者それぞれが、どこかに向かって話しているように見えて、悪い意味で演劇的なものを感じた。
・主人公をはじめとした登場人物がオーバーアクション気味で、見ていて疲れる部分があった。
・主人公の人となりやバックグラウンドもフォーカスされていれば、キャラクターとしてより際立ったのではと思った。
・過去シリーズ2作品「short cut」「大空港2013」はワンシーンワンカットならではの緊張感や、物語の起伏にロケーションの意味を感じたが、今回は舞台である海辺や物語の題材である「文学」「タイムスリップ」から緊張感が伝わってこず、どう捉えて良いのか分からなかった。
・岩場を越える場面のVFXの作りがとても良くできていたと感じた。
・関連するメイキングやインタビュー映像は、鑑賞後に見ることでより作品を楽しめる一方、作り手側が一番楽しんでいるかのようにも見え、分かる人が見てくれればいい、というような印象も感じた。
・過去にタイムスリップしながら、無理がある現代とのカルチャーギャップで笑わせようとする、よくないタイムスリップあるあるが感じられた。
・現代と過去の登場人物たちの関わりが表面的で、深いところで交わっていないように見える結果、見終わった後に「面白かった」という感想はあっても、心に強く残るものがなかった。
・監督の手腕に作品を委ねすぎていると感じる部分があった。WOWOWとして、企画段階から脚本内容などに寄り沿える点がもっとあったのではと思った。
・前作が12年前ということもあり、映像技術も発達したこの時代になぜワンシーンワンカットという手法を使ったのか、映像体験としてもう少し発見が欲しかった。
・カット編集の代わりに、「トンネルを抜ける」ことで95年という時間を越える、という演出は素晴らしいアイデアだと思った。
・音声が一部聞きづらいと感じるシーンがあった。あえての演出かもしれないが、背景の自然音が感じられないことも違和感があり、音の使い方で工夫できる点があるように感じた。
・伏線回収が十分に効いておらず後半の畳みかけが弱かった。展開されるサイドストーリーも上手く回収されず終わった印象を受けた。
・ラストは腑に落ちない部分もあったが、劇場版は異なる展開のエンディングも見られるとのことなので、あわせて鑑賞したいと思った。
・海辺という設定ゆえに物語全体に制約がかかってしまったような印象を受けた。
・あえてそのように演出したかもしれないが、恋愛観やアート観、死生観の描写が浅薄なものに思えてしまった。
・凡庸な人間の代表として描かれる主人公と、天才として描かれる太宰治の対比が中途半端に感じた。
・太宰治の演出に関して文才を感じさせるようなシーンが無く、キャラクターとしての凄みがやや弱かったのが残念だった。

■第342回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年6月26日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
福井健策(委員長)、石川光久(副委員長)、朝吹真理子、宇多丸、川田十夢、木嶋真優、中山淳雄、別所哲也、渡辺千穂(敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 山田 雅樹
議題
1)「連続ドラマW I,KILL」第1話~第3話
2)7月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、7月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)「連続ドラマW I,KILL」第1話~第3話
・原作映像化が多い中でオリジナル脚本ということにチャレンジ精神を感じた。
・作品で登場する"群凶"と呼ばれる謎の怪物の概念は歴史的な史実とリンクしており、エンターテインメントコンテンツとして映像化したことはとても興味深いと思った。
・描かれているゾンビ像に既視感があり驚きが無かった。オリジナル脚本だからこそ概念に縛られず日本ならではの新しいゾンビ像を提示して欲しかった。
・番組タイトルから軽薄でチープな印象を受けてしまい勿体ないと感じた。もう少し日本的な気概のあるタイトルも検討の余地があったと思う。
・第1話冒頭で作品の世界観を英語で説明するシーンがあるが英語である必要性を感じなかった。海外展開を見据えてのことかもしれないが、お決まりのテンプレートにはまっており構成にチープさを感じ冷めてしまった。
・キャストファン以外の人がどのくらいこの作品を見たいと思うのか、また観賞意欲が続くのか疑問を感じる出来だった。
・俳優陣の演技、出で立ちの不気味さに惹きこまれた。一方で突然コミカルな演技が挟み込まれるシーンはどのように捉えて良いのか分からなかった。
・フラッシュバックの使い方など演出から先の展開が簡単に読めてしまう部分があった。
・音響効果や特殊効果が意味を成しておらず、使い方がステレオタイプにはまっていた。新しいコンビネーションを生み出すような、チャレンジの大胆さが欲しかった。
・時代設定やキャラクター紹介などの前振り説明が長すぎると感じた。その割にディティールまでは定義されていない部分も多く疑問が残った。
・人間ドラマとサバイバルスリラー、どちらに主軸を置いているのかが分かりにくく、エンターテインメントとして純粋に楽しんで良いものか判断に迷った。
・話が進むにつれて面白さを感じる作品だった。その一方で序盤の展開の遅さが気になったので、冒頭に見どころを持ってきたほうが良いと思った。
・第2話の予告が大変面白く、予告を使って先の期待感を煽る見せ方が上手かった。
・物語に惹きこまれる冒頭の掴みが少ないので、常に次が見たくなる仕掛けを盛り込むべきだと感じた。
・登場人物のキャラクターと物語のコンセプトの弱さを感じた。ストーリー展開や設定に無理があり、途中で噛み合わないと感じるシーンが多々あった。
・「生きる」「親子の絆」など伝えたいコンセプトが多く、情報量が多すぎて視聴者を置き去りにしている部分もあったので、どこかに強く焦点を絞ったほうが良いと感じた。
・時代背景の掘り込みが表層的で、理解が足りないと感じた。それゆえ時代とストーリーも上手くリンクしておらず説得力が無かった。
・ホラーやゾンビものが元々苦手ということもあり、生理的に受け付けない部分があった。過剰に煽る演出の必要性も分からなかった。
・劇中音楽は似たようなトラックがとても多く、印象に残らなかった。AIも発達している中、あえて作家が音楽をつける意図を持つ必要性を感じた。
・作品を通して伝えたいメッセージは何となく理解できたが、本当にこれが伝えたかったことなのだろうかと腑に落ちなかった。
・現代的なワードチョイスや台詞まわしが多く、リアリティーや緊張感に欠いていた。また、登場人物たちの立ち振る舞いや仕草で理解出来ない部分が多く時代劇を好んで見ている人ほど納得のいかないシーンもあると感じた。
・アクションが全体的に鈍重だった。ゾンビと時代劇を掛け合わせたようなアクションを期待していたが発展性が無かった。
・死生観を描くという点では、もう少し緊張感を持って扱ったほうが良いと思った。生命に対する尊厳が薄いと感じてしまった。
・松竹・松竹京都撮影所とタッグを組んだ作品ということもあり、美術セットが本格的で見応えがあった。また特殊メイクを用いたゾンビの造形が面白かった。
・予算とクオリティーが見合った作品作りに振る方法もあったのでは、と感じた。
・人ならざるものになってしまった絶望感や悲しさ、脆さを感じさせる部分はあるものの、それを作品全体に上手く活かせていないと感じた。

■第341回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年5月29日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
福井健策(委員長)、大日方邦子(副委員長)、石川光久(副委員長)、宇多丸、川田十夢、木嶋真優、渡辺千穂(敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 西憲彦
議題
1)「連続ドラマW 災」第1話~第2話
2)6月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、6月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)「連続ドラマW 災」第1話~第2話
・一般的なミステリーやサスペンスとは一線を画した、実験的かつ意欲的な作品であった。
・一線を画した作品ゆえに、一般的なミステリーやサスペンスとは違う見方を視聴者が自分で着眼しなければいけない難しさもあると感じた。
・主演の香川照之さんの表現者としての鬼才ぶり、魅力が詰まっていた。脇を固める俳優陣の演技も印象深く大変素晴らしかった。
・新進気鋭の監督集団「5月」ほかクリエイターたちとベテラン俳優陣の相乗効果が見事に発揮されたとても面白い作品であった。
・グロテスクな描写は少ないのに、一貫して不気味さや不穏さを感じさせる演出が秀逸だった。
・「死」が無機質なタッチで描かれていることも印象的で、それゆえに死のもたらす意味をより深く突き付けられているように感じた。
・事件の捜査過程等のストーリー展開、登場人物のキャラクターなど一部の設定にリアリティーが感じられない部分があった。
・音の使い方が印象的で、劇中で音楽の流れるタイミングや間が絶妙だった。その一方で、音楽で煽りすぎているシーンも多々あったように感じられた。
・最終話まで一気に見ずにはいられない作りだった。続編があれば絶対に見たいと思える作品であった。
・文句なしに良い作品で、過去のWOWOWドラマの中でも抜群に素晴らしい作品だと思った。
・大変面白く、鑑賞後にWOWOWオンデマンドで配信されている「災」の関連コンテンツや監督集団「5月」の過去作も思わず見てしまうほどだった。関連作品を見ることで「災」の作品意図や理解が深まり、より楽しむことができた。
・一部の過剰な演出や演技がストーリーの邪魔をしているように感じたが、気味の悪さを感じさせる演出としては必要なのかもしれないと思った。
・本編の終わりに次話につながる映像が含まれているが、期待をそそる内容で次話への興味が強まった。
・この企画は地上波では難しいと感じた。WOWOWだからこそ描ける、表現の制限や制約を超越した作品だと思った。
・話の落ちをつけず、見る者に解釈を委ねるストーリーによってドラマ性が際立っていたと思う。考えさせられる作品だった。
・音楽や台詞や「間」の作り方が素晴らしく芸術性の高さを感じる部分もあったが、過剰に情報を詰め込んだ「間」もあったように感じた。
・多様な見方ができ、誰かと話さずにはいられず議論したくなるような作品だった。
・完全オリジナルの作品だからこそできる、しがらみに囚われない映像表現が素晴らしかった。原作がある作品ではここまでの表現は難しかったと思う。
・事件の謎を全て解き明かさない作品構造や仕掛けが絶妙で、バランスの取れた作品だと思った。
・どのようにこの作品を受け止めたらいいのか分からず、面白さを感じられなかった。鑑賞後感の方向性をもう少しリードしてくれた方が見やすかった。
・ある種の不条理さや理不尽さが運命として身近に転がっているかもしれないという世界観が描かれていた。
・自分の人生に「災」があった視聴者が、見たときに自分と重ね合わせてしまった時の心情にも配慮が必要だと感じた。
・画角や画作りが計算されていて、日常の中にある不気味さの描き方が上手だと思った。これから何かが起こりそうな雰囲気が作品全体から漂っていた。
・冒頭からぐっと惹きつけられる没入感のある作品だった。
・すっきりさせてくれないドラマで、それがとても新鮮だった。
・エピソードを見せる力が強く、惹きこまれた。
・次に何が起こるか展開が予想できるドラマが多い中で、先が全く読めない展開の連続で圧倒された。一般的なドラマのセオリーを踏襲しない斬新なドラマだと思った。
・理不尽な世界との向き合い方を考えさせてくれる傑作だと思った。

■第340回WOWOW放送番組審議会

開催年月日
2025年4月24日(木) 11:00~12:00
開催場所
WOWOW本社およびオンラインでの併用開催
出席者(敬称略)
◆ 委員
大日方邦子(副委員長)、石川光久(副委員長)、朝吹真理子、宇多丸、川田十夢、木嶋真優、鈴木貴子、中山淳雄、別所哲也(敬称略)

◆WOWOW
【WOWOW】代表取締役 社長執行役員 山本均、取締役 専務執行役員(会員事業戦略統括)井原多美、執行役員(コンテンツ・クリエイティブ統括) 口垣内徹、コンテンツプロデュース局長 吉雄文斗、会員事業戦略局長 河津孝宏、コンテンツ事業戦略局長 蓮見裕二、メディアサービス部長 伏見一世、コンテンツ戦略部長 宮崎純子、審議番組担当プロデューサー 廣瀬眞子
議題
1)「連続ドラマW 誰かがこの町で」第1話~最終話
2)5月の編成について
審議の概要
1)審議番組担当プロデューサーより審議番組の説明を行い、意見・感想の交換が行われた。
2)メディアサービス部長 伏見一世より、5月のテレビ番組編成についての説明・報告を行い、 意見・感想の交換が行われた。
審議
1)「連続ドラマW 誰かがこの町で」第1話~最終話
・WOWOWが得意とする社会派ミステリーということで期待して見ることができた。
・第一話はミステリアスな要素が交錯しており、町の怪しい雰囲気にもそそられるものがあり、次が気になって見進めることが出来た。
・キャラクターの設定などリアリティーの無い部分があり、プロットのほころびが気になってしまい、だんだん見ていて冷めてしまった。
・陰惨なシーンについては、後味の悪さがあり、事件が解決してもすっきりしなかった。
・見応えのある作品だった。
・自分たちも引き寄せられるような、間違った平穏や、集団の正義、個の正義がテーマになっていて、ミステリアスな謎解きをしていくような世界観がよかった。
・主人公はいるものの、各登場人物の出演分量が偏りなく配分されていて、脚本がよく推敲されていると感じた。
・犯人の謎解きを説明しながら進むストーリー展開より、それぞれのキャラクターの抱えているトラウマがあぶり出され、その根源がコミュニティーだったという設定部分に恐ろしさを感じた。
・この町に住み続ける必然が本当にあったのか、という心理描写がつかみきれないところがあった。
・現代と過去の映像にコントラストがあまりなく、映像表現だけではその差をつかみきれなかった。
・年代が行きかうストーリー展開だったが、時代が変わる際に用いられていたブラックフェードアウトは、演出として意味があったのか分からなかった。
・味のある俳優の方がたくさん出演していてよかった。
・サブタイトルを付けたり、ハッシュタグを活用したSNS展開を実施したり、出演者の方にSNS告知をしてもらうなど、プロモーションの面でもう少し工夫をする必要があったのではと感じた。
・ホラータッチで描かれている点は面白いと感じた。
・ニュータウンの描かれ方については、住んでみたい夢の街の雰囲気なのに実はおかしい、という落差がもう少しあった方がドラマとして面白いのではと思った。
・同調圧力の怖さが分かりやすく描かれていた。
・地方での同調圧力をテーマにした作品は世界でも多数あるので、それらの作品を並べた特集を組んでも面白いと思った。
・陰惨な事件が起こったにも関わらず、ストーリーの着地が甘いような気がした。
・過去のエピソードによって先の展開が見えてしまい、全4話でも尺を持て余してしまっていると感じた。
・演出や原作から改編している部分が不自然だったり、昔ながらの日本映画のような雰囲気を悪い意味で感じる部分があった。
・佐野広実氏作品の初の映像化であり、映像のひな型がない中でのドラマ化いう点で手探りな部分もあったと思うが、もう少し佐野氏の作品ならではの特徴を大事にし、描き方を議論する必要があったのではと感じた。
・視聴するにあたってのガイド役となるような方を立てて、作品紹介映像をSNSで展開したりするとより作品が見やすくなるのではと思った。
・描かれている集団心理を、現代のネット社会に置き換えてみると伝えたいメッセージは伝わるが、映像で見ると違和感があった。
・使われている音楽が、不気味さを強調するためのありきたりなものだと感じてしまった。
・町の安全安心という表層的なもので自分たちのエゴを隠すという点には同感したが、同調圧力の描き方には疑問が残る部分があった。
・マンションの管理組合をテーマにしたルポルタージュが、このドラマと親和性があり、同調圧力シリーズとして、今後映像化しても面白いのではと感じた。